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リアクション
あちこちに掘り返した跡がある湖畔を、高月芳樹達が進んでいた。
「結構掘り返されてるみたいね」
「紙鷹、接触できそうな人はいるか?」
アメリア・ストークスに頷いてみせてから、高月芳樹が問う。紙鷹はバサバサと翼を動かし、一点を示した。
示された先に和原樹達の姿。
「! おーい!」
叫ぶと、フォルクス・カーネリアが気づいた。
「樹、あそこに誰かいるようだぞ」
「気付いてもらえたみたいね。行きましょう」
「協力できればいいな」
二人は駆け寄り、紙鷹を差し出した。
「接触させてくれないか?」
「ああ、構わない」
「俺も協力するよ」
和原樹も、愛沢ミサも二つ返事で紙ペットを差し出す。途端に触れあい、三匹の紙ペットが光に包まれ、飛びだした。
紙鷹は一声鳴き、水際ぎりぎりの二か所をくちばしで突いた。
「そこだな、よし」
高月芳樹はスコップを構え、二か所を交互に掘った。ほぼ同時に宝箱が姿を現す。
「開けましょうよ」
「いい物が入ってるといいな」
木製の宝箱を同時に開く。
「これ、早速実践できるわ!」
にこにことアメリア・ストークスが微笑む。二人の宝箱の中には、紙ペットと仲良くなれる本が入っていた。
「見つけたみたいだな」
和原樹達と愛沢ミサもやってきた。
「もらったの。嬉しい」
ショコラッテ・ブラウニーは鍵型のペンダントを手に入れていた。愛沢ミサもCDを手に入れたようだ。
宝を手に入れた三組の表情は、とても晴れやかだった。
「んふ、わしにかかればたいした敵ではないな」
ファタ・オルガナはチョクシンガニからの攻撃を【氷術】の盾で受け止め、【氷術】の槍で八つ裂きにする。
その傍らで如月日奈々と冬蔦千百合は手をつなぎ、戦闘に巻き込まれないようにしながら自身の宝箱を持って、水辺を歩いていた。
チョクシンガニを退けた【湖畔の乙女達】のメンバーは、必死に宝を探していた。三つ宝を見つけていないのは、残り三組。
「あっちが怪しいよぉ!」
「紙兎ちゃん、どうかなっ?」
「行ってみましょうか」
ララ・シュピリの見つけた暗がりに、クラーク波音とアンナ・アシュボードが向かう。
「私も、確かめてみるわ」
頷いた宇都宮祥子も後を追う。
「気をつけるのじゃぞ……」
空中浮遊を続けながらアルカリリィ・クリムゾンスピカが声をかけた。
ララ・シュピリが案内する場所に近付くにつれ、紙ペット達も急ぎだした。
「ララ、正解かもねっ!」
「んふふ〜、やったぁ!」
「ララちゃん、波音ちゃん。前を見て走ってください。危ないですよ」
アンナ・アシュボードが注意をしている間に、目的地に到着。
紙兎と紙燕と紙蝙蝠が、それぞれ別々の場所を示した。
「掘っちゃおう!」
「ちゃおぅ〜!」
クラーク波音の掛け声とともに、土が掘り返された。
「今度はいい物が入っているといいんだけど……」
宇都宮祥子は祈るように宝箱を開ける。中身は、グラデーションの美しいスカーフが入っていた。
「今度は波音ちゃんの番ですよ」
「早く開けて、おねぇちゃん!」
パートナー達に促され、クラーク波音が宝箱を開ける。中身は、ミラクルフルーツ。
「さて、これで全員、無事に宝を得られたようじゃな」
全員宝を得たことを確認し、アルカリリィ・クリムゾンスピカがメンバーに声をかけた。
「協力、感謝しておる」
「こちらこそっ!」
「楽しかったですっ!」
「ありがとう。助かったわ」
「いい思い出になったですぅ〜」
「宝も得られたしな!」
各々が全員に礼を述べた。それを見ながら、アルカリリィ・クリムゾンスピカはおずおずと宝箱の中身を取り出す。
「それで、あの……これを見つけてしまったのじゃが」
そこにあったのは、古ぼけた布。
「ボロ布だっ!」
「校長に届けた方がいいわ。遠慮せずに行って来て」
クラーク波音と宇都宮祥子の言葉に、アルカリリィ・クリムゾンスピカが遠慮がちにメンバーを見渡した。
「よいのか?」
「もちろんよ。ね、みんな?」
全員が頷く。アルカリリィ・クリムゾンスピカは決心を固め、学校へ向かって飛び出した。
「何がもらえるのかしらね……」
【湖畔の乙女達】のメンバーはそんな思いで、彼女の姿を見送った。
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