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学園鬼ごっこ!!

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学園鬼ごっこ!!

リアクション

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「零、すまない。遅れた」
 永夷 零(ながい・ぜろ)のパートナー・真里谷 円紫郎(まりや・えんしろう)が少し遅れて零と合流すると
「ちょっ、お前……その格好は目立ちすぎだろ」
 零は円紫郎の服装を見て腕を組む。
「今回、あくまで俺たちはいかにしてカモフラージュできるかなんだ」
「というわけで、エンシロウ! これに着替えるでございます♪」
 零の言葉に続き、ルナ・テュリン(るな・てゅりん)は円紫郎専用の衣装を取り出す。
「ルナ殿、これは……」
「蒼空学園の男子制服でございますよ♪」
 ……普段、和装しかしない円紫郎は気乗りしない様子でしぶしぶ更衣室で着替えをすませる。
「ど、どうだろうか」
 少し恥ずかしそうな表情で零たちの前に現れる円紫郎だが、零とルナは思わずふきだしてしまう。
「エンシロウ……ボタンが……ズレまくりでございます」
「お前、どんだけ不器用なんだ」
「この着物は、何故こうも複雑なのだろうか。もう懲り懲りだ」
 円紫郎のコスプ……変装が終わると、
「さ、行こうぜ」と零が言う。
「どこにいくのだ?」
 円紫郎が問うと、「それは決まっているでございますよ。生徒の集まる場所でございますわ」とルナがニコっと笑う。 
「円紫郎も一般生徒に見えるだろうし、これで俺らがペイント弾に当たることはまずないだろ」
 ルナはニコっと笑うと、零の言葉に頷く。
 しかし、これがフラグになっていることを零一行は誰一人として気付かないのであった。


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「この光景と共に飲むお茶は美味しいですね」
 落ち着いた面持ちであるというのに、言っていることは結構酷だったりする。
 志位 大地(しい・だいち)は、事の始めからメガネを外していた。
 大地がメガネを外しているときは、鬼畜な愉快犯。
 ウィングがはまったあのトリモチトラップも、
 京がとことん押しまくった危ないかほりのボタンも。
 実は、カンナ様が用意したものではなく全てこの男がしかけたものだったのである。
 それを高みからお茶片手に眺めている姿はドS以外の何者でもない。
 その横で、また問題児がひとり。黒霧 悠(くろぎり・ゆう)だ。
「ほら悠さん、貴方もどうです? この光景はなかなか愉快なものですよ」
「見なくともこの皆の騒がしい声で充分だせ。それよか、この澄み切った青空の下で皆寝ればいいのになー」
「なかなか貴方も面白い人ですね。あ、わらび餅がない。今持ってきますんで一緒にお茶でもしましょう」
 大地が屋上を出ようと扉に差し掛かったところで、バンっ!と急に扉が開けられた。
 同時に大地の顔面に直撃し、鈍い痛みが大地を襲う。
「こ、これは誰かの呪いですか……下手なトラップより幾分も辛い」
 そんな大地にも気付かずに扉を開け屋上に足を踏み入れた蒼空寺 路々奈(そうくうじ・ろろな)は、屋上でのん気に昼寝をしている悠に気付き、ため息をついた。
「君、ホントーにやる気ないのね」
「あ、先ほどはどーも。渡されたゴーグル役に立ってるぜ。サングラス代わりになってちょうどいいぜ」

「それより千鳥ちゃんと勇介君は?」
「知らない。たぶん、志位が知っていそうな気がするが……まぁ今は答えられそうな状態じゃないしな」
 大地は完全に気を失っていた。
「あれ、打てばいいのに。ペイント弾。お前、風紀側だろ?」
「駄目よ、これは千鳥ちゃんにあげるの」
 そっか、とまた悠長に横になる悠。
「一緒に寝ない?」
 路々奈に手を伸ばし、悠がそう言うと
「もー……調子狂うな」
 腰に手を当てて、参った声を出す路々奈。


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「げぇっ! あれは、朝野3姉妹か!?」
 レイディス・アルフェイン(れいでぃす・あるふぇいん)の第6感、それは朝野3姉妹の気配を感じとることだ。
 背中が殺気立つというか、まるでハブに睨まれたカエルの気分になるのだ。
「二人ともいい? レイちゃんをあそこに追い込んでくれるかな」
 朝野 未沙(あさの・みさ)が指示を出すと、朝野 未那(あさの・みな)朝野 未羅(あさの・みら)はコクッと頷くとペイント銃を構える。
 レイディスの元へ走ろうとしたとき、レイディスは光学迷彩を発動させる。
「あれれ!? レイディスお兄ちゃんがいなくなっちゃった……」
 レイディスの作戦は成功で、姿を綺麗に消しきってしまったので朝野姉妹はオロオロしはじめた。
 今のうちに逃げてやれ! そう思い一歩踏み込むと不運にも何やらスイッチを押してしまう。
「わ! なんだこれ!?」
 叫び声と共に、レイディスのいるであろう場所からモクモクと黒い煙が立ち上る。
 レイディスは自分が校庭にきたことを激しく悔やんだ。
 さすがに校庭にはトラップはないだろうという判断だったはずだが……
 気を抜いた瞬間に足元のスイッチを押してしまったのだ。
 黒い煙のせいで、光学迷彩の効果が発揮できずレイディスのいるであろう場所だけ不自然に光って目立ってしまう。
「レイディスお兄様、見つけましたですぅ♪」
 未那の声に驚き、レイディスは急いで逃げようとする。それに対し、
「止まれなの、動いたら撃つの!」と未羅が叫ぶ。
「……でも止まっても撃ちますぅ」と未那も続く。
「あまりいじめないでね」と未沙おねえちゃん。
「なんなんだよ!」
「未那お姉ちゃん! 私はお兄ちゃんの足を狙うの!」
「分かりましたぁ。私は胸元を狙いますぅ」
 未羅と未那が合図をすると一斉にレイディスにペイント弾を発射。
 ペイント弾を直撃されたレイディスの光学迷彩は効果をなくしてしまい、ペイントに塗れたレイディスの姿が現れる。
「ちくしょーっ! 煮るなり焼くなり好きにしやがれっ!!!」
「煮ないし、焼かないよ。レイちゃん」
 未沙がゆっくりと近づくと、レイディスの頬を撫でる。
「レイちゃん、いっつも無茶してあっちこっち傷だらけで帰ってくるから、心配してるんだよ? 
 あんまり無理ばかりしちゃ、ヤダヨォ・・・」
 ぎゅっとレイディスを抱きしめる未沙。
「あーっ、レイディスお兄ちゃん お姉ちゃん泣かしたぁ」
「いけないですよぉ、レイディス様ぁ」
 朝野3姉妹の行き過ぎた保護心にタジタジになるレイディス。
「あ、汚れちゃった洋服はお洗濯するからね」
 それでも、笑顔でいる朝野3姉妹が不思議と嫌いになれないレイディスであった。