シャンバラ教導団

リアクション

7.根からの帰還

「わぁ、太陽がまぶしい！」

　根から帰還した一行は、口々に喜びの声を上げた。

「よくやってくれましたね」

「ご苦労じゃったな」

　エリザベートとアーデルハイトも、メンバーひとりひとりにお礼のことばを述べている。

　メイベル・ポーターは、感極まって歌い始めた。

「ララララ〜〜♪」

　みんなの気分を盛り上げるため、根から帰ってきたら歌おうと思っていたのだ。

　パートナーのセシリア・ライトも、メイベルと一緒になって歌った。

　歌はぴったりハモッている。さすがは名コンビ、音楽でも息はぴったりだ。

　２人が歌っていると、根の中からも歌声が聞こえてきた。
　愛沢　ミサの歌声だ。

　ミサの声は、だんだんと近く、大きくなり、３人の絶妙な合唱が樹の根にこだました。

　他のメンバーたちも、３人に合わせて歌い始め、全員の歌声が世界樹全体を包み込んだのだ。

　やがて、愛沢　ミサと鯨魚戯　閃鷲、ウヒュイ・ホロケウ、そしてフラフラのナガン　ウェルロッドが根から出てきた。

「これで全員よ」

　愛沢　ミサが言い終わると、みんなは歓呼をもって彼らを迎えた。

「お、おう、みんな。俺は無事だぜ！」

　ナガン　ウェルロッドは、自分が歓迎されていると勘違いし、まんざらでもない様子のようだ。

　このとき、ちょうど２時間が経過した根の門が、静かに閉まりだした。


　校長のエリザベートは全員にお礼を述べた。

「みなさん、本当にご苦労様でございました〜。
これで、イルミンスールも元気になりますぅ。」

　これを聞いた生徒たちは、ワーッと歓喜の声を上げ、互いに手を取り合って成功を祝った。

　だが、アーデルハイトは少し様子が変だ。

「あの寄生虫、イルミンスール以外の世界樹にいた種類のようじゃが……」
と、つぶやいたものの、生徒たちは喜びに酔いしれ、聞くものもいなかった。