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ロック鳥の卵を奪還せよ!!

リアクション公開中!

ロック鳥の卵を奪還せよ!!

リアクション

 校長室へと続く、暗闇の廊下を歩くエリザベートたち。
 しかし――
「ん? う……後ろから誰か来るみたいですぅ!?」
 ふと、エリザベートが耳を澄ましてみると……彼女達とは別に、小走りに近づいてくる者の足音が、静まりかえった廊下に反響していた。
「ま、まさか……盗賊たちが校内に残っていて、私達を消しに来たとかじゃないですよねぇ!?」
「だ、だったら! エリザベートちゃんは、私が命に代えても守りますぅ!」
 怯えきったエリザベートを守るように、その身体をギュッと抱き寄せる明日香。
「二人とも……そこで待ってて。私が様子を見てくるわ」
 緋雨は二人をその場に待機させると――
「フッ!!」
 短い呼気と共に地面を蹴ると、目にも留まらぬ速さで廊下を駆け出した。
 そして、謎の追跡者との間合いを詰めると一気に掌底を鳩尾へと叩き込む。
 が――
「っ……何者だっ!?」
 緋雨の掌底は、あっさりと相手に弾かれしまった。
 それどころか――
「くっ……」
 ギリギリで頭を捻って交わしたが、緋雨の額にはカウンター狙いで銃口が向けられていた。いくら様子見のために手加減しだとはいえ、あっさりと攻撃を受け止められたことに、緋雨は少し動揺した。
 拮抗した空気が辺りを包み込む。
 しかし――
「あれ? 朔夜じゃないですかぁ。こんな所で何やってるんですかぁ?」
 様子を見るために駆けつけてきたエリザベートの火術が廊下全体を照らし出すと、その拮抗した空気はあっさり崩れさってしまった。
『エリザベートさん? ていうことは……あ、間違えちゃったみたいですね。てっきり、朔夜さんを盗賊が狙って来たのかと思いました』
 実は……緋雨が襲い掛かった相手は、朔夜――の身体に憑依した笹野 桜(ささの・さくら)だった。
 しかし、彼女が憑依していることは誰にも知られていない上に声も聞こえないので、エリザベートたちは朔夜本人だと勘違いしているようだ。
『でも、盗賊じゃないなら大丈夫そうですね。それじゃ、朔夜さん。身体はお返します』
 朔夜を守るため、緋雨が駆け出した瞬間に無理やり憑依した桜だったが、どうやら危険はないようだと判断して憑依を解いた。
 そして――
「あ、あれ? 僕は今何を……?」
 憑依中で意識が気絶状態だった朔夜は、今の戦闘に関する記憶がないので困惑してしまうのだった。
「な、何だかよくわかりませんがぁ……二人は何しに来たんですか?」
「えぇっとだな……俺たちは、盗賊に関する情報を集めるために、生徒名簿を見せてもらいにここまで来たんだ」
 エリザベートの質問に対して、困惑した朔夜の変わりに冬月が応える。
「実は、俺たちが集めた情報をまとめた結果、盗賊は生徒に紛れ込んでロック鳥の卵に関して調べていた可能性があるんだ。校長、もしよかったら生徒名簿を見せてくれないか?」
 冬月は、自分達の得た情報と推理を全てエリザベートたちに伝えた。
 すると――
「なるほどぉ。だったら、私達と同じ考えですねぇ! いいでしょう、ついて来てくださぁい! 犯人を見事暴いて見せるですぅ!」
 あくまで明日香と緋雨が推理したにも関わらず、エリザベートは自分の推理と同じだといわんばかりに神妙に頷いて見せたたのだった。

『――というわけで、盗賊団の正体は【イビンシヴル】という百人構成の盗賊団ですぅ。イルミンスールに潜入して機会を窺っていたようですぅ。しかし、一応イルミンスールで学んでいた盗賊なので、接近戦だけが取り柄ではないので気をつけてください〜』
 通信によって、奪還に向かった生徒達へ集めた情報や資料の内容を伝え終えたエリザベートたち。
 とりあえず、盗賊団の正体を突き止める事には成功したのだった。
 だが、それでも朔夜は納得がいかないことがあるようだ。
「……しかし、いつ誰に見つかるかも分からないのに、何で泥棒さんは燃料の補給場所について話し合っていたのでしょうか? そういうのって普通、事前に決めておきますよね?」
「たしかにその通りですけどぉ、相手の情報を少しでも得られたのは不幸中の幸いですぅ。ドジな盗賊で助かりましたぁ」
「う〜ん、そうだと良いんですけど……」
 楽観的な意見のエリザベートとは対照的に、朔夜は不安をぬぐえない様子だった。