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【借金返済への道】帰ってきたヒーロー!

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【借金返済への道】帰ってきたヒーロー!

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■強いぞ!? 美少女戦士部!■

 BGMが流れると同時に幕が上がった。
「うふふふ……さあ、ここいる全員を黒の賢者である私の為に私好みの服装に変えてくるのよ」
 そう命令したのは黒く薄い生地のドレスを身に纏い、黒薔薇を頭に付けた黒の賢者、カーリー・ディアディール(かーりー・でぃあでぃーる)だ。
 命令を下された部下達は全員カーリーの趣味の服を着ているようだ。
 下っ端であるサトゥルヌス・ルーンティア(さとぅぬるす・るーんてぃあ)はそれが一番顕著なようで黒のホットパンツに黒のノースリーブのタートルネック、その上にはゴシックパンクテイストの黒のロングコートと言う出で立ちだ。
 他のメンバーも黒で統一されたどこかにゴシックパンクテイストが入った服装だ。
(さすがに冬にこの格好は少し寒いかも……)
 そう思いながらサトゥルヌスは客席へと向かって行った。
「オレも真面目に仕事するかな」
 露出の全くない服装の弥涼 総司(いすず・そうじ)も肩にフェレットのなつめを乗せ走って行った。
「……黒の賢者様の仰せの通りに」
 悪の下っ端ラグレーン・へケト(らぐれーん・へけと)は黒のマントをなびかせた。
「私も黒の賢者様の為に頑張る!」
 ホイップは黒いフリルのスカートをひらりとさせ、軽々と舞台の下へと降りた。
「カーリーさ……じゃなかったのです。黒のケンジャさん、黒のケンジャさん。黒のケンジャの側近であるボクは何をするのです?」
 兎のむいぐるみのリルゥを抱いたナイト・フェイクドール(ないと・ふぇいくどーる)がカーリーの服の裾を掴む。
「側近は大人しく私の後ろについていればいいのよ」
「はいです!」
 元気よく返事をした。
 客席では下っ端達がカーリーの目にかないそうな可愛い子を探しまわっている。
「やめるのですっ!!」
 突如、舞台横から声が聞こえてきた。
「不幸を呼び込む悪いものはさっさとお掃除、ハッピー☆シスターズ次女、ハッピー☆メイド!」
 広瀬 ファイリア(ひろせ・ふぁいりあ)がミニスカメイド服と箒を持って登場した。
「不幸を呼び込む悪いものは魔術でお仕置き、ハッピー☆シスターズ長女ハッピー☆ウィッチ!」
 続いて、黒いミニスカ魔女服とハーフムーンロッドを持ったウィノナ・ライプニッツ(うぃのな・らいぷにっつ)
「不幸を呼び込む悪いものは騎士の名にかけて成敗、ハッピー☆シスターズ三女ハッピー☆ナイト!」
 最後にミニスカドレスの上から銀の胸当てとマントを付け、劇用の剣を持ったウィルヘルミーナ・アイヴァンホー(うぃるへるみーな・あいばんほー)が出てきた。
「今ここで起きた不幸、ハッピー☆シスターズが追い払うのですっ(追い払うよっ)(追い払いますっ)!」
 個々の口上が終わると3人揃って決めポーズと決め台詞をした。
「黒の賢者様の邪魔は排除させてもらうぜ」
 総司は爆炎波を3人に向かって仕掛け、舞台の上へと戻ってきた。
 他の下っ端メンバーも口上の間に舞台の上へと戻っている。
 爆炎波はなんとかかわした3人だったが、この人数を見て不安をにじませた。
 その不安は見事に的中し、あっと言う間に膝を折ることとなってしまった。
「そんな……馬鹿な……です」
 ファイリアは愕然とする。
「これで私の邪魔をする者はいないわ。お前達、やっておしまい」
 カーリーは再び客席へと下っ端達を向かわせた。
「そこまでだ!」
 頭上からいきなり声が降ってきた。
「誰!?」
 サトゥルヌスが上を仰ぐ。
「ぐはっ!」
 何かが降りてきたと思ったら総司の上へと着地し、早速1人倒してしまった。
「悪の闇に咲く正義の大輪! 【ヴァルキュリア・サクラ】参上!」
 総司の上でポーズをとっていたのは飛鳥 桜(あすか・さくら)だった。
 制服と和服を合わせたちょっと珍しい衣装で、桜を基調としているようだ。
 更に、上からもう1人降りてきた。
 仮面アイマスクを付けたアルフ・グラディオス(あるふ・ぐらでぃおす)だ。
 こちらはきちんと地面へと降り立つ。
「……」
 暫く、敵も味方も沈黙が流れる。
「……名乗り! ヒーローとしての名乗り!」
「ハア? 名乗れ? ……却下」
 桜がアルフに名乗りを上げることを促したが、即座に撥ね退けられてしまった。
「いいから、名乗り! 進まないし、黒の賢者達待ってるから!」
「はぁ……真実の瞳の騎士、【ベルセルク】。……聞いたからには覚悟できてるよな」
 ショーが進まないと言われ、やっと段取り通りにやってくれた。
「下っ端達、可愛い子がわざわざ私好みの衣装を着る為に来てくれたわ。おもてなししてあげて」
 カーリーの号令で戦闘が開始された。
「……はっ!」
 ラグレーンが桜目がけて火術を放つが、簡単にかわされ、ブロードソードでのされてしまった。
「えーいっ!」
 剣の攻撃後を狙い、ホイップが杖で桜を狙ったが後ろに居たアルフのカルスノウトの餌食となった。
「僕が相手だよっ!」
 今度出てきたのはサトゥルヌスだ。
 サトゥルヌスは言うが早いか機関銃で2人とも攻撃。
 勿論、機関銃の中に込められている弾は当たっても痛くないゴム製のものとなっている。
 機関銃の攻撃をまともに食らいふらつく。
 その機会を逃さず、さらに機関銃で追いうちを掛けて行く。
「くっ……必殺、百花爆炎舞!」
 アルフが桜の盾となり、桜が動けるようになると横回転での爆炎波をサトゥルヌスに放ち、辛勝した。
「やってくれるじゃない……わんこ、行くわよ」
「はいです!」
 カーリーとナイトは同時に攻撃を仕掛けた。
 が、アルフのカルスノウトの切っ先が2人の眼前を通り、怯んだところで、桜がアルフの肩を踏み台にしてジャンプ。
 そのまま2人へと落下しながら縦に切りつけ、横へと払った。
 2人は地面へと倒れ、眠りについたのだった。
「ヴァルキュリアがいる限り! 悪が栄える事はない!」
「この真実を認める事だな」
 桜とアルフはそれぞれの決め台詞を言いポーズをとった。
「さすが桜ちゃんですー!」
 倒れていたはずのファイリアから拍手を送られ、満更でもない様子の桜の表情が出たところで幕はゆっくりと閉じてきた。
「あ、美少女戦士部を宜しくお願いしますーーっ!」
 閉じ切る瞬間にウィルヘルミーナの宣伝文句が入り、ショーは終了したのだった。