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荒野のピストルランチ!

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荒野のピストルランチ!

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運命に翻弄された兄弟 現る

 各々が食事を楽しんでいると、酒場のドアが開き拳銃を持ったダッドリ―兄妹が乗り込んで来る。

「手を上げろ!!  死にたくない奴は、動くんじゃねぇ!」

 辺りは一気に静寂が支配する。


「あー……ええっと」

 カウンターでランチを食べていた熾月 瑛菜(しづき・えいな)はぱちくりしながらも一応、そろそろと手を上げながら酒場に居る客たちを見回した。

 瑛菜と同じように手を上げているのは近遠と、その近遠に合わせてそろそろ上げたユーリカ、アルティアだけ。イグナはそんな三人を庇う様に身構えている。

 他にはダッドリーたちなど気にせず食事を続ける人もいた。



バンッ



 フレンディスとのデートを邪魔され、キレたベルク。

「おい……俺の貴重な時間を邪魔すんじゃねぇ!」

 ベルクは兄弟にエンドレス・ナイトメアを発動させた。
 頭痛と吐き気に侵され動けないでいる兄弟に、ランチを食べていた無限 大吾(むげん・だいご)が酒場にあった縄で縛る。

「おいおい、白昼堂々強盗とはな。一体、何が目的だ? 金か?」

 大吾はそう聞くが、エンドレス・ナイトメアによって話せない兄弟。
 フレンディスに話が聞けないと言われ、ベルクはようやく発動を切った。

「もう一度聞く。一体、何が目的だ?」
「……金なんて問題じゃない。俺たちはただ乗り物が欲しいだけだ」
「なんで乗り物が欲しいんだよ?」

 大吾の隣でねこまんまを食べていた西表 アリカ(いりおもて・ありか)が交渉に入ってくる。

「それは……」
「僕達の妹を……ノノンを助ける為に必要なんだよ!」
「こいつと引き換えにな」

 バーニィが持っていた新型麻薬の苗を視線で指し示すダッドリー。

「これは?」
「バーボン一家に取り入って盗んで来た、新型麻薬の苗さ」
「麻薬!?」
「これを運んでいたんだけど、エアカーが動かなくなっちゃたんだ。このまま届けられないとノノンが殺されちゃうんだよ!」
「訳なんてどうでもいいだろ! さっさと乗り物を寄越しやがれ! 早くしないとあの…バーボン一家が来ちまう!」
「来るなら来いってものよ。マスター、ウォッカをいくつかちょうだい。出来るだけ純度の高いモノを」

 バーボン一家がいつ来るかと慌てる兄弟に、ローザマリア・クライツァール(ろーざまりあ・くらいつぁーる)がマスターに注文する。
 すっとウォッカ瓶をローザマリアの前に出すマスター。

「敵に対抗する手段は2つ。黙って逃げるか派手に攻撃するか、よ。どういう訳か、あの手の悪党獲物がぼんやり待っているもんだと思い込んでいるから、準備万端で迎え撃ちましょう。瑛菜、手伝って」
「分かった」

 ローザマリアは瑛菜にも火炎瓶を作らせ、バーボン一家に備える。

 別の場所で今の話を聞いていた唯斗は下忍を三人程呼ぶ。

「ちょっと妹連れて来て、手早くこっそりな」

 下忍たちはすぐさまヤン一家の館へ向かっていった。

「ま、三人も行けば何とかなるだろう…って事で俺は喰うか。マスター、ソーセージの盛り合わせとジンジャーエール、大盛りジョッキで」

 ハデスの世界征服の語りを聞きながら唯斗は食事を再開する。

 しばらくして、バーボン一家を乗せた装甲車の地響きがだんだんと大きくなって酒場に向かってきた。

「来たわね。ローザ、行くよ」
「もちろん」

 お手製の火炎瓶を持って酒場を出ていく二人。