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取り憑かれしモノを救え―調査の章―

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●白銀の剣

「なあ、あの剣って何なんだ……?」
 他の皆が情報を集めに散った中、ニーア・ストライク(にーあ・すとらいく)はなおも村長に食い下がっていた。
「知らぬ……私もこの村に就任したのは最近なのだ」
「本当に知らないのか?」
 ニーアは村長の目を見て話すが、そこに嘘の色が無いと判断したのか話の論点を変える。
「まあ、わかんねーもんは仕方ないとして、そんじゃあの剣の歴史について知っている奴はいるのか?」
「……資料館に歴史の類は保管してあると聞くが、私はいまだかつて一度も見たことが無い」
 村長はそこで溜息を一つ吐く。
「本当に私にも分からないのだよ。疑問を持ち独自に調べたが、この村に住む老人はこの話は禁忌だといわんばかりに口をつぐむ。
 去年の儀式は村の老人たちの助言を聞き成功したが……。どうやらただ意思が強く熟練の腕前を持っている術師ではダメのようだ」
 本当に村長は何も知らないようだ。
 きっと村長としての引継ぎの時も封印結界のことは上っ面しか知らされていないのだろう。
 ニーアは悔しそうに歪む村長の表情を見てそう悟った。
「……村の老人たちなら何か知っているんだな?」
 村長が資料館に行っても資料が見つけられないのならば、当事者たちの口を割らせるしかない。
 これは骨が折れる作業だ、とニーアは一人肩を竦めた。
「それじゃあ行こうか」
「!?」
 突然の声にニーアは驚き飛び上がった。
「私も話を聞こうと思って戻ってきたんだけど、取り込み中みたいだから待ってたんだ」
 七瀬雫(ななせ・しずく)がこともなげにニーアにそういった。
「大事件みたいだし、いろんな人が動き回ってるみたいだね」
「そうなのか……」
 それは心強いといわんばかりに、ニーアは気を引き締めなおす。
 今回ばかりは面白いからで済まされることではないことは重々承知していた。
「ミルファさんが向かった場所とは逆方向の広場にみんな集まっているみたいだから、行ってみよう」
「ああ!」
 雫の情報にニーアは答え村人たちが避難しているところへと向かっていく。
「村長さんも、早めに逃げてね、危ないから」
「いや、私はどうなるか、ここで見届けるよ」
「そう。でも、身の危険が迫ったらすぐに離れたほうがいいよ。渦中で指導者を失うと立ち直るのに時間がいるからね!」
 雫は優しい声音で村長に言った。