校長室
アフター・バレンタイン
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第5章 灰色、乱入 「そうか! あなたたちだったんだね、結和のお菓子をまずくしちゃったのは!」 ルカルカ・ルーが灰色人間を指差す。 「ほら、あなたたちも責任持って食べてね」 ひょいひょいと高峰 結和のチョコレート菓子を灰色人間に渡す。 「こちらもどうぞ」 すかさず、結崎 綾耶がティーカップを差し出す。 中には完璧なタイミングで入れられた琥珀色の液体。 「ム……」 「うゥ……」 勧められるままに一口食べ、悶絶する灰色人間2体。 「あ、あの、無理しなくってもいいんです、よ?」 結和がおそるおそる声をかける。 しかし、その瞳は僅かに赤くなっていて。 「……いヤ、うマい」 「ごちそウさまでス」 灰色人間、チョコ菓子完食。 結和の顔がぱっと明るくなる。 ぱぴゅぱぴゅん! 2体の灰色オーラがはじけた。 「そうか! あたしの自慢料理がまずくなったのも、おまえたちのせいね!」 セレンフィリティ・シャーレットが皿に乗った黒い謎物体を片手に、灰色人間を指差す。 必死で首を振る灰色人間。 「ほら、責任もって食べなさい!」 灰色人間の口に料理を押し付けるセレンフィリティ。 「……!?」 悶絶する灰色人間。 「ふぅ、これで料理は片付いた……と、セレアナ、どうしたの?」 先程までセレンフィリティの料理を口にして倒れていたセレアナ・ミアキスが、ゆらりと立ち上がる。 「……ほしいの」 「ん?」 「セレンのことが、今すぐ、ここで!」 「わ、ちょっと!?」 セレンフィリティを押し倒すセレアナ。 どうやら謎料理には催淫効果があったらしい。 「ま、待ちなさいよ、こんな所で……あっ」 周囲を気にせず絡み始める二人。 「……ごちそウさまでス!」 ぱぴゅぱぴゅん! それを見ていた灰色オーラが2体はじけた。 いつの間にか、残った灰色人間は1体。 お兄ちゃん攻撃にも男の娘攻撃にもドS攻撃にも耐えきり、パーティー会場の各種攻撃にも耐え残った一人。 「こいつ、今までの奴と違う……?」 灰色人間を追いかけてきたエヴァルト・マルトリッツが呟く。 「まったく、チョコパーティー会場に乱入するなんて。チョコを粗末にする奴はボコボコにしてやる!」 ヴァイス・アイトラーが光状兵器を構えようとする。 「……待って」 ヴァイスの服がつい、と引っ張られた。 斎藤 ハツネだ。 「何?」 「あの人は、不幸なの。ハツネが『リア充』にしてあげるの。そしたら、ハツネを褒めてねぇ☆」 そう言うと、最後の灰色人間の前に進み出るハツネ。 「はい」 ハツネが灰色人間にチョコを渡す。 黙ってそれを受け取る灰色人間。 変化はない。 「食べて。特製のチョコ」 灰色人間が一口、チョコをかじる。 ぱきり。 「特製の……爆弾入りチョコ」 カチカチカチ……ちゅどーん!! 灰色人間の周囲に茶色いチョコ煙があがった。 運悪く、灰色人間の近くにはチョコレートファウンテン。 爆発に巻き込まれたチョコレートが、会場一面に降り注ぐ。 「爆発したら、リア充の印なんだよぉ」 「こ、この俺がリア充……悪く、なイ」 ぱっぴゅん。 一際大きな音を立て、灰色オーラがはじけた。 「あ」 オーラが消え、元に人間に戻った最後の灰色人間を見て瀬山 裕輝は思わず声をあげた。 「こいつ……ツッコミ仲間の忍やんか」 最後の灰色人間。 その正体は、以前、裕輝と共に戦った(?)こともある湯浅 忍(ゆあさ・しのぶ)だった。 「お前がどうしてこんな事に……」 「……ただ、バレンタインが憎かった。それだけさ」 かくり。 それだけ言うと忍は意識を失った。 いつものドレッドヘアーは爆発の影響でアフロヘアーになっていた。