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リアクション
2.デートのお相手は誰？
夕空には、一番星がまたたいている。
ここザンスカール・フェスティバルの会場にも灯がともり、いよいよ祭りのはじまるというワクワクした気分が、そこかしこに満ちあふれている。
フェスティバルにやってきた生徒たちは、思い思いに自分のパートナーを見つけ、祭りを楽しもうとしていた。
恋の花を咲かせようとする者、屋台めぐりを楽しもうとする者、祭りの目的はそれぞれである。
まず、パートナーとのデートを楽しみたいと考えているのは、エリオット・グライアス（えりおっと・ぐらいあす）とメリエル・ウェインレイド（めりえる・うぇいんれいど）だ。
積極的なのはメリエルのほう。
エリオットを無理矢理連れ出してきた感じで、メリエル自身は、完全にデート気分といったところだ。
引っ張り出されてきたエリオットとしては、祭りに参加するくらいなら、魔法の研究をしていたいと思っていた。
「魔法学研究部」で、いつぞや手に入れた某「ドラゴーレムの左腕」の解析や、既存の魔法（火術や雷術など）を応用した魔法の考案などなど･･････。
しかし、パートナーのメリエルが大はしゃぎしているので、仕方が無いから一緒に祭りをめぐることにしたのであった。
ちなみに、メリエルの追加装甲や加速ブースターは取り払い、軽装で歩かせている。
祭りに戦闘装備は不要だ。
同じく、パートナーとのデートで来たのは、和原 樹（なぎはら・いつき）とフォルクス・カーネリア（ふぉるくす・かーねりあ）。
和原 樹は、いつもの制服姿であらわれた。
「そういやパラミタに来てから、部屋着以外の私服ってあんまり着てないな。
地球から持ってきた荷物の中にはあると思うけど･･････
学内の祭りだし、制服でいいか。」
和原がそうつぶやくと、フォルクスに突っ込まれてしまった。
「樹･･････初デートのときくらい、もう少し色気のある格好をしたらどうだ」
「誰と誰がデートだって･･････！？」
和原は、少し恥ずかしそうにうつむいた。
「違うのか？」
と、フォルクスは心底不思議そうな顔で、訊き返す。
「あんたがそう思いたいなら別にいいけどさ･･････
どうせいつものことだし。」
フォルクスのペースに、和原 樹は諦め気味のようだ。
デズモンド・バロウズ（でずもんど・ばろうず）とアルフレッド・スペンサー（あるふれっど・すぺんさー）もふたり仲良く参加。
こちらは、デズモンドのほうがアルフレッドを引っ張り出してきた形だ。
デズモンドは、甘いもののある屋台を楽しみにしている。
アルフレッドのほうはといえば、デズモンドの言う通りについてくるだけ。
だが、荷物を持ったり、デズモンドに怪我がないように見張ったりと、いろいろ気を配っている。
いうなれば、デズモンドのお世話係り担当だ。
柊 美月（ひいらぎ・みつき）も、パートナーの茅木 綾人（かやき・あやと）とザンスカール・フェスティバル会場にやってきた。
楽しみにしているのは柊 美月のほう。
「綾人と一緒に屋台めぐりですわ♪
綿飴、チョコバナナ･･････。どれに行こうか迷っちゃいます。
あ、でもヨーロッパ風のお祭りだから、定番の出店はないのかしら？」
「屋台なら、パラ実の生徒たちが準備しているって聞いたよ。
美月は屋台めぐりをしたいのか？
それより俺は、この祭りで馬鹿騒ぎしてる連中を止めたいんだよな」
美月と一緒に楽しむけど、周囲に目は光らせておくぜ！ と警邏に意気込む綾人であった。
さて、お次は地球人同士でのデート。
立川 るる（たちかわ・るる）と織機 誠（おりはた・まこと）のふたりだ。
せっかくのお祭りだからデートしたい！
そう思って織機 誠が立川 るるを誘ったところ、オーケーをもらえた。
「苦節１７年、ついに私にも春が･･････」
薄手デニムのサマーワンピースにウェッジサンダルというるるの可愛らしい姿をみながら、誠は喜んでいた。
一方の織機 誠は、ジーパンと、黒のタンクトップに白シャツを合わせる格好だ。
「昨日、パートナーのラピスを誘ったのに行かないんだって。
大勢の方が楽しいのに･･････」
立川 るるは不思議そうにこう言うが、これはラピスのほうが空気を読んで遠慮したものだとは気づかないようだ。
「ヨーロッパのお祭りは初めてで目移りしちゃう。
はぐれると困るし、基本的には織機くんについてくよ」
「あ、はい、わかりました」
織機 誠としては、名誉挽回？ のチャンス。
というのは、最近立川さんの自分に対する評価が急落しているようなので、せめて友達を維持できるべく頑張りたいと思うのであった。
東雲 いちる（しののめ・いちる）とギルベルト・アークウェイ（ぎるべると・あーくうぇい）は、ヤジロ アイリ（やじろ・あいり）とセス・テヴァン（せす・てう゛ぁん）のふたりを誘ってやってきた。
４人で参加する、いわゆるダブルデートだ。
「いちるがどうしてもというから行くのだぞ。
俺はいちると一緒に行けるのが嬉しいとかそんなことは思っていない。
あくまで俺は保護者だからな」
ギルベルト・アークウェイがそういうと、セス・テヴァンがくすくす笑いながら言った。
「ふふふ、ギルベルト、貴方は本当にかわいいですね」
「おい、セス！ 何を笑っている！ お前はいつもいつもいつも･･････」
ギルベルトがいちるを深く思っていることは、内緒にしている。
しかし、腐れ縁のセスにはばれていて、いつもこうやってからかわれている。
すると、ヤジロ アイリもこれに便乗してきた。
「ダブルデートといっても俺は男っぽいから、いちるが逆ハーレム状態だな。
そうだ、いちるの彼氏っぽい行動してギルを嫉妬させよう。
いつもいちるを苛める罰だ。」
そういって、アイリはいちるにいちゃついてきた。
この４人の中では、ギルベルトは完全に突っ込まれ役になってしまったようだ。
さて、このお祭りでパートナーを見つけようとやってきた生徒たちもいた。
ウェイド・ブラック（うぇいど・ぶらっく）もそのひとりで、一緒にデートをするお相手を探していた。
「愛に年齢は関係ないので何歳でも良し」
「愛に身長は関係ないので低くても高くても良し」
「愛に容姿は関係あるので、ショートカットの子が好み」
ということで、ショートカットのいい娘はいないかとキョロキョロ見渡していた。
そこに、勝負服な浴衣とかんざしでおしゃれをした遠野 歌菜（とおの・かな）がやってきた。
一応、パートナーのブラッドレイ・チェンバース（ぶらっどれい・ちぇんばーす）と一緒なのだが、歌菜はブラッドレイとデートするつもりではないようだ。
歌菜は、ここで一緒にデートをする相手を探していた。
だから、ブラッドレイとしては、ラブハンターとなった歌菜を心配し、こっそり後を付けているだけ。
その姿は、保護者、つまりお父さんそのものだった。
歌菜は、同じ年か年上のイケメンがいないかなと、好みの男性を物色していると、ひとりでいるウェイド・ブラックをみつけた。
早速、声かけ開始！
「あのっ、お一人ですか？
よかったら･･････私の白馬の王子様になって･･････
じゃなかった、一緒に屋台を回りませんか？」
ウェイド・ブラックのほうも、ショートカットの歌菜が気に入ったようだ。
「あ、いいですよ」
歌菜のナンパは成功した。
これを物陰から見ていたのブラッドレイは、そっと祝福をしていた。
「よかったな、歌菜･･････」
哀愁漂う「お父さん」は、そういうと、安心してその場を立ち去った。
そして、彼は、屋台で一人祝杯をあげたのだった。
ヘレトゥレイン・ラクシャーサ（へれとぅれいん・らくしゃーさ）も、相手をみつけるべくひとりで祭りにやってきた。
「色んな屋台が出ているのですわねー･･････。
射的、チョコバナナ、鉄板焼きに行きたい」
そこへ、譲葉 大和（ゆずりは・やまと）があらわれた。
譲葉は、壁の花撲滅を掲げ、出張ホストクラブ『ミストルテイン』を立ち上げているのだ。
彼のコンセプトは「御代はノーサンキュー」
女性に楽しんでもらうことこそ正義。
ただ一時の暇つぶしのお相手として粉骨砕身、七転八倒するのみ。
「俺はなんと言ってもドＭですから･･････
振られても、断られてもサービスあるのみ！
目指せ脱、三枚目！
つかめナンバーワンホスト！」
こう意気込む譲葉は、ヘレトゥレインを見つけると早速歯の浮くような口説き文句を並べた。
「君と、この星の数ほどの時間を共に過ごせたらなって思うよ」
空を見上げてそういった譲葉だが、あっさりヘレトゥレインに切り返されてしまった。
「まだ星はひとつふたつしか出てませんわ」
それでも、ヘレトゥレインは譲葉を悪く思っていないようなので、一緒にまわることにした。
リリサイズ・エプシマティオ（りりさいず・えぷしまてぃお）は、パートナーと一緒に来ていたのだが、はぐれて一人ぼっちになってしまった。
「これは･･････非常事態ですわ！」
と、どこかにいるはずのパートナーを探し彷徨う。
なぜならば、サイフをもっているのはパートナーなので、このままだと祭りが楽しめない！
そこへまた、譲葉 大和がやってきた。
ひとりであたふたしているリリサイズを、譲葉は見逃さなかった。
「君は俺の太陽だなんて、古い口説き文句だと馬鹿にしてたんだけど、今は少し分かる。
だって君に近づくほどに、君は僕の胸を焦がすから」
リリサイズとしては、少し引いたが、彼の「御代はノーサンキュー」に惹かれたようだ。
「し、仕方がありませんわ！
ついていって差し上げます！」
動機はどうあれ、デート成立となった。
巫丞 伊月（ふじょう・いつき）も、パートナーのエレノア・レイロード（えれのあ・れいろーど）とやってきたが、ここでお相手を探す心積もりのようだ。
「ぅんふふふー、さぁ、エレノアちゃん！
貴方のその美貌と、私の色気でお財布･･････じゃなくて、良い人探すのよぉー」
「エレノアは、恋愛とかそういうのは、どうでもいいのです。
盛りのついたケダモノ同士で勝手にしてろです」
エレノアは、デートには全く興味がないようだ。
「お祭り！ どうもヨーロッパ風らしいけれど、関係ないわぁー
私はあくまで和で攻めるの。
エレノアちゃんのお手製改造浴衣を着て参加するのよぉー
うーん、かわいい！
あ、エレノアの浴衣姿もステキよ！」
「･･････む、下等生物（伊月のこと）にもやっとエレノアの【びぼー】が理解できたのかです。
･･････ふむ、仕方ないから、下等生物の遊びに付き合ってやるのです」
エレノアも、誉められてまんざらでもなさそうだ。
だが、へそまがりなところは相変わらずで、こうぶつくさつぶやいた。
「エレノアも浴衣という服には興味あるから、それを着るのです。
下等生物には邪道なものでも適当に与えておいて、エレノアは正統派の浴衣を着るのです」
と、そこへファタ・オルガナ（ふぁた・おるがな）がやってきた。
男女問わず、初心で純情そうな若い子を探していた巫丞 伊月は、ファタ・オルガナに笑顔で声をかけた。
ファタも、せっかく祭りなんてやってるんだから楽しまなきゃ損だし、ひとりじゃつまらないからと、誘いを受けることにした。
ターラ・ラプティス（たーら・らぷてぃす）も、一緒にデートをする相手を探していた。
お祭りの時はパーッと派手に騒ぎたい男性がいい。
「折角だから、パラ実の人で面白い人はいないかな･･････？
見た目や年齢は、特にこだわりないし」
ということで、ターラがデート相手に選んだのは、棚畑 亞狗理だった。
棚畑なら、なにか面白いことやってくれそうである。
デートではなく、純粋に屋台を楽しもうと祭りにやってきた生徒たちもいた。
水神 樹（みなかみ・いつき）は、パートナーのカノン・コート（かのん・こーと）と一緒にお祭りを満喫するつもりだ。
会場のマップを見て、射的やクトゥルフ神話学科の屋台に興味を示していた。
「今回は荒事が起きないだろうから、普通にお祭りを楽しめるぜ」
と、カノン・コートは嬉しがっていた。
シャーロット・マウザー（しゃーろっと・まうざー）とシルフェノワール・ヴィント・ローレント（しるふぇのわーる・びんとろーれんと）も、並んであらわれた。
しかし、このふたりは思惑が違うようだ。
シャーロットのほうは、シルフェノワールを「同じ学科の仲良しさん」としか思っていない。
できれば、普通に雑談等をしつつのんびりと屋台を回りたいと考えている。
だが、シルフェノワールはデートが目的。
「お祭りも初めてですし、正直何があるのか分からないので、甘くて美味しそうな物を中心に食べ歩きしたいと思いますぅ」
そうはしゃぐシャーロットを、シルフェノワールはまぶしそうに見ていた。
今回の祭りには、イルミンスール魔法学校校長のエリザベート・ワルプルギス（えりざべーと・わるぷるぎす）と、波羅蜜多実業の王 大鋸（わん・だーじゅ）が来ることになっている。
彼ら特別ゲストと一緒に行動したいという生徒たちも大勢いた。
南 鮪（みなみ・まぐろ）は、エリザベートの拉致を計画していた。
「ヒャッハァー！
又やってきたぜェー
可愛い可愛いエリザベートに又会うためによォー」
人生の全てをかけた勢いでエリザベートを拉致するのだ。
理由は彼女がエリザベートだから。
目的は彼女がエリザベートだから。
大人は、お気に入りの子供の為に教育を施し理想の大人に育てなければならないからだ！
また、時には労いご褒美を与えなければならない。
そう考え、南 鮪はタイミングをうかがっていた。
戸隠 梓（とがくし・あずさ）とキリエ・フェンリス（きりえ・ふぇんりす）も、エリザベートと一緒にまわりたい派だ。
エリザベートは、梓の申し出を快諾してくれた。
キリエは、なぜかカピパラのようなゆる族の着ぐるみを着て同行している。
彼は、いわゆる番犬役。
エリザベート、アーデルハイト、梓に近寄る不逞の輩がいないかと、着ぐるみのつぶらな瞳の奥で目を光らせている。
梓が、どこへ行こうかと思ってマップを見ていると、クライス・クリンプトが梓に近づいてきて、声をかけた。
「ん･･････変な奴が近づいてくるな･･････」
そう思ったキリエは、梓の前に出て、クライスに怖い顔で言った。
「お前なにナンパしてんだよ、がるるるる」
「ナンパじゃないってばー
ナガン ウェルロッドさんの貸衣装屋を宣伝しにきただけだよ」
そして、地図の一点を指し示しながら、こういった。
「お祭り向けの服がない人はここで色々面白いもの借りれるから来てみてね。
僕のこの服も実はここの借り物なんだ」
「校長、行ってみましょう！」
そういうと、梓たちは歩き出した。
峰谷 恵（みねたに・けい）も、エリザベート目当てである。
彼女はなんと、前日にアーデルハイトに菓子折りを持って、エリザベートを連れ出す際の口添えを願ったのである。
「エリザベートちゃ･･････ゴホンゴホン
･･････校長先生、一緒にお祭り見て回りませんか？」
アーデルハイトの後押しもあって、峰谷はエリザベートと一緒に屋台めぐりをすることとなった。
彼女は、エリザベートと手をつなぎ、屋台のほうに歩いていった。
国頭 武尊（くにがみ・たける）も、エリザベート校長狙い。
「イルミンの校長に接触出来る機会なんか滅多に無いからな。
積極的に動いて、校長を誘って屋台めぐりだ。
パンフレットぐらい配ってるだろうから、それを見ながら回ってみるぜ」
生徒たちに囲まれて人気のエリザベートに、国頭も便乗して屋台にくりだした。
そして、もうひとり、エリザベート目的なのが當間 光（とうま・ひかる）だ。
彼は、エリザベートに罰ゲームつきの勝負を吹っ掛けたいと考えているようだ。
王 大鋸のほうも、かなりの人気だ。
晃月 蒼（あきつき・あお）は、可愛い浴衣を着てフェスティバルに参加した。
狙いは王 大鋸。
今までチラチラとワンちゃんを追っかけたりしてただけだったが、これを機にちょっとお近づきになりたいと考えている。
今回は、パートナーのレイ・コンラッド（れい・こんらっど）もいないので、少し大胆にワンちゃんにお誘いをかけてみた。
豪放磊落な王 大鋸は、この誘い方が気に入ったようで、オーケーしてくれた。
レイ・コンラッドはといえば、蒼が一人でお祭りに行くと言い出したので、色々と心配していた。
蒼から、今日はついてこないでね、と言われたが、やっぱり心配なので後ろから尾行っぽくついてきたのだ。
一応、祭りにいてもおかしくなさそうな変装をして。
羽高 魅世瑠（はだか・みせる）とフローレンス・モントゴメリー（ふろーれんす・もんとごめりー）も王 大鋸を「キング様」と慕う生徒たちだ。
「メインゲストの取り巻きが、あのチビ魔女より少なかったらパラ実の股間に関わるじゃん！」
そう言い放つ羽高に、フローレンスがすかさず突っ込みを入れる。
「それをいうなら股間じゃなくて沽券だろ！」
彼らは、「キング様」とパラ実の誇りのため、「キング様」の取り巻きとしてヨイショすることを決意したのだ。
とはいえ、只の取り巻きでは目立たなくてつまらないので、コスプレをすることにした。
地上でのレイヤー経験をもとに、「ザンスカール」という言葉のイメージから、こんないでたちを考えた。
ビキニ水着に携行エネルギー砲と飛行用バックパック
本人たちにとっては目も彩な･･････良識人なら目を覆いたくなるようなコスチュームだ。
フローレンスも羽高と同じ格好をしている。
羽高たちのいでたちを見ると、「キング様」は大笑いして同行を承諾してくれた。
王 大鋸の両側に、それぞれ羽高とフローレンスが並び「両手に花」状態を作って、屋台へと歩き出したのだった。
ラルク・クローディス（らるく・くろーでぃす）は、ブラブラと祭りの会場にやってきたが、「両手に花」の王 大鋸を見かけると、気さくに声をかけた。
「おっす！ 大鋸！！ お前も来てたのか。
祭りが好きそうなのは何となくわかってたが、まさか来るとはな。
もしよかったら一緒に回ろうぜ！
あ、別に同行者がいても俺は別に構わないぜ！
むしろ、居てくれたらもっと楽しいだろうしな！」
そういうと、ラルクも王の仲間に加わった。
「さって･･････どんな屋台があるんかなー？
色々と大鋸について話を聞きてぇな。
結構ちらりちらりと会ってはいるけど、こういう話す機会って中々なかったしな」
普段の学校生活では、話せることは限られている。
祭りの雰囲気が、お互いの心を開く潤滑油になってくれるというものだ。
エレクトリック・オーヴァーナイト（えれくとりっく・おーばーないと）も、王 大鋸に一緒に祭りを楽しみたいと思っていた。
「折角ですし、王 大鋸さんとお祭り･･････とやらを拝見しに行こうかしら？」
エレクトリックは、王に声をかけると、王からの答えを聞く前に彼の横を並んで歩きはじめた。
「レディのお誘いは断るものじゃなくってよ。
くすくす･･････お話しながら屋台でも一緒に回らせて下さいな」
エレクトリックは王の武勇伝をききたいようだ。
アーデルハイト・ワルプルギス（あーでるはいと・わるぷるぎす）とご一緒したいと考えている生徒たちもいた。
茅野 菫（ちの・すみれ）とパビェーダ・フィヴラーリ（ぱびぇーだ・ふぃぶらーり）だ。
菫は『夏休みを取り戻せ！』の事件以来、アーデルハイトとはもう友達だと思っている。
「超ババ様、一緒にまわろう！」
菫は、アーデルハイトに気軽に声をかけると、アーデルハイトは快く応じてくれた。
「やったー」
そういうと、菫はアーデルハイトを引っ張って、興味を持った屋台を片っ端から見てまわった。
「ええっと、リンゴ飴、たこ焼き、金魚掬い、ヨーヨー釣り、射的に、くじ引き。
移動遊園地でメリーゴーランド･･････」
飛び級して魔法学校に通っているとはいえ、菫はまだまだ９歳のお子様なのだ。
グレン・ラングレン（ぐれん・らんぐれん）も、アーデルハイトとお祭りを楽しみたいと考えていた。
「年上好みの俺様としては、目指すはアーデルちゃんただひとりだ！
見た目がロリでも気にしないぜ！
ひょっとしたらダンナもまだ生きてるかも知れないが気にしな･･････
いや、少しは気になるが･･････
ともかく、男は度胸！
このチャンスに男を見せて、アーデルちゃんのハートをゲットするぜ！」
そう心を決めて、アーデルハイトを誘うと、彼女は落ち着いた笑顔でグレンの申し出を受け入れてくれた。
愛沢 ミサ（あいざわ・みさ）は、せっかくの祭りだからと、紺色に煩くない程度の花模様が入った浴衣を着、髪を一つに結ってやってきた。
ミサのターゲットはシー・イー（しー・いー）だ。
しかし、変な所で臆病の為、断られたらどうしようと不安になりながらもシーイーを誘ってみた。
「あの。俺はパラ実生じゃないし、ただの一般生徒だけど･･････
よかったら俺と一緒に回ってくれないかな」
と、そこへ横から王 大鋸がひやかしを入れてきた。
「おう、この俺とデートしたいってか？」
「あ、ごめん。あんたじゃなくてシー・イーちゃんを誘ったの･･････
その、可愛いなって思ったし、仲良くなれたらなぁって･･････」
もちろん、シー・イーはミサの申し出を快く受け入れてくれた。
松平 岩造（まつだいら・がんぞう）は、パートナーのフェイト・シュタール（ふぇいと・しゅたーる）とフェスティバル会場にやってきた。
彼らは、パラ実とインミン共同祭ということで、なんとエリザベートと王から招待され、一緒に祭りをまわることになったのだ。
岩造は、エリザベートに声をかけると、星祭で自分が彼女に立ち向かったことを話した。
最初はエリザベートが悪人と思い込んだことで力で解決しようとしたら、校長室の手前で力尽きて倒れてしまう･･････そんなエピソードも語った。
フェイトのほうは、やや固くなっていたが、ふたりとのお祭りめぐりを喜んだ。
「こんなに偉いあなた達と一緒につきあえるなんて、私は本当に緊張してたまらなくなって来ました」
こうして、彼らは屋台へと向かっていったのだ。
