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十人十色に百花繚乱、恋の形は千差万別

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第十七篇:聖・レッドヘリング×ちび ちゃん×嵐を起こすもの ティフォン

「これは参りましたね」
 現在のパラミタ・シャンバラ大荒野。バザールの会場で聖・レッドヘリング(ひじり・れっどへりんぐ)は呟いた。
 聖は大荒野のバザールに、ちび ちゃん(ちび・ちゃん)を入れたバスケットを持って出かけていたのだが、買い物をした荷物の整理をしていたところ、ちびちゃんが行方不明になってしまったのだ。
 一方その頃、バザールの会場から離れた荒野の真ん中では――。
「そこの少女よ、なぜ泣いているのだ?」
 荒野の真ん中でぴーぴー泣いていたちびちゃんに声をかけたのは、嵐を起こすもの ティフォン(あらしをおこすもの・てぃふぉん)だ。
「あたい、迷子になっちゃったんです」
 ちびちゃんが言うと、ティフォンは身をかがめ、その巨大な手を差し出しながら言う。
「なるほど。事情は理解した。ワタシの背に乗るといい――家族を一緒にさがしてあげよう」
 そして、ちびちゃんを背中に乗せたティフォンは空へと飛び立った。
「あっちでもない、こっちでもない、あのひとでもない、このひとでもない」
 空から聖を探すちびちゃんを乗せ、ティフォンは飛び続ける。
 気が付けば、二人はぐるっと世界を一周していた。そして、一番最初のオアシスのすぐそばで、ちびちゃんをさがしてくれている聖をティフォンが見つけてくれたのだ。
「ありがとうございます。ちびちゃんがお世話になりました」
 丁寧に頭を下げる聖を見て、小さく笑うと、ティフォンは名前も告げずに空へと去っていった。
 バスケットに入れられて家へと帰る道すがら、ちびちゃんは聖に言った。
「ドラゴンさんの手はおおきくて、あたいが何十人ものれそうだったけど――そういえばなまえもきいてなかったです」
 そして、ティフォンが飛び去っていった空の彼方を見ながら、ちびちゃんは言った。
「また会えるといいなぁ……なんだか、どきどきします」