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壊獣へ至る系譜:機晶石を魅了する生きた迷宮

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壊獣へ至る系譜:機晶石を魅了する生きた迷宮

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■ エピローグ ■



 少女が沈黙してから洞窟内にあった機晶石はほぼ全て輝きを失い石と同価値になってしまった。
 故に光がなく真っ暗な中、破名は動かない少女の前で一人佇んでいた。
「明かりは要らないんですか?」
 否、一人ではなかった。問う手引書キリハに、破名は首を横に振った。
「失敗でしたね」
「まぁ、仕方ないさ。貴重な文献出して小遣い貰って、んでお仕事までさせてくれて、密やかに証拠隠滅図ろうなんて虫が良すぎただけだ。それにしても機晶石のほとんどが使えなくなるとは思わなかった」
「長い間暴走していたんでしょう。洞窟内の機晶石は彼女が作り出したか、天然であっても強い影響に晒されて変質したのかもしれません。タププが壊れやすかったのも暴走し巨大になりすぎたからでしょう」
「せめて止められていたら、とは思う」
「まさか追い出されるとは思いませんでした」
「色々あるんだろ。あっちは捨てられた上に盗まれて色々弄り回されたらしいからな。俺が同じ立場なら後輩に自分の姿なんざ絶対見せたくないね」
「……前任者の末路が気になりますか?」
「同じにはならんだろ。俺は系図なんて持ってないし、暴走もしないさ。それにしてもどうして機晶姫とギフトを呼んでいたのか……」
「仲間か家族が欲しかったのでは。結局機晶姫はタププしか造られませんでしたし。私達は個をつくりたかったわけじゃありませんでしたから」
「キリハ、過去形にするな」
「クロフォードは実験を続けるんですね」
 暗闇の中、互いに顔は見えない。ただ、頷いた気配だけがした。
「さて、怪しまれないうちに帰るか」
「タププの回収はしないのですか?」
「今それをしたらそれこそ怪しいだろ。それに主要の機晶石が自滅したんならいいさ。体のほうは器でしかない」
 区切って、続ける。
「だが、文献は回収しとかないとな。サイコメトリとか何が映るかしれないし」
「そうですね。でも、今置いてるのは写しですよ。皆さんが触りたがるので写しに替えさせてもらったんです」
「今となっては、その道の収集家避けのつもりだったが、匿名にしておいてよかったと言うところか。話を盛り過ぎたし、実際カマかけらたしなぁ」
「ですね」
「今後動くのが苦労しそうだなぁ。まぁ、いいか。では、キリハ、もうしばらく赤の他人ということで」
「はい」
 幽かな銀色の残滓を残して気配が無くなると洞窟の最奥には、沈黙が訪れた。
 両腕を挙げたまま、少女は闇の中石に背を預けて足を投げ出し座っている。



 回収されたサンプル達は一時間たっぷり時間をかけてその輝きを失った。
 それを度々眺めては梅琳はペンを走らせる。
 エレーネは所用で事務所内をあちらこちらと働き回っている。
 そろそろ日没になるが、報告書の進みがあまりよろしくない。
 機晶石はあったにあったが、資源としては使えない状態になってしまった。
 ただ、古い機晶姫を発見した。
 洞窟の所々に古代文字が点在していた。
 洞窟内で何かがあったのは確からしい。
 資源発掘調査という名目では喜ばしいものはなかったが、別の意味で調べる価値が出てきた。

担当マスターより

▼担当マスター

保坂紫子

▼マスターコメント

 皆様初めまして、またおひさしぶりです。保坂紫子です。
 今回のシナリオはいかがでしたでしょうか。皆様の素敵なアクションに、少しでもお返しできていれば幸いです。

 また、推敲を重ねておりますが、誤字脱字等がございましたらどうかご容赦願います。
 では、ご縁がございましたらまた会いましょう。