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いい湯だな♪

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いい湯だな♪

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    ★    ★    ★
 
「こんな所に、Pモヒカン族の残骸が……。私がやっつける予定だったのに……。急ぐんだもん」
 黒焦げで頭がアフロになっているPモヒカン族が遊歩道で倒れているのを見つけて、藤林 エリス(ふじばやし・えりす)が言いました。
 すでに、大浴場に入る人たちの敵を粛清する気満々です。
「ああ、貴様、よくも我が同胞を。パンツでも被って反省しなさい!」
 頭にパンツーハットを被ってロングバスタオルを巻いたP級四天王クマちゃんパンツ番長が、藤林エリスを指さして叫びました。パンツーハットのクマちゃんのワンポイントがお洒落な女の子です。
「そんな物被ったりなんかしないんだもん。エッチなのは、許さないんだもん。革命的魔法少女レッドスター☆えりりん、アルティメットフォーム!」
 真っ赤なビキニを着た藤林エリスが、叫びました。光と共に、ぷにっとした手足がすらりとのび、ささやかだった胸が豊かにふくらみ、いきなりアダルトな姿に変身しました。ちょっと水着がぴちぴちになって、かなりえちぃです。
「何、小娘が、私よりナイスバディに。そっちの方がエッチ……んきゃあ!」
「エッチじゃなくて、綺麗になったんだもん!」
 唖然とするP級四天王を、藤林エリスがぶっ飛ばしました。
「きゃあ」
 いきなり足許に吹っ飛んできたP級四天王を見て、たまさか通りかかったアゾート・ワルプルギス(あぞーと・わるぷるぎす)が、あわてて飛び退きました。
「私を倒すとは、みごとだわP級四天王パンツ魔法少女番長よ……がくっ……」
 そう言って、P級四天王が気絶します。
「危ないんだよね」
 何をするんだと、アゾート・ワルプルギスが、藤林エリスに言いました。
「あら、アゾート、賢者の石見つかった?」
 藤林エリスが、何ごともなかったかのようにアゾート・ワルプルギスに訊ねました。
「あのー、どちら様で? パンツ魔法少女番長?」
 ちょっときょとんとしたように、アゾート・ワルプルギスが聞き返します。
「違うわよ! あたしよ、あたし」
 藤林エリスが、元の姿に戻ります。
「ええと、後輩ちゃんか。まあ、ぼちぼちね」
 なんとか記憶を紐解いて、アゾート・ワルプルギスが答えます。
「どいてどいてどいて」
 そこへ、天城紗理華たちがやってきました。
「はい、新たなPモヒカン族回収。とっとと運んでしまいなさい」
「はい。そっち持って」
 担架を素早く広げると、アリアス・ジェイリルがソア・ウェンボリスと一緒に、連れ戻した大神御嶽とコア・ハーティオンを使って、倒れていた二人のPモヒカン族を運んでいきました。ラブ・リトルに油を差してもらって復活はしたものの、まだちょっとコア・ハーティオンの動きがぎくしゃくしています。
「あなたも、Pモヒカン族のことは私たちに任せて、ほどほどにしておきなさい。ゆっくりお風呂に入る方が楽しいわよ」
 そう藤林エリスに言うと、天城紗理華たちは他の場所の見回りに散っていきました。
「じゃ、そういうことで」
 軽く藤林エリスに挨拶すると、アゾート・ワルプルギスは適当なお風呂へとむかいました。
「さてと……」
 イルミンスール指定水着の胸元から短い試験管を取り出すと、アゾート・ワルプルギスが今入っているお風呂のお湯をその中に入れました。中に入っている小さな小石が、お湯に触れますが、何も変化はありません。
「あまり効果はないかあ」
 そうつぶやくと、アゾート・ワルプルギスは湯船の縁に両手を添えて、ふうと天井を見あげました。
 
    ★    ★    ★
 
「ふう、いい塩梅だねえ」
 ワイン風呂に入りながら、漆黒のビキニを着たオルフィナ・ランディ(おるふぃな・らんでぃ)がグラスワインを楽しんでいます。
 そこへ、P級四天王酔いどれパンツ番長がやってきました。
「ふっ、こんな所で一人酒など、無粋だな」
「なんだってえ」
 いきなり失礼なことを言われて、オルフィナ・ランディがP級四天王を睨み返しました。
「酒ってえのはな、それに合わせたパンツを被ってこそ本当に味わえるってもんなんでえ」
 そう言うと、P級四天王がワイン風呂に浸かって薄紫色に染まったパンツをモヒカンに被り直しました。
「うーん、いい香りだぜ」
 パンツのワインの香りを堪能しながら、P級四天王がこれ見よがしにグラスワインを飲み干しました。いや、いろいろと突っ込みたいところです。
「さあ、お前も、早く今穿いているパンツを頭に被るがいい。このワイン風呂の香りに染まったパンツが、芳醇な香りを与えてくれるだろう」
「いや、あったまおかしいだろう。単に、パンツ脱がせて、俺の裸見たいだけなんじゃねえのか」
「貴様の裸など、微塵も興味はない!!」
 ドきっぱりと、P級四天王がオルフィナ・ランディに言いました。こういうところは、揺るぎありません。
 けれども、これはこれで、女性には一種の侮辱です。ピキッと、オルフィナ・ランディのこめかみの血管が浮きあがりました。
「あいにく、俺は中身の方に興味があるんだよ!」
 そう言うと、オルフィナ・ランディがそばにおいておいたバスタードソードを横一線させて、P級四天王のモヒカンを切り落としました。ひらりと、ワイン色のパンツが宙に舞います。
「のおぉぉぉ!! 俺様語自慢のモヒカンがあ!」
 さすがに、P級四天王が逃げだします。
「逃がすか!」
 怒ったオルフィナ・ランディが後を追いかけましたが、逃げ足が速くて見失ってしまいました。
「くそう、どこへ行った」
「そこ! 没収!」
 バスタードソードを持ってうろうろしていたため、オルフィナ・ランディが天城紗理華たちに見つかってしまいました。当然、物騒な武器は没収です。
「おのれ、全部あいつのせいだ。叩き潰してやる」
 愛用のバスタードソードを没収されて、怒りに燃えたオルフィナ・ランディが、逃げたP級四天王を探しに走りだしました。