リアクション
* ヒラニプラのなかでもとりわけ魔物の流出に歯止めの利かなかった、という南部地域。 一説には、この魔物国がその元凶であった、とする書物もある。 「……」 城の尖塔から、何もない砂漠を見渡す桐生円。平和だ……! 「暇ーひまひまー」 オリヴィアもミネルバも出ていっちゃったし……「することなーい。……そう言えば」円は後ろを振り返り、扉を開けると城内に戻っていく。階段をつかつか下りて、「今まで城の中捜索したことないから探すよ」 何を探すかはわからないが、とにかく探してみた。 書庫。 「あったあった」 ここは、御誂え向きになるが……まあそういう物が出てきた。「さすが古城だね!」 円は片手にこの国や砂漠の歴史が書いてあるらしい分厚い歴史書を、片手に埃に塗れたいかにも妖しい魔道書?を手に取る。 「ふむふむ。何。 "なぜこの古城が砂漠という環境が悪い所に建っているかといえば…… 遥か昔 戦争に勝つがために 自国民を全て犠牲にしてまで召喚した獣によって 自国もまた滅んでしまった時の名残で……" ……って本当かよ。で、それで "……その獣は巨大な羊、そしてぬいぐるみだった。" ……。(南部戦記の更に記されざる記述。) "我が国は辛くも勝てたがもう滅びるしかないだろう 国民も緑豊かな大地も無くなってしまった 一族の長は自身を生贄とし封印した だがこの術は子孫に残そうと思う この恐るべき力を使いこなせるのであれば 我が一族は返り咲くだろう" ……」 歴史書を床に放り捨て(埃が舞った)、魔道書?にじっくり目を通す。 「……暇だし。 ふむふむ。なるほどね。わかった」 読み終えると魔道書も捨てる。 円は、城の中心部にあたる一室で、何かを床に描き始めた。円の捨てた魔道書の中にあるのと同じ魔方陣だ。 円は古い魔道書にあった呪文を唱える。 「召喚魔法……か。やっぱり何も起こらなくない? ……だめか」 円が背を向けたそのとき、部屋の暗闇のなかで何かがうごめき、あふれ出して……そこから出てきたのは巨大な羊ではなく、大量の魔物たちであった。 |
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