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JYOUBUTU

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JYOUBUTU

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 日は暮れて、海には夜の帳がおりていた。
 あれだけ賑わっていた浜辺も、いまは落ち着きを取り戻している。
 そんな中、海の家やもりには明かりが灯り、大勢の契約者たちが花火を楽しんでいた。
「おばちゃん、ありがとう!」

 ルカルカ・ルーがそういって、おばちゃんに抱きついた。
 おばちゃんの好意で今日は特別に店をあけてもらい、ルカの提案した花火は行われていたのだった。

「よーし、行くでぇ!」

 と、用意していた打ち上げ花火の導火線に瀬山裕輝は火をつけた。
 導火線を走り、火薬に到達した火は、筒の中に詰め込まれた花火を空高くへと打ち上げる。
 そして、夜空に一輪の花を咲かせたのだった。

「権兵衛に届いたかのぉ……」

 アリエティがぽつりとつぶやく。
 それにもっくんが答える。

「さあな、届いてるんじゃないか?」
「……適当じゃの」
「うるせぇ――それよりアリエティ、今回の分はたっぷり体で返してもらうからな」
「なっ、ななっ! もっくん、急になにを言い出すのじゃ!?」
「とーぜんの事だ。覚悟しとけよ」

 もっくんはそういうとニヤリと笑った。

「だっ、誰か……俺様を助けて……!」

 と、夜の海辺からくぐもった声が聞こえる。
 見れば、浜辺に変熊仮面が打ち上げられていた。

「……変熊さん。なにやってんですか」
「も、もっくんか! ちょうどいいところに――ビンが! ビンがハマって抜けないんだッ!」
「えっ?」

 もっくんは視線を変熊の下腹部に向ける。
 すると、確かにそこにあるナニかにビンはスッポリはまっていた。

「……自業自得ですね」
「えっ、ちょっと、もっくん! どこへ行くのだ! 俺様を助けてぇェェ!?!?」

 変熊の悲痛な叫びが、夜の海に響き渡った。

                                        ***


〜エピローグ〜


 季節は夏。シーズンを真っ只中のパラミタ内海は、今日も今日とて人々で溢れていた。
 そんな中、海の家やもりも盛況で、たくさんのお客さんで賑わっている。

「かっ、体で返すとはこういう意味だったのじゃな!?」

 目を回しながら店内を動いていたアリエティは、カウンターに戻ってくるとぐったりした様子でそういった。

「そういうことだ! ほい、イカ焼き3番テーブルさん!」

 もっくんはそういいながら、料理をアリエティに差し出す。
 それを受け取ったアリエティは、一瞬嫌そうな顔をしたが、視線の先に見えた写真を見てすぐさま笑顔になる。
 その写真は、数日前レキ・フォートアウフの提案で撮られた不思議な記念写真だった
 真ん中には誰も写ってはいないが、それを囲むように多くの契約者たちが笑顔を浮かべている。

「ちょっと、アリエティさん! 早く早く!」

 と、バイト仲間の次百姫星がアリエティに向かって声を張り上げる。
 それを聞いて、アリエティは慌てて動き出した。

「あっ、いらっしゃいませ!」

 と、次百は人の気配を感じて反射的にそういった。
 だが、人の姿はそこにはない。
 彼女は不思議そうに首をかしげたが、すぐに聞きなれた声が聞こえてきた。

「今日も忙しそうね」

 そういったのは、次百のパートナーである呪われた共同墓場の死者を統べる墓守姫だ。
 そしてその後ろには、権兵衛を成仏させるために協力し合った契約者たちの姿があった。
 彼らを見て、次百はニッコリと微笑む。

「ようこそ、海の家やもりへ!」


Fin

担当マスターより

▼担当マスター

斉藤言成

▼マスターコメント

最後まで読んでくださりありがとうございます。
今回のシナリオ「JYOUBUTU」はいかがでしたでしょうか? 少しでも楽しんでいただけたのなら、幸いです。
初めて戦いのない日常的なシナリオを書かせていただのですが、皆さんの楽しいアクションに権兵衛も私も助けられました。本当にありがとうございます。
もっくんやアリエティは、また機会がありましたら登場させたいと思っていますので、その時はまた一緒に遊んだりしてあげてください。
それでは、またお会いできることを祈りつつ、失礼させていただきます。