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強襲のゆる族 ~可愛いから無害だと誰が決めた?~

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強襲のゆる族 ~可愛いから無害だと誰が決めた?~
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リアクション


プロローグ

 空京スタジアムの中はニルヴァーナゆかりの品物を見ようと沢山の人がニルヴァーナ・フェアに参加していた。
「大盛況だね」
 空京 たいむちゃん(くうきょう・たいむちゃん)はその様子を見て嬉しそうに頷く。
「うむ、我輩も展示物扱いされるだけの価値があったというわけだな」
 展示ケースで正座している鳥人型ギフトも満足そうに頷いた。
 と、
「た、大変です! 空京スタジアム周辺に大量のゆる族が押し寄せています!」
 空京スタジアムを警備していたスタッフが大慌てで転がり込んで来ました。
「ゆる族たちはたいむちゃんと鳥人型ギフトのお二人を出せと要求しています。どうしましょう?」
「え、ええっと……まず、お客さんを逃がして……お相手したほうがいいのかな?」
「それがいいだろう。我輩は展示物として応援しているぞ」
 鳥人型ギフトは一歩もそこを動く気配がなく、たいむちゃんは少し苦笑いを浮かべた。


一章

「フハハハ! 我らオリュンポス、空京スタジアムの占領に協力させてもらおう!」
 空京スタジアムを占拠していたゆる族の前に立ちふさがったのはドクター・ハデス(どくたー・はです)ペルセポネ・エレウシス(ぺるせぽね・えれうしす)だった。
「あの……ハデス先生、今日はこの子達のパレードの護衛が目的だったんじゃないんですか?」
「だから、パレードでゆる族たちの一人舞台を演出する。ということだ」
「あ、なるほど。さすがですハデス先生!」
 ペルセポネはあっという間に騙されて手をポンと叩く。
「というわけで、しっかりと彼らを襲う輩から護衛の任務を完遂するのだ!」
「了解です! ……機晶変身!」
 ペルセポネは変身ブレスレッドを起動させると、全身をパワードスーツに包み込んだ。
「さあ、ゆる族の諸君! 我らオリュンポスと共に行こうではないか!」
「……」
「……」
 ノリノリのハデスとは対照的にゆる族たちの反応は非常に薄いものだった。
「ど、どうしたのだ……? ゆる族の諸君?」
「……この人たち、可愛くないよね〜?」
「よね〜?」
 互いの顔を見合わせるゆる族たちは口々にそんな言葉を漏らした。
 その中をかき分けて、ひよこの隊長が前に出た。
「残念だったなオリュンポスとやら。我らの正義は唯一『可愛さ』のみ。貴様らはそれを満たしておらん! ゆえに我々は貴様たちを『悪』と断ずる! 皆の者かかれ!」
「「おお〜!」」
 ゆる族は隊長の号令でハデスたちに飛び掛かった。
「なきわめけ〜!」
「うまれたことをこーかいしろ〜!」
 そんな暴言を吐きだしながらゆる族はハデスとペルセポネの足元を攻撃している。
「は、ハデス先生! 可愛くて攻撃できません!」
「むぅ……致したかあるまい。志を同じくできない者とは同盟は組めん、退散だ!」
 ハデスはペルセポネを連れて、ゆる族を踏まないようにゆっくりと退散を始めた。
「退いた敵は捨て置け! このまま空京スタジアムを占拠し、たいむちゃんを手に入れるぞ!」
「「お〜!」」
 ゆる族はいっきに空京スタジアムの入り口に押し入った。
 その入り口には茅ヶ崎 清音(ちがさき・きよね)のパートナーキャンディス・ブルーバーグ(きゃんでぃす・ぶるーばーぐ)がたいむちゃんのコスプレをして立っていた。
「おねがい、ゆる族のみんな! 私のサインをあげるから今日は引き上げて!」
 裏声全開でキャンディスは『たいむちゃん』と書かれた色紙を前に出した。
「そんなもんいらん!」
「一枚三百円だよ」
「金をとっているのか!?」
「わかった、二百円でいいよ」
「そういう問題ではない! だいだいなんだ貴様は!」
「たいむちゃんです」
 キャンディスはむっくりした体を見せるようにその場で一回転。
「……襲え」
 隊長の命令でゆる族は一斉にキャンディスに襲いかかる。
 ゆる族のもふもふした体毛がキャンディスにぶつかり、キャンディスは暑さでぐったりと倒れるとゆる族はスタジアムの中に入っていった。