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囚われし調査隊、オベリスクの魔殻

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5章 「裏切りの末路」


 〜遺跡最深部〜


 遺跡最深部では、安置されていたゴーレムと一体化したアルエットと激しい戦闘が繰り広げられていた。
 エース・ラグランツ(えーす・らぐらんつ)はアルエットが放った複数のミサイルを着弾前に全てドラゴンスレイヤーで
 切断する。きれいに両断されたミサイルたちは地面に落ち、ただの残骸となった。

「ずいぶんと物騒な物を積んでいるんだな」
「兵器ですからねぇ……物騒でなければ意味がないぃッ!!」

 ゴーレムの巨大な拳が振り下ろされる。エースはそれを跳躍して躱す。

「甘いですよ、甘いですよォォーーッ!!」

 ゴーレムの肩からレーザーが照射され、エースの右肩を撃ち抜いた。
 痛みで体勢を崩しかけるが、彼はうまく姿勢を制御し距離を取って着地する。

「くっ……そんなものまで……」

 肩を押さえながら、エースは怒りの煙火の発動準備に入る。
 発動位置をゴーレムの足元になるように意識を集中させた。

「戦いとは二手三手先を読むものなのですよ……例えば、このようにね」

 ゴーレムは地面に手を突き入れる。腕の排気口から煙が勢いよく吹き出した。
 直後地面から細い槍が飛出し、エースと、ゴーレムの背後から奇襲を試みていた詩穂を襲った。

「ぐああああーッ!」
「きゃあああああーッッ!!」

 エースの怒りの煙火の準備は中断され、詩穂も空中から叩き落とされてしまった。

「はっはっはっはっは!! この程度ですかね、契約者という者はァッ!! 実に弱い……」

 地面から腕を引き抜こうとしたが、ゴーレムの腕はびくともしない。

「……? なんだ、何が……?」

 腕を見ると、排気口の部分から下が凍り付いていた。

「私の存在を忘れてもらっては困るよ」

 そこには杖を振りかざしたメシエ・ヒューヴェリアル(めしえ・ひゅーう゛ぇりある)がいた。

「貴様……!!」
「その兵器は……見覚えがある。人と一体化して、その精神力を力に変えるゴーレム。
 欠点としては……まぁ、気づいているかもしれないが……」

 静かにサンダーブラストを放ち、動かない腕の装甲を裂いた。
 杖を回転させ、続けてフレイムストームを放った。
 生み出された炎の奔流は動かないゴーレムの腕を容易くもぎ取った。

「ぎいやあああああああああああーーッッ!!」

 アルエットの悲鳴が部屋に響く。

 メシエはさして表情も変えずに、言葉を続ける。

「ゴーレムへのダメージは精神的に繋がっている操者にフィードバックされてしまう事。」

 歩きながらさらに彼は言葉を続ける。

「オベリスクによって発生した魔殻に閉じ込めた人間がいなくなると、大幅に能力がダウンする事」

 ゴーレムを軽く蹴り飛ばすとゴーレムは体勢を維持できずにそのまま仰向けに倒れた。

「メシエ……あいつにはもう抵抗する力は……」

 エースがたずねるとメシエは、

「ないと思うよ、簡単に転んだあたり……」

 詩穂が口をぱくぱくしながら二人に後ろを見るように促す。
 二人が振り向くと、そこには触手のようなものに包まれ、何かに変化途中のゴーレムであった。

「あのさ、動かないんじゃなかったっけ……」
「そのはずなんだが……ふむ。暴走した回路が異常起動でもしたか? あるいは……」
「冷静に分析して場合じゃないよぅッ! 早く逃げなきゃッ!!」

 詩穂に促され、三人は通路に向かって走る。
 その時、後ろから声がしてきた。

「殺す……ワタシニ、ココマデ……屈ジョクをアジ……ギギギ……
 コロ、コロス……ガアアアアァァアァァアアアーーーッッ!!」

 触手の化け物と化したソレは立ち上がり、三人目掛けて突進してくる。

「いやああああああーーーッ!!」

 悲鳴を上げる詩穂を先頭に三人は通路の中に走り去っていった。