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【2019体育祭】魔法と科学の借り物競走!!

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【2019体育祭】魔法と科学の借り物競走!!

リアクション



*16:30* 閉会式

 文月 唯『それではコレより、借り物障害物走での得点を集計いたします。なお、借り物時のトラブル解決なども得点に含まれます』
 九条院 京『発表なのだわ! コレは、ねぇ、ちゃんと計算したのかしら?』
 文月 唯『合っているはずだ』
 九条院 京『……発表するのだわ。得点、蒼空学園874点、イルミンスール魔法学校874点……同点のため、トロフィーは両校に贈らせていただくのですわ』


 観客席からブーイングの嵐が吹き荒れるが、各選手の点数の内訳を環菜が読み上げる。だれもがそれを聞いて納得しようと努力するのだが、ため息を盛大に漏らしてしまう。選手達にいたっては、いまさらながらお互いの健闘をたたえて手を握り合っていた。
 各競技の順位発表、表彰がすむと、マイクを後夜祭実行委員会が引き継いた。


 桐生 ひな『お疲れ様でした。後夜祭実行委員会の桐生 ひなです。さて、皆さん覚えていますでしょうか? このたびの借り物障害物走でのまけた学校の校長は、このブルマを着用していただくことになっていましたよね?』

「そういえばそんな話……」
「でも、引き分けだから負けじゃないわよね?」

 
 桐生 ひな『はい、勝者がいなければ両者敗者ってことですね』

 んな極端な! という声がいっせいに観客席から沸き起こる。だが桐生 ひなは赤い瞳を細めてにっこりと微笑んだ。

 桐生 ひな『……見たくないですか?』

 その最後の一声には、誰も叶わなかった。 
 環菜は深々とため息をついて、持ってこられた体操着に視線を落とす。「みかぐら かんな」とひらがなで書かれたネームタグがついており、サイズまでいつ測ったのか知らないがぴったりにできていた。しばらく渋っていたが、エリザベートはためらうことなく着込んでいた。彼女の胸元にも、「えりざべーと」とひらがなで名前が書かれていた。

「よく似合っているほうがぁ〜勝ちなのです〜」

 にやにやしながらこちらを見てくるエリザベートの視線に少しむっとして、自らも着替えを開始した。


 桐生 ひな『はい、お披露目は後夜祭の会場にてですので、速やかに撤収してくださいね〜ごみは持ち帰りにご協力くださいな〜』


 生徒達が後夜祭会場へ移動し終わった頃、相沢 美魅は早速会場のテントをばらしているポポガ・バビの横で、張り紙などの撤収を行っていた。セフィリア・ランフォードは机の片付け行いながら、あたりにごみが散らかっていないかの確認をする。ゴミ袋片手に集めた張り紙を丸めている九条院 京は、お手伝いの二人に声をかける。

「ありがとうなのだわ、みんな後夜祭に行ってしまって……」
「朝からがんばってくれている運営の人たちの力になりたかったんです。早く終わらせて、私達も後夜祭に行きましょう」
「もうすぐ机の撤収も終わりますし、次は救護テントでしょうか?」
「こっちは終わったわよ」
「あとは、貴賓席のイスも回収し始めてますしぃ、終わりが見えています〜」

 養護教諭の戸隠 梓と藍乃 澪はのんびりとした様子でごみ拾いを手伝っていた。本郷 翔はこっそり片付けを抜け出そうとしていたソール・アンヴィルを叱責しながら、簡易ベッドの運び出しを行っていた。それを苦笑しながら手伝うのは四方天 唯乃とエラノール・シュレイクだ。
 ようやく片付けが終了すると、運営に関わったものたちもようやく後夜祭会場へと移動することができた。

*17:00〜* 後夜祭

 後夜祭会場には、売店 賽の目も出展しており、障害物競走で撮影した写真を使った記念品も売られていた。後夜祭で出されるご馳走は、如月 さくらや広瀬 ファイリアのお手製だ。
 後夜祭の入り口に設置されたアーチに、照明代わりにくくりつけられていたのはエル・ウィンドだ。自らの装備品と、借り受けた照明機材で見事なまでに自分自身を輝かせていた。

エリザベート様! あなたの照明はこんなにも輝いていますよ☆」

 目線を合わせないように入場していく生徒達の目に映るのは、後夜祭会場の中央におかれているキャンプファイヤーのやぐらだった。

「さ、目いっぱい燃やすわよ〜!!」
「余計な事はしないでくださいよ! やぐらにおさまる程度までで!」

 妖艶な踊り子の衣装を纏ったターラ・ラプティスが詠唱を始めている横で、ジェイク・コールソンは再度念を押す。消火用の水や、アイテムを取り揃えてやぐらの反対側で、リィナ・ヴァレンも詠唱を開始していた。

「「パーッとど派手に、ファイヤーボール!!」」

 二人の詠唱が重なると、やぐらに火柱が出来上がり、天を焦がす勢いで燃え盛っていた。中に設置されていた花火にも着火し、空へと舞い上がり大きな音を立てて夜空を彩る華となった。その落ちてくる火花が会場内に設置されたたいまつに順に着火していき、後夜祭会場は一気に明るくなった。

「おお〜大成功!」
「ただ火をつけるだけだったら、ここまで盛り上がらなかったね! ジェイくんっ」
「ち、ちがうっ! 二人だけに任せると危ないから……」

 ジェイク・コールソンが計算したとおりのファイヤーアトラクションが成功すると、さらなる歓声が上がり、スポットライトが特設ステージに向けられるとマイクを握ったターラ・ラプティスと桐生 ひなが呼びかける。


 ターラ・ラプティス『さて、お待ちかねのショータイムッ』
 桐生 ひな『蒼空学園校長、御神楽環菜校長、イルミンスール魔法学校校長、エリザベート・ワルプルギス校長です!!』


 紹介されて、少し恥じらいの表情を残しながらでてきたのは金の髪を動きやすく三つ編みにした環菜だった。身体のラインが丸見えの前時代的な服装であるが、普段こういった露出をしない彼女を撮影するフラッシュが絶えなかった。ブルマ姿に短めの白いソックスをはいて、小鳥遊 美羽に負けず劣らずの脚線美を見せていた。
 エリザベートは長い髪をツインテールにして胸を張ってくるりと一回転して見せた。


 ターラ・ラプティス『カメラをお持ちの方は、どうぞ前へ〜なんちゃって』
 桐生 ひな『遠慮せず沢山撮影してくださいね〜』


「ちょっと、こんな話聞いていないわよ?」

 環菜はむっとした表情でマイクを持った二人を睨みつける。

 桐生 ひな『記念撮影は、お祭りの基本ですので〜』
 ターラ・ラプティス『そうそう、障害物走の写真と一緒に、永久保存の予定だから安心してね〜』


 がっくりと肩を落としながらも、要求されてしまうとポージングまでして撮影に応じてしまっていた環菜であった。


 テントの柱ごと片付けられそうになっていた明智 珠輝に、放送係を請け負ったメンバーが同情心からか飲み物を差し出した。
 (ただ縛られたままなので皿の中に飲み物を注ぐ形になっていたが)

「ふふ、こんな無残なプレイでも続くと楽しいものですね……ああ、ぞくぞくしてきましたよ」

 かなり離れた場所に放置されていたが、時折リア・ヴェリーやポポガ・バビが時折料理を持ってきていた。

「兄貴、リア、おつかれさま」
「まだこの後の片付けがあるだろ?」

 小鳥遊 美羽は貸し出していたステージ衣装を纏い、アイドルソングを熱唱して更に会場を盛り上げていた。ソア・ウェンボリスは最前列で声を張り上げて応援する。

「やっぱり、美羽さんが着た方がかわいいです!!」
「アイドルは衣装じゃなくって、私自身なんだからね〜!」

 間奏の合間に声援にこたえる小鳥遊 美羽のアイドルとしての知名度は、イルミンスールにまで届いたとか。そんな中、アルマ・アレフのところには生徒達の列ができていた。それをみつけ、如月 佑也は何をしているのか不思議そうに近寄って問いかける。

「はいはい、よくがんばったねぇ」
「何、しているんだ?」
「ああ、ほら、イイコトしてあげる〜っていったじゃない? だから、イイコトしてあげてるの」

 アルマ・アレフになでなでされている生徒達は、恍惚の表情で次の生徒に場所を譲っていた。

「こんな美人になでなでされるなんて。羨ましいぞぉ〜」
「私も、あとでなでなでしてください!」

 ラグナ アインがにっこりと笑ってそういうと、肩を借りていた如月 佑也が黙って青い髪を2度ほど撫でてやった。驚いてパートナーの顔を見つめたが、そっぽを向かれてしまった。


「ありがとうな」
「なにがだ?」

 椎名 真は、リュース・ティアーレの言葉に不思議そうに聞き返した。返事の代わりに、リュース・ティアーレは着メロのメロディをくちずさむ。そのメロディにまつわる思い出を互いに思い返し、夜空を見上げた。

「本当に大切なものは、目に見えないんだろ……? ありがとうな、真」
「……ああ」

 かみ締めるようにゆっくりと微笑むと、二人は紙コップの飲み物で乾杯をする。


 ターラ・ラプティス『さぁ! まだまだ燃やすわよ〜〜』

「たのむから! これ以上余計なことしないでくれ!!」
「消せば皆一緒だからもっともやそーよ〜」

 ジェイク・コールソンはパートナーたちの暴走を必死に抑えつつ、消火器を手放せない状態で右往左往していた。二人がかりで詠唱が始まってしまえば止めるのは難しく、二人はまた一緒に魔法を天に放った。

 夜空に打ち上げられた火球に、氷術の玉が打ち付けられて天から氷のかけらが舞い落ちる。時期的に降る雪に似たそれは手元に落ちる前にやぐらの炎の熱で消えてしまっていたが、魔術の心得があるものたちはまねして火球を打ち上げ、氷術をぶつけた。

 空から降り注ぐまばゆく輝きを放つ氷のかけらは、祭りの終焉を彩るのには最適だった。
 完全撤収が終わる頃には、夜も更けていた。

担当マスターより

▼担当マスター

芹生綾

▼マスターコメント

 まずお詫びをさせてくださいませ。新型インフル感染とその症状悪化のため入院しており、執筆が大幅に遅れてしまい、お客様方には多大なご迷惑をおかけしてしまい、本当に申し訳ありません。
 このたびの遅ればせながらの体育祭、いかがでしたでしょうか?
 借り物競争でしたが、もっと細かくルールを決めて提示するべきだったかもしれません。
 また次回に生かしたいと思います。ありがとうございました。


 10.01.06 運営から連絡を受けて一人称を修正いたしました。
      申し訳ありませんでした。