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最強! 煩悩吸収型ホムンクルス!

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第2章 煩悩はジャンボパフェ!

「ぱふぇ〜ぱふぇぱふぇ〜ぱふぇ〜」
「ぱ、ぱふぇ……そんなのあるかなあ」
 なんとかできないかと笹奈 紅鵡(ささな・こうむ)はホムンクルスをゆっくり観察していた。
 ホムンクルスは幾度もパフェと言いながら、ゆっくりと一定のリズムで周辺の建物を壊しながらと突き進んでいた。
「ジャンボパフェ〜どこかおっこちてないかな〜」
 少し離れたところから、明るい声でジャンボパフェを探すノーン・クリスタリア(のーん・くりすたりあ)がホムンクルスへと近づいてきた。
(もしかして、あの人の煩悩?)
「あの、もしかしてジャンボパフェの煩悩は」
「えっ、うん。ワタシの煩悩だよ〜パフェだからここのカフェテラスで頼もうと思ったんだけど、閉まってたんだよね〜」
「うーん、どうしよう」
 紅鵡とノーンが二人で頭を悩ませる。
「煩悩のジャンボパフェか、がんばれば用意できるぞ?」
「「えっ!?」」

 紅鵡たちが振り向いた先には匿名 某(とくな・なにがし)のパートナーフェイ・カーライズ(ふぇい・かーらいど)が両腕を組んで立っていた。
「本当に〜? じゃあ、二つ準備できる?」
「二つ?」
 ノーンの発言に、紅鵡が思わず不思議そうな顔で聞く。
「ワタシも食べたいんだもん」
「あ、なるほど。って、こんなに寒いのに!?」
 1月、空は一面曇りぞら、気温は1度を切っていた。
 今にも雪がふってもおかしくない天気だった。
「冬こそひんやり、ジャンボパフェだよ〜!」
 ノーンが笑いながら飛び上がる。
 冬に冷たいパフェを食べるということをよく理解出来ないと、紅鵡は驚きながらノーンの顔を見た。
「早速パフェを用意するか、おい、キロス!」
 フェイは真剣なまなざしでホムンクルスをにらんでいたキロスを後ろから蹴り飛ばした。
「いてえっ!? な、なにすんだ!」
「ほら、調理室からさっさとジャンボパフェを調達しに行くぞ」
「何で俺がぁ!?」
「こいつがあんなことになってる、おおかたの原因はおまえだろさっさと走れ、メロスのように!」

 数分後、巨大ジャンボパフェを抱えて、キロスとフェイが歩いて戻ってきた。
「わーい、パフェだ―! でもどうやって、ホムンクルスにあげるの?」
「何とか口をあけさせられたら良いんだがな」
「ボクがなんとかします!」
 手をグーにしてのガッツポーズで意気込む紅鵡。
 フェイは手を顎に当てると、ゆっくりとうなづいた。
「ふむ……頼んだ」
 その反応を聞いた紅鵡は、すぐにホムンクルスへと走り向かった。
 すると、どこからか拾ってきた小銃を構えるとホムンクルスの顔へと連射した。
「ばふぇええええええっ! ひぃ〜ろお〜」
 ホムンクルスの目に弾が命中したのか、顔を抑えながら暴れる。
 その瞬間を紅鵡とフェイは見逃さなかった。
 ホムンクルスの口が開いた!
「今だよ!」
「よし、わかった。おいキロス投げろ!」
「お、おおぅ……うおりゃああっ!!!」
 キロスは勢いよく手に持っていたジャンボパフェを空中に放り投げた。
 が、ジャンボパフェの重さは軽く2キロは超えていたため、ホムンクルスの胸元で、地面へ向かって落下する。
「あ!」
 紅鵡たちが思わず叫ぶ。
 その瞬間、猛吹雪が後ろから吹き込んできた。
 あまりの強さにフェイたちは、しゃがみこんでしまうほどの強さだった。
 数秒立たずして、吹き込んできたその吹雪はゆっくりと落ち着く。
「やったー、パフェがホムンクルスの口に入ったよ!」
 ノーンがガッツポーズを取る。その手にはいつの間にかスプーンとパフェが握られていた。
 吹雪はノーンのホワイトアウトによるものだった。
 余談だが、後にジャンボパフェ代として3万ちかくの費用請求が御神楽 陽太(みかぐら・ようた)へ行くことになる。
 請求はどうしようというフェイの言葉にノーンが「おにいちゃんに!」といったためだった。


「ふぅ……さて」
 フェイが一息つき、キロスを一瞥するとにやりと笑みを浮かべた。
「髪をいじらせろ」
「はあ? 藪から棒になんだよ!?」
 突然髪を結わせろという、フェイにキロスはあわてて離れた。
 自分の煩悩は「結った髪をにぎる」ことだとフェイが説明する。
「はっ、おことわりだ! ほかを当たれ」
「ノーン」
「は〜いっ!」
 キロスの体をがっちりとフェイの手によってがっちりと捕まえられてしまう。
「なっ、は、はなせ!? な、なんでこいつこんな強いんだ」
 慌てふためくキロスに、ゆっくりとフェイは近づいて行った。
「や、やめ、やめろおおおおおっ!?」
 その後、キロスは髪を再度に分けて結われて、フェイによってそのままホムンクルスに投げつけられた。