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【蒼空のフロンティア秋祭】秋のSSシナリオ

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【蒼空のフロンティア秋祭】秋のSSシナリオ
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リアクション


【明日の為に、その一 『女子力を養うには、まずお菓子作りから!』】 〜 東雲 秋日子&キルティス・フェリーノ 〜

 そして、オラコン翌日−−。

「起きて、秋日子さん!もう朝だよ!」

 その声と共に、取り払われる布団。
 全身が、寒気に襲われる。

「な、ナニ〜?いったい〜」

 パートナーのキルティス・フェリーノ(きるてぃす・ふぇりーの)の声に、東雲 秋日子(しののめ・あきひこ)は目をこすりながら上体を起こした。
 エプロンをつけたキルティスが、仁王立ちになっている。

「さぁ起きて、秋日子さん!朝ごはん済ましてくれないと、キッチンが使えないんですから!」
「え〜。朝ごはんって……、まだ6時だよ〜。昨日遅かったんだし、もう少し寝かせてよ……」

 バッタリと、顔からベッドに突っ伏す秋日子。

「ナニ言ってるんですか!今日は、一緒に女子力を向上させる約束だったじゃないですか!」
「じょしりょく……?あぁ、あの周防 なぎさ(すおう・−−)ってコに張り合って、キルティスがいいだしたヤツ……」
「そう!ボクの女のプライドに賭けて、あんなポッと出の小娘に負ける訳にはいかないわ!」
(キルティス、キミ、女の子だったっけ……?)

 周防なぎさとは、昨日のオラコンでテロリストに襲われそうになっていた所を御上 真之介(みかみ・しんのすけ)に助けられ、彼に一目惚れしてしまった女の子である。
 それだけならまだ良かったが、その場で御上獲得競争に名乗りを上げ、彼女の対抗心に火を付けてしまったのである。

「女子力向上のためには、まず料理力!という訳で、早速今日から特訓です!」
「何も、こんな朝早くからやらなくても……」
「何言ってるんですか、『善は急げ』ですよ!それに早く作って持ってかないと、今日中に御上君に食べてもらえないじゃないですか!」
「本音はそっちね……」


「それで?料理の特訓って、何を作るの?」
「千里の道も一歩から!まずは基本中の基本、お菓子作り!……のさらに基本、パウンドケーキを作ります!」
「あ、そうなんだ。アレって、確か粉混ぜて焼くだけだよね!これなら簡単そう♪」
「そんなコト言って〜。秋日子さんはいつも分量が適当で、みんなから『うまずい料理人』とか言われてるんですから、今日はちゃんと測ってくださいよ〜」
「わ、分かってるよ!うまずいなんて言っちゃって、失礼だな、もう……」
「ホラ、言ってるソバから目分量!」

 などとそれなりに騒ぎ失敗しながらも、所詮はパウンドケーキ。
 お昼前には、それぞれのケーキが完成したのであった。

「うわ〜、いいにお〜い!」
「ウン、見た目は美味しそうに焼けましたね」
「な、何よその『見た目は』って……」
「や、やだなぁ秋日子さん。別に、そんな意味で言ったんじゃないですったら」
「良いよ、もう。それよりホラ!御上先生のトコ行くんでしょ。早く準備しないと、間に合わないよ!」
「あ!た、大変だ、早く着替えないと!キャー!」

 慌ててキッチンを飛び出す2人。
 結局パウンドケーキは味見もされずに、御上の元に持ち込まれる事になるのであった−−。