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第10章 夏の日の、終わり


「ああっ! もうこんな時間!」
 空を見上げたルカルカは、悲鳴に近い声をあげる。
 気が付けば、日はだいぶ傾いている。
 そろそろ撤収の時間も近い。
「早くクラゲ退治して、サニーたちと遊びたかったのに……」
「あれ、俺の潜水プランは……」
「海底探検は……」
 肩を落とすルカルカ、カルキノス、淵。
 三者三様に落ち込んでいる所に、
「あっ、ルカルカさん!」
「サニー!」
 そんなルカルカに、声がかけられた。
 海から上がり、水着から服に着替えたサニー達だった。
「ルカルカさんも、来てたの?」
「う、うん。サニーは……もう、帰る所なの?」
「んんー、どうしよっかなあ。あっ、はいこれルカルカさんに」
 サニーはルカルカに小瓶を差し出した。
「これは?」
「ルカルカさんの分。ハート形の砂よ」
「あ……ありがと! いいの?」
「いいのいいの。売るほどあるんだから…… うふふ」
 サニーの瞳に商魂の炎が宿る。
「異形の砂……これは、星の砂の一種だろう。原生生物の殻……言わば、死骸だな。……何だ?」
 悪気もなく詳細な説明をしようとするダリルを、ルカルカが小突く。
 気づけば少女たちの刺すような視線がダリルの元へ。
「と……ところでさ。海はまだまだこれからだと思わないか?」
 空気を変えるように、淵が何かを取り出した。
 花火だ。
「こいつで海の一日を締めるってのは、どうだい?」
「わあ、素敵!」
 サニーは友人たちを振り返る。
「いいねえ。サニーさん、体調はもう大丈夫なの?」
「うん、三月さんのおかげですっかり。柚さんは?」
「私も大丈夫です」
 三月と柚は揃って頷く。
「サリーちゃんは?」
「勿論、とっても元気でス。花火楽しみですネー」
 奈月の声に、サリーはにこりと笑顔を向ける。
「結和さんハ?」
「もちろん、参加します」
 見上げるサリーに微笑む結和。
「……ふんっ」
 不満そうに鼻を鳴らすエリー。
 その目の前に、サリーが立つ。
「な、何だよっ!」
「大丈夫ですヨ。結和さんハ、ワタシのお姉さんでハありませんかラ」
「当たり前だよ!」
「どちらかというト、お母さン……?」
「ええっ!?」
 サリーの言葉に驚きの声を上げる結和。
「お母さん!」
 面白そうな話題だとばかりに後に続くサニー。
「さあ、1本目に火をつけるぞ!」
 しゅるるるる、ぱーん!

 ビーチに、光の花が咲く。

「来て良かったぁ〜」
 満足そうなサニーの横顔を見ながら、三月が提案する。
「今度は、お祭りとかどうかな?」
「わあ、いいわね。また皆で遊びたいな」
 サニーは友人たちを見回す。
 花火に照らされた表情はどれも嬉しそう。
 また、こんな顔が見られるなら……

 しゅるるるる、ぱーん!

 夏の一日が、弾けた。



<おまけ>

「すごかったね……」
「うん……」
 ビーチに体操座りをした人影、ふたつ。
 美羽とコハクだった。
 ふと目に入った、触手に襲われたりいちゃつく人々の痴態。
 それを見ているうちに、いつの間にか一日が過ぎてしまった。
(こ、恋人になったらみんなあんな事するんだ……)
(ぼ、僕もいつか、美羽とあんな事を……)

 しなくても、いいんですよ?

 クラゲとイソギンチャクの騒動は、一組のカップル未満にも多大な影響を及ぼしたようだった。


担当マスターより

▼担当マスター

こみか

▼マスターコメント

 初めての方ははじめまして、もしくはこんにちは。
 「か・ゆ〜い!」を執筆させていただきました、夏休み? なにそれ? な、こみか、と申します。
 夏の海の一日、楽しんでいただけましたでしょうか?
 エロOKが多すぎ……ほんと、多すぎて……
 基本、エロOKでもエロアクションをかけてない方はエロい目にはあっていないと思います。
 それでもあれ、リアクション内のピンク色率の高いこと高いこと。
 ……少しでも、お楽しみいただけたようでしたら嬉しいです。

 夏はまだまだ。
 今後も、夏を楽しむシナリオを発表できればと思います。
 どこかに遊びに行きたいという提案がありましたら、あればアクションの隅などに書いていただければ、もしかしたらそこを舞台に採用できるかもしれません。

 またどこかでお会いする機会がありましたら、よろしくお願いいたします。

・追記
 武崎幸祐さんの名前を訂正させていただきました。
 ウルディカ・ウォークライさんの台詞「エルデネスト」の部分を「エンドロア」に訂正させていただきました。
 大変申し訳ありませんでした。