リアクション
皆の手によって倒されたアダムは、最期の瞬間まで無念の言葉を口にしていた。
しかし、その表情はどこかほっとしたようにも見えた。
何百年もの時を経て孤独な戦いを繰り広げた彼の心は、
とっくに限界を超え、機晶石によって無理やり支えられていたのかもしれない。
そして、アダムの後を追うように、イブも間もなく息を引き取った。
アダムの隣で眠るその顔は、実に安らかなものだった。
アダムを真中にして、その両脇にイブとヘセド。
機晶石にその運命を狂わされた彼らは、これでようやく安息を得られただろうか。
これでよかった。
切なさを感じながら、ベルネッサは、そう自分に言い聞かせた。
彼らの想いや無念は自分が引き継ごう。
今度は決して悲劇を生まないように。
幸い、自分にも支えてくれる仲間もできた。
ところで、ベルネッサには、一つ気になることがあった。
今回のことを忘れないよう、アダムとイブの機晶石を持っていようと思ったのだが、
見つからなかったのだ。
戦いの衝撃でどこかに行ってしまったのだろう。
残念だが、仕方がない。
ベルネッサはそう納得したが、彼女は気がつかなかった。
戦場から人知れず去る、一つの影があることを。
(くく、この機晶石、実に興味深い。私の計画の役に立つかもしれんな)