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幸運の守護札を見つけ出せ

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幸運の守護札を見つけ出せ
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「はい酔ってらっしゃい見てらっしゃい! ……、間違えた。酔ってくれたらこっちが困る」
 アッシュは射的屋の前で通る客たちに声をかけていた。それを聞き付けたマーガレット・アップルリング(まーがれっと・あっぷるりんぐ)は、「ねぇねぇ」とリース・エンデルフィア(りーす・えんでるふぃあ)の袖を引っ張った。
「射的ですか? マーガレット」
「あれやりたい! キリジョーさんに勝ってやる」
 その後ろを歩く桐条 隆元(きりじょう・たかもと)は、持っていた扇子でぺちん、とマーガレットを叩いた。
「ふん、小娘如きがワシに敵うとでも?」
「なにおう!?」
「そこのお三方ー! 今参加すれば一回無料のサービスしちゃうぜ!」
 負けず嫌いな奴来た、とアッシュは思う。こういうのは一回や二回でやめるような客じゃない。
「隆元さんもマーガレットをいじめないでくださいよ。強いのはわかってますし、私がマーガレットと組むのはどうでしょう?」
 そう来なきゃつまらないな。と隆元は笑う。小馬鹿にしているが、「負けたら驕り」がかかっているので油断は禁物だ。
 銃を構えてさぁスタート。大きくて軽いものから当てていく。隆元は正確に当てて行いっている。
「負けないんだから……!」
 マーガレットも負けじと撃つ。けれどすれすれで外れてしまう。
 交代するたび隆元を睨み付けつつ観察するのだが、引き方が違うことに気づき、実践してみることにした。
 リースはその横でマイペースに打つ。マーガレットのお手伝いにはなっているだろう。
「当たった! 見たかキリジョーさん!」
 ぬいぐるみを落とすとガッツポーズをとるマーガレット。だからと隆元良い気になるなという目で睨む。

 結果はベテランの隆元が勝ち、ダンダンッとマーガレットは悔しそうに地面を踏んでいた。
 射的の景品と弾の在庫ぎりぎりまでやって、後ろを振り返るといつの間にかギャラリーができていた。



「今の人たち凄かったねー! ということで守護札の有りか教えてくれない?」
 騎沙良 詩穂(きさら・しほ)は射的バトルの鑑賞をしていたらしく、終わるとともにアッシュに話しかけた。
「ああ、でも場所は教えられねーぞ。気合で頑張れ!」
 えー、と詩穂は文句を言ってしまう。
「……、どうしても欲しいのかよ」
「だって、大切な人に絶対あげたいし。「取ってくる」って言っちゃったし……」
 不貞腐れたように地面を足でぐりぐりしながら詩穂は言う。
「じゃあ尚更じゃん。ズルしてだったら、そいつにも失礼な気するしさ」
 ぽん、とアッシュは詩穂の頭に手を乗せる。
 そう言われたおかげで、「そうだね」と思い直す。

「よーし!」
 空飛ぶ魔法↑↑を使って高く空中を浮遊する。
 守護札を神社の屋根上にあると察知したのだが、誰かに先を越されてしまった。他にもあちこち探したけれど、みつからない。
 行動予測などでアッシュの隠しそうな場所を探ってみたら、既に見つけられた後のようだったらしい。

 どうしてこんなに探しているのにみつからないのだろう。
 落ち込む詩穂に、リースが後ろから声をかける。
「あの……、さっき射的見てた人ですよね? なんか元気無いみたいだし、景品なんですが、持ちきれなくて。もらってください」
「あ、ありがとうっ」
 すっ、とリースは射的で当てた景品のくまのぬいぐるみを手渡した。
 ちょうどお腹のポケットが盛り上がっているので、なんだと思ったら【良縁祈願】【家内安全】の守護札が入っていた。
「渡すとしたら良縁祈願かな。ああでも家内安全とセットの方がいいような……もらっちゃって、いいの?」
 詩穂が大切に思うアイシャには大切な人と幸せになって欲しいし、取った守護札はそのためにとしか考えていなかった。
 けれどアッシュにも自分で取るから意味があると言われたし、無償でもらっていいのかと躊躇する。
「だってずいぶん頑張って探したでしょう? 罰は当たりませんよ」
「うんっ」
 アイシャに喜んでもらえる姿を想像すると、楽しみで仕方がない。