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ひな祭り…ほのぼのと過ごす? それとも段を占領?

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ひな祭り…ほのぼのと過ごす? それとも段を占領?

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第8章 おひな様とおだいり様のポジションを奪い取るのは誰だ!?

「ここが五人囃子の席か・・・。誰か一緒に座ってくれるといいんだけど・・・」
 ちぎのたくらみで10歳くらいの外見になった蒼也は、五人囃子の席に座ってくれそうな人を待つことにした。
「あっ、誰か来た!」
 ヨーゼフに乗ったかがみが猛スピードで登ってくる。
「よかったら一緒に座らないか?」
 蒼也はにこっと可愛らしい少年の笑顔を向けた。
「私はおひな様の席に座るの・・・。おひな様の席が私を待っているのよ・・・・・・」
 血みどろの顔でかがみは蒼也の方へ振り返る。
 彼女の凄まじい形相を見た蒼也は、何も言えなくなってしまう。
 その姿はナラカから這い上がってきた未練と妄執の塊の死霊にも見えた。



「ふぅ・・・やっと999段目まで来ました・・・」
 三人官女の席までヴァーナーがやってくると、満夜が綺麗な器に飲み物を注いで待っていた。
「ここまで来るのに喉が渇いたでしょう?」
「みかんジュースですか?いただきます」
 満夜が作ったオリジナルジュースは、みかんをベースにしているため香りはみかんだが、その味は強烈だ。
「はぅあ!?」
、桃の花とケフィア、そして青汁を全部混ぜた“菱餅三位一体”のジュースを飲んでしまったヴァーナーは気絶してしまう。
「MJで体力を回復してあげようと思ったんですけどね」
 満夜はバケツの中にあるMJを見て呟く。
「というかこれ、MJとはなんだ。いわゆる・・・まずいジュースじゃないだろうな・・・」
「いえ、違います」
 ミハエルに略称がまずいじゅーすかと聞かれ、涼しい顔できっぱりと言う。
「ではこっちのMJにしましょう」
 なんと満夜は別のバージョンを用意していた。
 牛乳と納豆そしてゴーヤをミキサーで混ぜ、裏ごししたジュースだ。
「ぜーぇはぁー・・・もう少しでおひな様の席に・・・」
 血を流しすぎたかがみは、ようやく三人官女までたどりついた。
「後1段・・・後1段で・・・・・・」
「その前に飲み物をどうぞ」
「―・・・はがああっ!?」
 飲まされたかがみは全身を痙攣させる。
「もう・・・ここまでね。疲れたわ、ヨーゼフ」
「―・・・・・・」
 ヨーゼフは力尽きたかがみの傍へ行き、暖めるように寄り添った。
「あら、また誰か来ましたね」
 満夜はラルクにもMJを飲ませる。
「おう、ありがとよっ」
 一気飲みして通過した彼を見て、ミハエルは唖然とした。
「ここがおだいり様の席か」
「たった今、ラルクさんが1000段目へ登り、おだいり様の席を取ったー!!」
 空から真が大きな声で実況する。



「うーん・・・」
 数分後、ようやくヴァーナーが目を覚ます。
「おひな様ー・・・早くおひな様の席に・・・」
 MJの影響で吐き気がしながらも気合いでよじ登る。
「やったー!おひな様の席につけました!!」
 たどりついたヴァーナーは大喜びする。
「最後に残った主役の席に、ヴァーナーさんが座ったぞーっ。えー、では結果報告を」
 真は各ポジションの実況を始める。
「五人囃子の段には、蒼也さん。三人官女の席には満夜さんとかがみさん。そして・・・主役の席、おだいり様の席にはラルクさん。おひな様の席にはヴァーナーさんが座った!」
「結局1人だったか」
 一緒に座る生徒がいなかったため、蒼也は寂しそうな顔をする。
「おひな様の席には座れなかったけど、この段も眺めもいいわね」
 かがみは三人官女の席から景色を眺める。
「おおー!いい眺めだな!それにバトルにも勝利したしいい気分だ」
 ラルクは最上段の眺めを楽しむ。
「甘酒を持ってきたぞ!」
 勝利者の2人はアーデルハイトから甘酒を受け取る。
「気が利くじゃねぇか」
 受け取るとラルクはぐいっと飲み干す。
「美味しいです、甘酒。桃の花や、ぼんぼりも綺麗です」
 ヴァーナーも酒に口をつけてにっこりを笑う。
「それでは今回の2020年、ひな段争奪戦。終了ーー!!」
 おひな様とおだいり様の役も無事に決まり、2020年ひな段争奪戦はこれにて終了した。

担当マスターより

▼担当マスター

按条境一

▼マスターコメント

ひな祭り、いかがでしたでしょうか。
美味しいお料理や、恐ろしい飲み物もありましたね。

一部の方に称号をお送りさせていただきました。
それではまた次回、別のシナリオでお会いできる日を楽しみにお待ちしております。