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決戦! 秘密結社オリュンポスVSヒーロー戦隊

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決戦! 秘密結社オリュンポスVSヒーロー戦隊
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リアクション

「くらえっ! 『ルナティックゲイル』!!」
『乱撃ソニックブレード』で月光を纏った剣撃の嵐を巻き起こす凄まじい技。しかし、シュバルツへの決定打とはならない。
「貴公等、中々やる也。オリュンポス・パレスを打ち破った実力は紛い物ではないよう也」
「お前こそ、俺たちの攻撃を受けてもびくともしないなんて大したもんだ!」
 シュバルツとナーガが異種格闘技すら超越した戦いをしていた。その横ではモブ怪人の波を一蹴する、レイヴンとネレイド。
「我が姫に手出しをしようとはいい度胸だ。貴様らごときにはかすり傷ひとつつけさせん!! 受けてみよ、『スターライトニング』!!」
 『ライトニングランス』で星光を宿す電撃を槍で繰り出し、モブ怪人たちを星にするセディの鮮烈な攻撃。
「まったく、めんどうな集団だよ! ここは僕も舞をひとさし踊らせてもらうよ! 『スノースプラッシュ』!!」
 舞うように【クリスタルカレント】を振るい、鈴の音を響かせながら美しい雪結晶がはっきりと見える『ブリザード』を放つ。
 儚げでありながら絶大な攻撃にモブ怪人は蹴散らされるだけ。
「しかし、数が数だな。どうして怪人というのは、こうも数が多いのだろうな」
「さあ? でも僕たちはヒーローだ、どれだけ強くても、数が多くても戦わなきゃ!」
「その通りだな」
「おーい! 待たせたなぁ!」
「邪魔が入ってな、遅れたぞ」
 駆けつけたレオとルーナル。その二人に『パワーブレス』を使う二人。
「ルーナル、私たちと共にこいつらを抑えるのを頼む。レオはナーガと共にあいつを頼むぞ」
「任せな!」
 言われるより早く走り出すレオ。すぐにナーガの横に立ち、シュバルツの前に立ちはだかる。
「まったく、観光でもしてたのか?」
「ああ、ちょっとしつこい観光船の誘いがあってな、今しがた断ってきたところだ!」
「二人に増えたところで、我が守り、貫けると思うでない也」
「そんなこと!」
「やってみなきゃ!」

「「わかんねぇだろぉが!!」」

 同時に『真・百舞雪月花』と『ソルブレイジング』を放つ二人。強大な力の塊がシュバルツの体を振るわせる。
「うおわっとと!? ゆ、ゆらすんじゃなーい!」
 その上では元気なハデスが無茶な注文を付けていた。
「……すまない、揺れるのだけは勘弁だ、ハデス殿」
 ダメージはあるものの、戦闘には影響がないシュバルツ。まさに陥落知らずの要塞である。
「くっ……必殺技の同時攻撃であっても倒れないとはな」
「ちっ……やっぱ一筋縄じゃいかねぇな、だが俺らもこれで終わりじゃないぜ!!」
「その通りだ! みんな、行くぞ! 五人の力を会わせるんだ!」
「了解だ!」
「りょーかいっ!」
「了解」
 五人が一箇所に集まる。すると、リリトの持つ【グランドシェイカー】を土台として四人の武器を構築させて一つの大砲を作り上げる。
「さあ! 行くぜぇ! 覚悟はいいか!!」
「如何なる攻めにも耐えぬいて見せよう也」
「その覚悟、確かに受け取った! 全力全霊、返礼させてもらうぜぇ!」

『これで最後だ!! 『神楽繚乱弾』!!!』

 五人のオーラが篭ったエネルギー弾がシュバルツに向けて発射される。その弾道の後には五色の色が虹のように輝いていた。
 そしてシュバルツに着弾後、盛大に爆発する。先ほどの美しさからは考えられないほどの爆発力にさすがのシュバルツも後ずさる。
「ぐ、ぐうぉぉ……」
「だ、大丈夫か!? まだやれるよな!」
「……申し訳ない也。どうやら、ここまでのよう也。だが、明日ある者たちを失うわけにはいかない也」
 そう言って最後の力を振り絞り『苗床』を発動するシュバルツ。
「……敵ながら、その強さと対峙できて、誇りに思う也」
 そうしてシュバルツは崩れ去った。【神楽戦隊ディバインジャー】の全霊の力の前に敗れたのだ。
「よっしゃー! これでようやく、ハデスを引きずり下ろせるぞ!」
 勝利したことを素直に喜ぶレオ。しかし、ナーガは不穏な空気を察知する。
「いや、待て……!?!」
 ナーガたち五人が見たもの、それは再始動しようとしているシュバルツヴァルドの姿だった。

 戦線から離れた場所では朱鷺が呪文の詠唱をしていた。
「先ほどの余波で倒れてしまいましたが、『苗床』で助かりました。これはそのせめてものお返しです。
 本来なら、死んだものは蘇らせられませんが、バッチの力を借りれば『命の息吹』は文字通りとなる」
 そう、シュバルツが再始動したのは朱鷺がバッチの力を使い『命の息吹』を使用したためだ。
「さあ、どうするのでしょうかね。自分たちは全てを出し切り、最早余力すらないでしょう。ですが、そのバッチの力があれば、あるいは」
 例え自分がやられようと、その知識欲は止まらない。だからこそバッチの力の限界の限界まで見極めんとしていた、正に探究心と知識欲の塊である。

「……我が主か」
 まるで悪夢。そこには再始動を果たし、悠然とヒーローたちに向き直るシュバルツの姿があった。
「くっそっ! 倒したと思ったら復活だなんて、急展開すぎるぜ! ルーナル、何か手はないのか?」
「さすがの私にも予想外だ。ラスボスクラスが再起動するなど、想定すらしていなかった」
「も、もしかしたらやせ我慢かも!」
 そう言って『氷術』を強化した『アクアフリーズ』に『凍てつく炎』を強化した『コールドブレイズ』を使うネレイド。
 それに合わせてルーナルも精神感応を上げた『サイコキネシス』の『アースフォース』を使う。だが、シュバルツは倒れない。
「やせ我慢でもない、完全に回復しているのかっ……!?」
 最早万策尽きる。最強クラスの怪人の矢継ぎ早の復活にヒーローたちも困惑。
 しかし、その危機を打破する者が立ちあがる。
「ああ、もう戦えるかも怪しいってのに、ヒーローってのも辛いもんだな!」
「皆、後は頼む! 絶対負けるんじゃねえぞ!」
 立ち上がったのは匿名 某と大谷地 康之。連戦に次ぐ連戦で既に体はボロボロ、それもで立ち上がり最後の切り札を使う。
「この戦場にいる全ての正義に……届けぇぇぇぇぇ!!」
 某と康之が己が持てるヒーローの力全て『ファイナルレジェンド』に乗せて発動。ヒーローたち全ての力がリンクし、力を増幅させる技。
 その名も『ソウル・リンク』。この技はヒーローたちの気力を奮い立たせるだけではなく、敵の能力を低下させる効果も持つ。
「もう、どこにも言っちゃだめだからね、ベルセ」
「はーい」
「……えっ、今すごい見せ場? うわっっなにこれまぶしいっ! ご、ご覧ください! 
 えーっと、ヒーロー二名による必殺技により復活した怪人たちの力が弱まり、更にヒーローたちの気力は限界突破をしている模様です!
 逆転に次ぐ逆転! これこそがヒーローの強さです!」
 虎子が叫んでいると、続々とヒーローたちが一箇所に集まっていく。自分たちが持てる攻撃を結集させて攻撃するようだ。
 一方の怪人たちもシュバルツの周りに集まり、集まっているヒーローたちに向けて攻撃の準備をしている。
「わ、我等オリュンポスは負けん! 悪の力を見せてやれ!」
 ハデスが叫ぶ。それを皮切りにヒーローと怪人の全ての力を結集させた攻撃が放たれる。その攻撃は周囲数キロメートルの大気を振動させる。
 そしてぶつかり合った瞬間、光の輪が地平線の向こう側まで一瞬で駆け巡り、衝撃が迸る。
 怪人たちは吹き飛ばされるものの、ヒーローたちはお互いを支えあい掴み合い一致団結して衝撃に耐えていた。
 そして、攻撃の衝撃が収まったとき、勝敗は決していた。
「……二度も敗れるとは、な」
 『苗床』を使うまでもなく二度目の敗北をするシュバルツ。
「よもや、これ程とは……」
 すさまじい衝撃の余波に朱鷺もまた、倒れる。
 こうして怪人たちの全てが戦闘不能となった。ただ一人を除いて。