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終章

 イルミンスールの森の近く。幽霊の少女、ユエルはペンダントの写真を見て、ボロボロと大粒の涙をこぼした。
「皆さん、本当にありがとうございます……おかげで私も色々な事を思い出せました。昔、私の村が盗賊に焼かれたこと。彼が盗賊を倒すために私をここに置いていったこと……彼が死んだことは分かってたのに、死ぬまで……死んでもずっと、顔を思い出せなくなるまで待ってたこと」
 ユエルは涙を拭って、無理やり笑顔を見せる。
「でも、皆さんの姿を見ていて思いました。待ってるだけじゃ何も始まらないんだって、……だから、私も待つのはやめて彼に会いに行こうと思います……」
 ユエルの身体は徐々に薄くなり、やがて後ろの景色が透けて見えだした。
「皆さんと出会えて、本当に良かった。……もっとお話したかったけど……もう時間みたいです……だから最後に一言だけ言わせてください」
 ユエルは優しく笑みを作ると、
 頬に一筋の雫が伝い、
「ありがとう……」
 彼女の姿は見えなくなった。
 
 
 こうして、イルミンスールの森に現れる幽霊少女の噂は煙のように消えた。
 が、彼女がいたとされる場所にはしばらくの間、

 白い献花が供えられていたという。

――了――

担当マスターより

▼担当マスター

西里田篤史

▼マスターコメント

 こんにちは、本シナリオを担当させていただいた西里田篤史というものです。
 まずは今回のシナリオに参加してくれた方々にこの場を借りて、厚く御礼申し上げます。
 個人的にはもっとアッサリと幽霊の少女が成仏するものと高を括っていたのですが、予想以上にPCの皆様が彼女のことを気にかけてくれたおかげで、感動物っぽい話になったことに結構驚きました。
 それと同時に、これが『蒼空のフロンティア』の醍醐味なのだなと思うことが出来て個人的にも楽しませていただきました。

 補足ですが、幽霊の少女が死んだ理由は恋人を待っている間に盗賊と遭遇してしまったから、ペンダントがなんで洞窟にあったのかは村の子供たちと一緒にタイムカプセルの要領で隠したからです(宝箱に一緒に入ってたオモチャとかがそうです)。
 本編中にこれらの情報を出すと、どうしても少女の口からグダグダと説明しなきゃいけなくなるので、省略しました。

 今回は少ししんみりとした話になりましたので、次回は笑えたり馬鹿馬鹿しいシナリオを提供できればいいな、と考えています。
 
 短い挨拶となりましたが、また自分のシナリオで皆様と会えることを心待ちにしております。

▼マスター個別コメント