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昼食黙示録

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昼食黙示録

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最終章 黙示録と共に

 蒼空学園調理室、そこにレティーシアがいた。
 調理実習というわけではなく、昼休みに許可をもらっている。
 だが彼女は許可を届けた覚えはない、そして彼女は今とても気分が良くない。
「始まりました、ベアとレティのドキドキっ!クッキングタイム!! 司会は私ベアトリーチェ・アイブリンガー(べあとりーちぇ・あいぶりんがー)と、レティーシア・クロカスでお送りします」
「そして解説兼実況兼試食には私、小鳥遊 美羽と加能シズル、エヴァルト・マルトリッツが担当いたします! それではまずクロちゃんに意気込みを……」
「何ですのこれは!? 料理を教えてくださると聞いたから来てみればこの騒ぎは!?」
「まぁまぁ気になさらないでください」
「気にしますわ!! 第一何故テレビカメラなどという仰々しいものがありますの!?」
「あっ、ちなみに校内に流れているから。 もちろん生で」
「どうしてこんなことに……」
「何故俺まで連れて来られなければならないんだ?」
「大体こんなことをしては先生たちが黙っていませんことよ! いますぐそんな……」
「その点については問題ありません、協賛には山葉 涼司校長先生が全面的に協力していただいております!」
 校長何やってるの? と心の中で突っ込むシズルとエヴァルト。
 レティーシアは美羽に連れて来られる最中に、ベアから料理を教えてもらえるということでついてきた。
 言葉では必要ないと言っていたが、内心ではとても楽しみにしていた。
 これでシズルに何か言われることなく、心おきなく料理ができるようになると期待していた。
 ところが始まってみればこの状況、これでは面白対象の株が上がるだけだ。
 口では色々言ってみるが、こんな機会滅多にないと思うと投げ出して逃げる、ということは出来ずにいる。
「とりあえず、初心者の方でもすぐに作れるようにサンドイッチを作りましょう。」
「サンドイッチ……」
「簡単そう、という思い込みはやめましょうか。 何事も真剣にやらないと後で痛い目を見てしまいますしね」
「……分かりましたわ」
 ベアはカメラがあるということに対して気にしていないようで、今日作る料理を教える。
 一見簡単そうだと思ったレティーシアの真意に釘をさして慎重に行こうと諭す。
 彼女の言葉が深く響いたのか、レティーシアはベアの手順をしっかりと聞きながら作業を開始する。
「始まりましたね、それではシズルさん。 普段クロちゃんはどんな料理に挑戦していたんですか?」
「あの子が普段実家で食べているような高価な料理」
「……、素人が作れるものとはとても思えないんだが」
「ええ、だからまぁ塩抜きはしていないやら、鱗は削ぎ落していない、腸の部分を処理していない、なんて言うのは茶飯事」
「へぇ〜……」
「おまけに、あの子がコンロ使うと何故だか知らないけど爆発が起きるのよ。 おかげで何度部屋が黒こげになったことか」
「シズルちゃん、そういうのは萌え要素っていうんだよ!」
「現実にやられたらただの迷惑行為よ?」
「それもそうだね」
「納得するんかい!?」
「ちょっとシズル! 余計なことは言わなくていいんですのよ!!」
 解説席では美羽が普段のレティーシアの料理風景をシズルに訪ねていた。
 シズルは静かに見守っていたが、美羽の話題の言葉に嫌なことを思い出してつらつらと語る。
 レティーシアはそんなシズルの行動に釘をさすように言葉を投げかける。
 そんな和気藹々とした空気をベアは楽しそうに、レティーシアの料理をチェックしていた。

「完璧金髪美少女、実はドジっ娘属性持ちか……これは予想以上に売れますわね」
 この調理風景、密かに別カメラで隠し撮りをしていたのは秋葉 つかさ。
 どうやら彼女が今回の影の首謀者らしく、どうやったのか涼司にまで手を回したのも彼女の手配だったようだ。
 このビデオは後にレティーシアのファンの間で高値で買い取りされているなど、当人は知る由もなかった。