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【十二の星の華】エメネアと五獣の女王器

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【十二の星の華】エメネアと五獣の女王器

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「女王器はトレジャーハンターであるこの私が見つけてやるジャン」
(イーディが珍しくやる気を出してるな)
 いつになくやる気を見せるパートナーのイーディ・エタニティ(いーでぃ・えたにてぃ)を見て、葛葉 翔(くずのは・しょう)は思う。
 遺跡探索班という名でグループを組み、ここまで探索してきた。
「トラップが発動したら危険ジャン」
 罠を回避したり、解除したり出来ているのは、イーディが長い棒を手に、自分が踏み出す場所より斜め先の場所を小突きながら進んでいるからだ。
「次はここの部屋ジャン!」
 下り階段を探し部屋を1つ1つ見て回っている。イーディが示した部屋からは何やら物音が聞こえた。
「気をつけてください」
 神楽坂 有栖(かぐらざか・ありす)がイーディの後ろから声をかける。
 葛葉と意見が違えば迷わず自分の思う方へ向かおうと思っていたイーオン・アルカヌム(いーおん・あるかぬむ)であるが、他の部屋は既に他の学生が調べていることと、何か居る先に階段があるのではないかと踏んで、別の部屋へは向かわない。
 扉にかかった鍵をピッキングのスキルでイーディが開ける。罠もなさそうだ。
 中からの襲撃に備え、セイバーであるアルゲオ・メルム(あるげお・めるむ)が前に立ち、扉をゆっくりと開ける。中で待ち構えていたのはゴブリンの群れだ。
 群れの奥に、下り階段が見えている。
「有栖お嬢様っ、お気を付け下さいませ!!!」
 ミルフィ・ガレット(みるふぃ・がれっと)がライトブレードを構えながら、有栖の前に立つ。
 イーオンの傍にはセルウィー・フォルトゥム(せるうぃー・ふぉるとぅむ)がバスタードソードとタワーシールドを構えた。
 棍棒を構えていたゴブリンたちが襲い掛かってくる。それぞれ手にしたシールドで防ぐも、数の攻撃には耐え切れず、アルゲオやミルフィは小さな傷を負った。
「傷の回復はお任せください」
 有栖がアルゲオへとヒールを施す。
「ありがとう」
 一言礼を告げてから、アルゲオは手にしたライトブレードから雷撃を放つ。雷撃はゴブリンを焦がし、痛みを与えた。
 セルウィーは、仲間たちへの相手からの攻撃を防ぐため、防御体勢を取る。
 ミルフィも率先して戦い、十数体居たゴブリンの群れはあっという間に倒れた。



 地下2階へと下りると、10メートルほどの通路の先に大きな扉がある。左右の中ごろには今までの部屋にあったものと同じ扉だ。
「奥も怪しいですけれど……」
 牛皮消 アルコリア(いけま・あるこりあ)はパートナー2人と共に、一番奥の扉の向こう側の様子を窺った。特に物音は聞こえてくることはない。
「怪しいと見せかけて、実は左右の部屋に先へと通ずる通路があるとかかもしれないのう」
 ランゴバルト・レーム(らんごばると・れーむ)が通路を少し戻り、左右の扉の様子を窺った。そちらも物音はしない。
「では先に左右を調べてみましょうか」
「……はい」
 アルコリアの言葉に、シーマ・スプレイグ(しーま・すぷれいぐ)が頷いた。
 今一度中の様子を窺ってから、右の部屋へと入る。
 中は10メートル四方の部屋でまた武器庫のようである。入ってきた扉以外に扉はない。
「んー、ヤバイ感じの魔剣とかないかなぁ」
 アルコリアは武器に触れてみた。柄の一部がボロ……と崩れる。
 1階にあったものと違い、錆付いていて価値どころか、使用するのすら、難しそうなものばかりだ。
 ランゴバルトとシーマは壁を探ってみるけれど、空洞になっているような場所はない。
 通路に出れば、反対側は他の学生に調べられたようだ。武器庫同様、使い物にならない防具ばかりの倉庫であったらしい。
 残るは奥の大きな扉。
 探索に重きを置く学生たちも、エメネアや護衛の学生たちも息を飲み、いざ奥の扉へ進まんがため、手をかけた。