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空賊よ、さばいばれ

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空賊よ、さばいばれ

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chapter .11 ぶたいうら 


「言っておくけど、あんたを乗せるのはこれが最初で最後だからね」
 ツァンダ上空。電話を切ったヨサークに、フリューネが話しかける。彼女は落下後、助けに来たペガサスに乗り自分の直後落ちてきたヨサークをついでということで後ろに乗せていた。
「俺だって乗りたくて乗ってんじゃねえ」
「じゃあ降りる? 私は構わないわよ」
「……」
 主導権を握られ、ヨサークは返す言葉をなくす。顔は正面を向いたまま、フリューネが沈黙を破ってヨサークに話しかけた。
「それにしても……本当にこれで良かったの?」
「ああ? 何がだ」
「あんたたち声が大きいから、今の電話の内容丸聞こえよ。船員からの電話だったんでしょ? 制御して運転すれば、爆発は避けられたんじゃなかったの?」
「……いいんだよ、これで」
「……ふうん、ま、カシウナに財宝がちゃんと届けば私はそれでいいんだけど」
 あとは、とフリューネが付け足す。
「これだけひどい役回りになってあげた代わりに、後で何かおいしいものでも送りなさいよ。ラリってる演技なんて、初めてしたんだから」
「うるせえな、あの財宝の中から適当なもん売っぱらって換金しろ」
 ヨサークがぶっきらぼうに告げる。フリューネの言葉には、引っかかる部分があった。演技とは一体どういうことなのか。
 実は、フリューネはこのイベント前にヨサークから一部始終を聞かされていた。
 ヨサークが以前カシウナを襲ったことを後悔していること。罪滅ぼしがしたいということ。自分の財宝を与えたいが、面と向かって街に届けるのは恥ずかしいこと。
 そして、ヨサークはこの企画を思い立った。ゴールをツァンダ沿岸部にあるカシウナに設定し、そこでわざと財宝をばら撒き風に乗せてカシウナに届けるというプランを。空賊経験の長いヨサークにとって、この程度の風を読むのはわけないことであった。
 もちろん、想定外のこともあった。ヨサークは当初、船を壊すつもりも自分が落ちるつもりもなかった。そのためにわざわざフリューネに部屋の門番まで頼んだのだ。最初は断ったフリューネだったが、カシウナを復興させるためだ、とヨサークに言われ渋々了承したのだ。が、仲が良くないはずのフリューネが普通に門番をしていたのでは生徒に怪しまれてしまう。それを恐れたヨサークは、「適当におかしくなったフリでもしてろ」と指示を出していた。
「にしてもおめえ、演技とはいえよくあれだけの指を折ったな」
「何言ってんの、ちゃんと綺麗に折ったわよ。むしろ完治後には丈夫なるくらいのものよ」
 ゆっくりと高度を下げ、地上に近付いていくペガサス。
「ま、何はともあれあんたにしてはマシなことした方かもね。飛空艇はご愁傷様としか言えないけど、それもある意味自業自得だもんね」
「船なんて、また財宝集めてつくり直しゃあいいだろうが。どれだけこの空が広いと思ってんだよ」
 ヨサークの言葉を背中越しに聞き、フリューネは少し口元を緩ませた。
「……ところで、さっきからずっと気になってたんだけど」
 フリューネが、言いづらそうに切り出した。
「あ? 何だよ」
「その股間に広がってる染みは何よ。まさか空賊ともあろう者が、落下にびびってお漏らし……」
「うっせえクソメス! 耕すぞ!!」


担当マスターより

▼担当マスター

萩栄一

▼マスターコメント

萩栄一です。初めましての方もリピーターの方も、今回のシナリオに参加して頂きありがとうございました。
公開予定日を過ぎての公開になってしまい申し訳ございません。

今回送られてきたアクションが下ネタとパロディだらけで驚きました。出来る限り採用しましたが、
徹夜明けで今これを書いていてへろへろなのでリテイクにならないことを祈っています。

コメディということもあり、基本大体のことはありのスタンスでマスタリングしました。あまり没は出したくない派なので、
ガイドにはヨサークと接触不可能、とかザクロ出てこないとか書きましたが、
いくつかそういうアクションが来てコメディとして問題ない範囲であれば採用しました。
というかヨサークとフリューネに絡む人が予想以上に多くて驚きました。セイニィとかリフルがその分ゼロでしたけども。
方向性としてはそういう形で進めましたが、今回ちらほらと際どい方がいました。
MCLCが完全に別目的で別行動している、ダブルアクションどころかトリプルアクションくらいになっている、
などといった大原則も自由にやっちゃったアクションです。これらはマスタリングの際とても悩んでしまうので、
お控え頂けると幸いです。ただそれとは関係なく遅刻したのは完全に私のスケジュール管理ミスですけれども。すみません。

簡単に脱落者の判定などを説明させて頂きます。基本的には前回と同じです。
・偏り過ぎない描写量(アクションが面白くても生き残りすぎると出番多すぎになってしまうので泣く泣く脱落させてしまったり)
・オリジナリティー(希望アイテムやキャラの言動に独創性があるか。被ってたりすると脱落率増加)
・書きやすさ(キャラの個性が立っているか。また、キャラがおいしくてもきちんとそれを上手く活かしたアクションかどうか)
大まかにはこんな感じです。あとは絡んだキャラの相性とか、脱落した方が面白そうとかいう理由もあります。

なお今回の称号は、優勝者のみに送らせて頂きました。
今まで一定回数連続参加者にも送っていましたが、数が増え把握しきれなくなってきたのと、
無料版グラシナを担当したから連続参加賞をつけるのもおかしいかなと思い送りませんでした。
一周年でタイミング的にもちょうどいいかなと思いまして。
ちなみに称号を付与してなくても、アクションに対する意見などを個別コメントで送らせて頂いているパターンもございます。

最後に、今回も次回シナリオの告知させてください。
まだ確定ではありませんが、8月上旬頃に出したいと考えています。きちんと決まりましたらマスターページの方でお知らせ致します。
そんな感じで、長文に付き合っていただきありがとうございました。また次回のシナリオでお会いできることを楽しみにしております。