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リアクション
6:奇襲
「チャーリーファイブよりアルファワンへ。発炎筒です。潜入部隊からの合図です」
「了解。アルファワンより各機へ、これより突入を開始する。オリガはチャフ散布のタイミングを間違えないように」
「わかってますわ」
オリガが頷くと待機していたイコンのバーナーに火が入り一斉に飛び出していく。
やがて空母をレーダーに捉えた。
そして、空母から発進してくるイコンも。
その頃甲板上では飛び出してきたイコンに
「喰らいなさい」
朔の<機晶ロケットランチャー>が炸裂し、出力が落ちて移動速度が落ちる。
「絶望を味わえ!」
そして垂の<実力行使>による<絶望の剣>が腕関節を破壊して武器の取り扱いを難しくする。
あるいは青い長髪を持つかっこいい少女月島 悠(つきしま・ゆう)が<パワードアーム>を装着し<ドラゴンアーツ>と<ヒロイックアサルト:怪力>で、本来は設置して使う<重機関銃>を軽々と振り回して銃弾を発射すると、飛び出した銃弾はイコンのセンサーを破壊する。
銀髪をポニーテールにした小柄でかわいい麻上 翼(まがみ・つばさ)は<機晶ロケットランチャー>を発射する。
だが正面の装甲にあたったそれはほとんど効果を得られなかった。
「関節とかじゃないとだめなのかな……」
翼はそう言って次のイコンめがけて<機晶ロケットランチャー>をかまえる。
イコンを狙う工作のおかげで敵イコンの戦闘力はかなり落ちた。
そして爆音がイコンデッキの中から聞こえる。
エレベーターが爆発した音だ。
すべてのエレベーターに爆弾を仕掛ける暇はなかったが、これで何機かは出撃できないはずだ。
武尊も対イコン用機銃を破壊しまくる。
「おらおらおらおら!」
<機晶ロケットランチャー>を連発しながら銃座を壊して回る。
対イコン用兵器である<機晶ロケットランチャー>の攻撃力は銃座を破壊するのには十分なほどで、イコンに向かう攻撃は次第に減っていった。
金髪のセミロングの髪を持つ端正な顔立ちの美女リカイン・フェルマータ(りかいん・ふぇるまーた)は<パワーブレス>で攻撃力を高めると<ドラゴンアーツ>と<ヒロイックアサルト>で機銃を引っこ抜き、VLS=垂直発射システムに投げつける。
「ミサイルは発射させないわよ!」
爆発を起こすVLS。それはミサイルの誘爆を招いて大きな爆発を起こした。
「そのとおりです。海京……空京とは違いますがこれも縁、好き勝手はさせません。手前の舞、とくとごろうじよ。炎舞・鳳閃渦!(<ファイアストーム>)」
黄色の紙をボサボサにした地祇(ちぎ)の空京稲荷 狐樹廊(くうきょういなり・こじゅろう)は<ファイアストームで>VLSをさらに狙う。ミサイルが誘爆し艦に大きなダメージを与える。
「お嬢、くれぐれもミサイルに近接攻撃はしないでください」
「わかってるわよ!」
アフロで執事服を着た、どう見ても学生に見えないヴィゼント・ショートホーン(びぜんと・しょーとほーん)はリカインに注意をすると、自らも<ライトニングウェポン>でVLSを攻撃し過剰電流による沈黙を狙う。
「どうせならデカブツ潰したいよね!」
青いショートウェーブの髪を持ちはかなげな印象を見せるシルフィスティ・ロスヴァイセ(しるふぃすてぃ・ろすう゛ぁいせ)は<魔道銃>で飛び出してきたイコンに攻撃を与える。<機晶ロケットランチャー>程の攻撃力はないがセンサーを破壊することに成功したようだった。
そしてまたエレベーターで爆発が起こる。
「敵イコン、レーダーに感有り。反応からシュヴァルツ・フリーゲ5機、シュメッターリング15機と思われます」
黒髪を後ろで束ねた不良っぽい北条 勇人がそう報告をする。
「オリガ、チャフを散布するなら今です」
「了解!」
乳白金のロングウェーブを持つ胸の小さな美少女アンジェラ・アーベントロートがそう告げると、オリガはチャフが入った袋を空中に放り投げた。
「夏の空にキラキラと舞い落ちる雪のようですわ」
オリガがそんな感想を漏らすとチャフの雲がゆっくりと空を舞う。
「よし、突入だ!」
孝明がそう言ってイーグリットのスロットルを全開にさせる。
「こちらアルファワン。突入の前にコームラントは敵空母の艦載兵器を狙え」
「了解! ハイスコア狙ってやんよ!」
焦げ茶色のボサボサの神で、頼りない印象を持つ桐生 景勝(きりゅう・かげかつ)がコームラント砲撃を仕掛ける
「いくわよ!」
黒髪ロングで清潔な印象をあたえる美少女の葛葉 杏もコームラントの<大型ビームキャノン>をVSLめがけて発射する。
他にもコームラントが次々に遠距離射撃をすると、機銃やVSLが爆発を起こし敵の攻撃は次第に減ってくる。
「アルファワンより各機、戦闘を開始せよ」
「よし!」
黒髪をオールバックにした育ちがよさそうな笹井 昇がイーグリットで突入する。
「って…デビット、五月蝿いぞ隊内無線で音楽なんて流す奴がいるか。規則違反だろ」
それは、昇のパートナーのデビット・オブライエンがワーグナーのワルキューレの騎行を隊内無線で流し始めたのだ。ちなみに、ワルシャワフィルの演奏によるものだ。
デビットは赤い髪をポニーテールでまとめた端正な顔立ちのシャンバラ人である。
「他の連中も緊張してんだろうし、いい景気づけにもなんだろ。イエーイ、デビッド様のお通りだ。リンドセイちゃーん、オレの勇姿見ててね、ついでに椿も。そうそう、イルマもどっかで見てんだろ? オレらのカッコイイとこ見せつけてやろうぜ、なぁ、相棒」
『Ho-jo to-ho! Ho-jo to-ho! Ho-jo to-ho!』
オーケストラの演奏が隊内無線を通じて流れる。
「何でここでイルマさんの名前を出すんだ! 確かに潜入部隊に加わっているから、心配だけど、お前に言われると腹が立つ」
『Ho-jo to-ho! Ho-jo to-ho! Ho-jo to-ho!』
「こちらアルファワン。隊内無線による音楽の演奏を許可する。中佐のごとく敵に絶望感を与えろ」
「ひゅう。話がわかるね。それじゃ、コームラントさん、支援砲撃お願いね」
『了解』
3次元の編隊を組むイコンのなかから、イーグリットの隙間を縫うようにコームラントの<大型ビームキャノン>による砲撃が始まる。
それは10近くの光条となって敵のイコンを焼き払う。シュヴァルツ・フリーゲ1機とシュメッターリング3機で編成された敵小隊一個がこの空間から消滅する。
『Ho-jo to-ho! Ho-jo to-ho! Ho-jo to-ho!』
その瞬間の敵イコンパイロットの悲鳴は天御柱の生徒たちに重しとなって乗りかかる。
「突撃! 各シュヴァルム毎に戦闘を行え。戦況は逐一報告せよ」
『了解!』
「ECM、ECCM起動。作戦行動に入ります!」
佐那がコームラントを操作しながら電子兵装のスイッチを入れる。
「殿、そのまま機体を維持してください。砲撃に入ります」
佐那がそう指示して砲撃を開始する。だが、先程の一斉射撃とは違い単騎の射撃ではあっさりと敵イコンに回避されてしまう。
「単独で行動しようかとも思ったがやはりロッテなりシュバルムなりを組まねば無理か。近くの僚機へ、合流を要請する」
氏康がそう言うとすぐさま反応があった。
『Ho-jo to-ho! Ho-jo to-ho! Ho-jo to-ho!』
「こちら北条 勇人。イーグリットでよければ合流する」
勇人も単騎で行動していた。無謀にも敵小隊に単騎で急降下しながら突撃しようとしたところをマシンガンの集中砲火に会い、かろうじて後退をしたのだった。
「勇人、三時の方向から敵機接近」
乳白金のショートウェーブと青色の瞳を持つ強化人間神崎 一瀬が機体を管制しながらマスターの勇人に警告する。
「了解! 警戒を怠るな」
勇人がそう言うと、【ダークウィスパー小隊】から通信が入った。
海上迷彩塗装を施し「オルカ(シャチ)」で機体にマーキング下小隊で、本体を離れて戦場を迂回している小隊だった。
「こちら【ダークウィスパー小隊】の狭霧 和眞。当少隊は単独行動者の合流を歓迎する」
茶色のショートヘアをし、青い瞳を持ち、顔に傷跡のある和眞は、【ダークウィスパー小隊】のメンバーとして単独行動者の受け入れを表明する。
「了解。勇人ならびに佐那は貴小隊に合流する」
勇人がそう言って戦場を迂回して【ダークウィスパー小隊】と合流する。
「こちら【ダークウィスパー小隊】のアンジェラですわ。合流を歓迎します」
アンジェラも同様に受け入れを表明する。
「アンジェラ、あまり人を受け入れても身動きがとれないんじゃない?」
赤い髪を後ろで束ねた、かわいい少年の姿をした魔道書グラナート・アーベントロートがそう尋ねる。
「あら、数は力よ。それに、孤立している味方を捨てては置けませんもの」
「アルファワンより各機、敵の練度は予想以上に高い。決して孤立することのないように」
『了解!』
「こちら【ダークウィスパー小隊】のリュート・エルフォンス。連携を忘れないようにしようぜ」
「こちら北条、了解!」
『Ho-jo to-ho! Ho-jo to-ho! Ho-jo to-ho!』
「あうー……おかし……おかし……おかしがないとしんじゃう……うー……ポテトチップス……チョコレート……レーダー……索敵……うー……なんか目がかすんできて良く見えないよ……うにゅ……もうだめ……」
リュートのパートナーであるピンクのツインテールのかわいいハーフフェアリーのエリス・フォーレルは、小隊のメンバーにお菓子を奪われたため禁断症状に陥っていた。
そして、暫く動かなかったのに急にむくりと起きて
「あーん! おかしが食べたい〜!」
と、ものすごい勢いで駄々をこねだす。
「あーもう!エリスちゃんうるさい……帰ったら食べ放題でも何でも連れてってあげるから。静かにしてよー! 作戦が聞き取れないじゃないかー」
リュートが叫ぶとエリスはピクリと反応した。
「え……本当!? リュート君大好き! 愛してる! 結婚して!! よーし、やる気出てきた! がんばろうね!リュート君!」
「だから静かに!」
あまりのうるささにリュートが叫ぶ。
「ごめんなさーい」
そう言ってエリスは黙った。
「コームラントが支援砲撃をしてから、イーグリットが突撃。これに変わりはないですわ」
アンジェラがそう言うと『了解!』と言う声が無線に響いた。
『Ho-jo to-ho! Ho-jo to-ho! Ho-jo to-ho!』
エンドレスに編集された名曲は部隊の士気を否が応にも上げる。
「紹介が遅れました。私は【ダークウィスパー小隊】のエルフリーデ・ロンメルです」
エルフリーデは銀髪を三つ編みおさげにした美少女だ。パートナーのリーリヤ・サヴォスチヤノフは同じ銀髪をショートカットにした可愛らしい獣人。索敵をしながら警戒を行っている。
【ダークウィスパー小隊】とそれに合流した面々は四時の方向から追撃してくる敵機の群れに相対した。
コームラントが支援砲撃をし、敵が足を止めたところでイーグリットが<ビームライフル>で牽制してから突入し、<ビームサーベル>で勇人と共に3機がかりで一斉に攻撃をする。
『Ho-jo to-ho! Ho-jo to-ho! Ho-jo to-ho!』
それで注意がそれたシュメッターリング1機を撃墜する。だが即座に周囲の敵から攻撃を食らい、各々がそれぞれ小破〜中破のダメージを受ける。
「こちらアンジェラ。一度戻って整備を受けたほうがよさそうですわ」
「こちらリュート。同意する。と言っても、この敵さんたちの追撃をどうにかしないとな」
「こちら【ダークウィスパー小隊】のエルフリーデ・ロンメル。撤退のための支援を要請します」
「了解。アルファワンよりブラボー各機へ。【ダークウィスパー小隊】の撤退支援をせよ。
「了解! こちらブラボーワン。待ってろよ、今助けに行く」
『Ho-jo to-ho! Ho-jo to-ho! Hei-a ha! Hei-a ha!』
ホルン、ファゴット、声楽などで編成される旋律は今も部隊内無線を通じて全イコンに流されている。ワルシャワ・フィルによる名演奏は否が応にも戦意を高揚させる。ブラボー小隊もそうだった。
そしてコームラントのみで編成されたブラボー小隊が遠距離射撃で敵イコンに牽制をかける。
その瞬間にできた隙をついて【ダークウィスパー】小隊の面々は撤退。天御柱に戻り修理を受ける。
空母の生き残っているVLSから対イコン用ミサイルが発射される。
『Ho-jo to-ho! Ho-jo to-ho! Hei-a ha! Hei-a ha!』
杏はミサイルに向かってコームラントの<大型ビームキャノン>での撃ち落としを狙う。
だがいかんせん数が多い。
「橘 早苗より各機へ! ミサイルの迎撃を手伝ってください!」
早苗は杏のパートナーで黒髪を三つ編みおさげにした、地味だが胸の大きい強化人間だ。
『Ho-jo to-ho! Ho-jo to-ho! Hei-a ha! Hei-a ha!』
「シフ・リンクスクロウ了解。ミネシア、射撃は任せましたよ」
シフは銀色の綺麗な長髪と青い瞳をもった美少女で、イーグリットに搭乗していた。
「了解!」
パートナーの金髪のロングヘアで少女趣味のミネシア・スィンセラフィが返事をしてビームライフルを操る。
連射したビームのうち何発かが命中しミサイルをたたき落とす。また、各機体からチャフがばらまかれミサイルが軌道をずらす。
「綺雲 菜織、了解! 美幸、頼むよ!」
菜織は黒髪をポニーテールにした胸の大きな女性で、イーグリットに搭乗している。
『Ho-jo to-ho! Ho-jo to-ho! Hei-a ha! Hei-a ha!』
パートナーの黒髪のショートで肌が綺麗な強化人間、有栖川 美幸が兵器の操作を担当し、ビームライフルでミサイルを撃墜する。
だが、それでもミサイルを受ける機体は出てきて、それらは修理のために天御柱に戻る。
「こちら神村 理緒。受け入れ先を求めます」
黒髪でロングの胸が小さな美少女が受け入れ先を探す。
「理緒、急いでチームを組め。単騎じゃヤバイ」
パートナーでボサボサの黒髪をした、目付きが優しい不破 修夜がそう言いながら敵の銃撃を避ける。
理緒は<ビームライフル>で牽制するが、それでは追いつかない。
「こちら天海 総司。僚機が不足している。神村機を受け入れる」
青色のショートヘアを持つ精悍な少年が理緒の受け入れを表明する。
「総司さん、こちらも単騎ですよ。急いで合流しないと!」
銀色のロングウェーブの髪を持ち、はかなげな印象を受ける美少女であるパートナーのローラ・アディソンがそう言う。
「わかってる! くっそう、奴らの練度がこれ程高いだなんて」
「やはり単騎は危険なのだろうな。こちらイングリッド・ランフォード。こちらも合流する。キャロも合流を呼びかけてくれ」
金色のロングヘアを持つ大人びた印象を持つ美形の少女が無線で叫ぶ。
「わかったよお姉ちゃん。こちらキャロライン・ランフォードですぅ。イングリッド機との合流できる方お待ちしております」
パートナーで妹であるキャロラインは乳白金のロングウェーブの髪をしたはかなげな美少女だ。
「こちら藤堂 裄人。合流する。これでシュヴァルムとやらだな。サイファス、管制を頼む」
裄人はボサボサの焦茶色の髪をした目つきが悪くて厳しそうな少年だ。一方、パートナーのサイファス・ロークライドは銀髪でシャギーの知的で真面目そうな少年。好対照なパートナーである。
『Ho-jo to-ho! Ho-jo to-ho! Hei-a ha! Hei-a ha!』
「了解。敵指揮官機の出力が落ちている模様。工作班の仕事だと思います。これを落としましょう!」
サイファスがそう言うと、4機は出力が落ちているシュヴァルツ・フリーゲに向かっていく。
「どけ、雑魚が!」
イングリッドのコームラントの支援で敵が散開した隙に3機のイーグリットが<ビームサーベル>でシュヴァルツ・フリーゲの手足を切り落とし、コクピットブロックに<ビームサーベル>を突き刺す。
「よし、落とした!」
理緒はそう快哉をあげる。
だが、剣で攻撃するという空中で機動が停止する一瞬の隙を狙って周囲のシュメッターリングがマシンガンを撃ってくる。
「くっ!」
「あう!」
ダメージを受けてイコンが白煙を上げる。
「イングリッド機へ、離脱のための支援を願います」
「了解! こちらの攻撃に当たらないように!」
ローラの要請を受け、コームラントからビームが飛んでくる。それで敵がひるんだ瞬間に3機のイーグリットが離脱する。
「これは修理を受けないとマズイだろうな」
イングリッドがそう言って僚機に修理を受けるように促しつつ、新たな僚機を探す。
そしてイングリッドのコームラントの支援のもと安全圏へと離脱した3機は修理を受けるために天御柱へと戻った。
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