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温水プール爆破予告!?

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温水プール爆破予告!?
温水プール爆破予告!? 温水プール爆破予告!?

リアクション


(9)15:00 女子更衣室の攻防2

15時少し前。


 リアクライス・フェリシティ(りあくらいす・ふぇりしてぃ)シュテファーニエ・ソレスター(しゅてふぁーにえ・それすたー)エステル・カヴァデール(えすてる・かう゛ぁでーる)と共に女子更衣室からプールに続く道を徹底マークしていた。不審物を持っていないことをアピールするために3人ともビキニを着ている。そこに不審者を追いかけている皐月とアリアがやってくる。シュテファーニエはアリアを目に留めると、にやりと笑ってその前を通せんぼした。皐月はリアクライスに待ったをかけられている。
「な、なんですか!? 私は日比谷さんにお届けモノが」
「あ。わりぃ! それつけるの忘れてたわ!」
「あら? その腕章、蒼学警察?」
 リアクライスは皐月への警戒を緩め、その隙にアリアは腕章を渡すことができた。
「そうです、先ほど不審者が逃げたので追いかけているんです。そこを通してください!」
 必死に主張するアリアだったが、シュテファーニエは面白そうににやにやしてその腕を放さない。
「リア、わっち、面白いうわさを聞いてのう。犯人は女という噂があるそうじゃよ。向こうの裁判ではっきりしているかもしれんが、こちらではそれ判らぬよなぁ?」
 エステルはその発言を聞いてピンと来るものがあったようで、ベタベタと主人にくっついているのを離れてアリアに近付いてきた。
「あー、それ、知ってますぅ。とりま、怪しい人は片っ端から身体検査しちゃえばぁ?」
 皐月はどうしたものかとオロオロしていたが、リアクライスに行っていいと言われて女子更衣室にかけて行った。
「ちょ、ちょっと……私にはこの子、犯人には見えないんだけど」
「怪しい人はぁ、触ってみればわかりますぅ」
 エステルはアリアを後ろから羽交い絞めにすると、動いちゃだめですよぉ?と甘い息を耳に吹き掛けた。
「は、早く終わらせてください……」
 アリアの目の前では舌舐めずりをしながらシュテファーニエが身体検査をしている。
「ほほぅ、百合園でも珍しいくらいの乙女じゃのぅ」
 必要以上に過剰なスキンシップをしながら、ここかのう? いやいや……などとあちこち触りまくっている。申し訳なさとあきれが混じった顔をしていたリアクライスに電話がかかってきた。切り終わると同時に、彼女は自分のパートナーをバリっとアリアから引き離す。
「真犯人、見つかったそうよ。この子で遊ぶのはおしまいにしなさい!」
 ごめんなさいね、とリアクライスはぐったりしたアリアに謝罪した。


 皐月はギターを持って先ほど逃げて行った怪しい人影を追っている。が、見失ってしまった。何やら女子更衣室が騒がしいのが聞こえたため、そちらを見ていくことにしたようだ。皐月はアリアから腕章を受け取ると安全ピンで乱暴に止めた。
「おー、どしたー?」
 先ほどは着替えの女子がいたため捜査よりのぞき防止しかできなかったのだが、現在は犯行予告時刻に近付いているので別の方面から捜査をしているらしい。本郷 翔(ほんごう・かける)と彼のパートナーであるソール・アンヴィル(そーる・あんう゛ぃる)は、過去の事件を調べてからやってきたため少し到着が遅れてしまったとのことだ。
「何やってんの、おまえら?」
 皐月が翔に尋ねると、翔は丁寧に頭を下げた。腕章をちらりと確認すると生真面目そうな表情を向けて答える。
「過去の事件で仕掛けられることの多かった場所を探しております。爆弾でなくても、大きな音が出せるものなども」
「ああ、そういうのって大事だよな。んで、あっちの金髪の兄ちゃんは?」
 ソールは地面に這いつくばって虫眼鏡で熱心に観察したり、ロッカーを一つ一つあかないかどうか確認したりしている。その情熱が怖すぎて近寄りづらい。
「ムフフフフフ、いい毛を見つけました……いや、どこの毛とは言いませんけどね」
「あー、ほー、かー!!!」
 皐月は持っていたギターで思いっきり殴ろうとしたがひょいっとよけられてしまう。
「おい! あれは犯罪じゃないのか!?」
 皐月は振り向いて翔に訴えたがため息しか戻ってこなかった。
「あ、あの……捜査と関係あるのでしょうか?」
「私もおかしいとは思うのですが、彼曰く、世の中には毛細型爆弾もあるということでして……」
「無いだろ!」
「そうですね……」
 その時、ソールが急にがくりと膝をついた。唇はわなわなとふるえ、呼吸は荒く、片手は半開きのロッカーにかかっている。どうやらロッカーを開けた後で異常が起こったようだ。
「ど、どうしたのですかソール!」
「水色ストライプのブラとパンツ……セクシーなブラと紐パン……」
 ソールは沙幸と美海のロッカーの鍵がたまたま開いていたのを発見したようだ。今度の皐月による無言のギター突っ込みは、ソールの頭に見事に命中した。


 変熊は光学迷彩を使いシャワー室を探していたが、男子更衣室は蒼学警察が使っていたためうっかり女子シャワー室に入ってしまった。他校生だからよくわからなかったらしい。
「まったく、この学校は妙に騒がしいな! しかもシャワーが壊れている!」
 毒づきながらも温かいシャワーで塩素を落としてゆく。その姿は象牙のように滑らかで、均整の取れた後姿には無駄な部分が1か所も存在しない。完璧な美といっても過言ではない神々しさを放っている。変熊がいる向こう側の壁では2人の忍者が耳を壁にくっつけていた。蒼学警察に忍び込んだ陽太が「捜索済 異常無し」の張り紙を張ったおかげでしばらく人が来る気配はない。


「ここの人、随分シャワーが長いでござる」
「うちの生徒だったら非常時に悠長にしてられるかねぇ?」
 一方そのころ、寛太から連絡を受けたのぞき部は女子シャワー室組と女子更衣室組に分かれてのぞき穴を作ろうと奮闘していた。光る(放送禁止用語によりお見せできません)王の異名を持つ黒脛巾 にゃん丸(くろはばき・にゃんまる)は、周、薫、陽太と共に高周波ブレードと光条兵器を駆使して4人で穴をあけていた。
「カンナ様もそんなにマジでもねーみたいだし、これはチャンスだっ!」
「環菜会長にイイ所見せたいですが……のぞき部のみんなも手伝います!」
 ものの数分で腰の高さくらいの位置にそれなりの大きさののぞき穴が開いた。最初に薫が覗き込む、湯気でよく見えなかったが銀髪のショートカットが見えた。
「これは当たりでござる! おしりの綺麗な人でござるよ!」
 な、なんだってぇ!? ざわめくのぞき部員たち。続いて周がのぞき穴からのぞきこんだ。しかし慌てて穴から離れると焦ったように部員たちを見まわした。
「わわっ、まずい! こっちに気づいたみたいだぞ!」
「フ…この程度でパニックになるほど落ちぶれちゃいないよ。」
 そんな非常事態にもかかわらずにゃん丸はにやりと、あくまで冷静に膝をつき、目をかっと見開いて全宇宙のさまざまな神に念じた。
「百合園生こい!!」


 同時刻、変熊は丁度腰の高さに穴を発見したのでなんとなく局部を挿入してみた。お〜、ぴったり☆
「……はっ!抜けない!!」
 穴の向こうで何かに当たる気がしてようやく取れた。確認していないので正確なところは分からないが穴からは、『えーと、しまったあぁ!? 貴重な出番がぁ!?』やら、『運に頼るほど落ちぶれちゃいないよ……げふぅ』やら、いろいろな声が聞こえた気もした。