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マホロバで迎える大晦日・謹賀新年!明けましておめでとう!

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第三章 カウントダウンイベント 1

 マホロバの大晦日。
 新年を迎える準備で賑わっていたマホロバ城下の町並みも、夕方ともなると皆家に帰りひっそりとしている。
 しかし、一角だけ活気のある場所があった。
 マホロバ城である。
 城では、花火職人が出入りし、新年を祝って冬の花火を上げるという。
 そしてそのために、特別に城を開放するというのだ。
 大勢の人がそれを見ようと集まっていた。



 マホロバ城内にある大広間は全ての襖が取り払われ、その広さは千畳もの広さになっていた。
 六ツ半(午後7時)を回ったころには、紅白歌合戦を見るために陣取り合戦をしたり、、用意されていた料理と酒がまわり、騒ぐものも出始めた。

「紅組がんばれ〜!!」
「絶対、白組! 白組です!」
「ハイナ総奉行がテレビに映るためとはいえ、審査員としてもぐりこんでるぞ!」
「さすがアメリカ人どんだけテレビ好きだよ!?」

 マホロバに放送電波が届くのかという事情は一切無視し、皆応援したり、一緒に歌って騒いでいる。
「おい、忍。楽しんでおるか〜!」
 すでに出来上がった様子の英霊織田 信長(おだ・のぶなが)に、桜葉 忍(さくらば・しのぶ)が心配して声をかけている。
「信長、お前もしかして、お酒飲んだのか?」
「私は酒なんぞ飲んでおらぬわ、このど阿呆!」
 信長はそういいつつ、周りには空き徳利が何本も転がっていた。
「こんなものは水だ、水。それより、おまえはどうなのだ? ここの料理も水も案外悪くは無いぞ」
「俺はまだ未成年だし。でも、そんなに食べて、この後、大奥から年越し蕎麦が出されるんだろ。食いきれるかな」
「なに、年をまたぐ前に食べ終わればよい。そばは切れやすい。よって、その年の借金や災いを断ち切るという意味があるのだ」
「信長、博識だな」
「私を愚弄するか? 私はお前よりずっと年上じゃぞ」
 そんな会話を続けているうちに、大広間の奥のほうでワッと歓声が上がった。
 お待ちかねの、大奥の女官が作った年越し蕎麦の登場である。
 美しい女官が運んできた器に、我先にと人が群がっている。
「忍、とって参れ」
「は? 無理だろ、あんなに。人が空いたらもらいに行くよ」
「蕎麦が伸びたら、美味くもなんともないではないか。行ってくるのじゃ〜!!」
 信長は酔った勢いで忍の背中をぐんぐん押す。
 ……ドンッ!
 忍はもみくちゃにされながら先頭まで来ると、目の前に巨大な壁にぶつかった。
「……ウダ!?」
「ア、ドモ。オツカレサマデス」
 ウダは忍のために蕎麦を取ってやると、彼に渡した。
 忍、信長、ウダを三人並んで年越し蕎麦をすする。
「ウダって、マホロバ先住民の鬼なんだってね。鬼鎧の祠で鬼鎧を守ってたみたいだけど、第一回で死んじゃったんだって?」
「ソウダ。ソノアト、出番ナシ。トホホ……」
 しゅんとなるウダの大きな背中をなでて、慰めてやる忍。
 ウダは言った。
「デモ、鬼鎧復活。ウレシイ。コレカラモ 鬼 ヨロシク」
「ああ……その手伝いができて俺もうれしいよ。鬼鎧がもっと活躍できるといいな」
 忍はやさしい大きな手の鬼とかたい握手とした。
 「ところで……」と忍は、信長を見る。
「何で信長は、ハイナをマホロバ将軍にしたいと思ったんだ?」
 突然、忍に話題を振られて信長は咳き込んだ。
「あ〜、あれはだな。ちょっとした情報不足だな。ハイナをもっと良く知っておけば、ああは言わぬ。あの発言は忘れておけ」
「彼女のことをもっと知りたい……か。遠まわしに口説いてるのかと」
「何をを!? 若造が、私をからかうなんぞ五百年早いわ〜!」
 信長は立ち上がると上半身裸になり、アゴを突き出し、忍に頭蓋骨固め(ずがいこつがためをくらわせていた。
「ロープ! 信長、ロープ!!」
 忍の悲鳴に、余興が始まったのかと見物人が集まってきた。