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江戸迷宮は畳の下で☆

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江戸迷宮は畳の下で☆

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【エピローグ】

 ――空京。
 『あなたの街に、魔法少女。』を掲げる魔法少女の会社、『豊浦宮』。
 その客間のソファに二人は対峙し腰掛けていた。一人はフリルいっぱいのスカートの魔法少女、そしてもう一人は規律正しい軍服姿。
「豊美ちゃん。今回の事件、どう思う」
「そうですね……。全くの偶然ではない、そう思います。
 何が裏があるかもしれない、誰かが手を引いているかもしれない……そう私は考えます」
 唇をきゅっと結んだ豊美ちゃんに、アレクは脚を組みながら頭の中を纏めている。
 和の国に飛ばされたのは三日前の事だ。二人はこの日、豊浦宮で改めて今回の事件を振り返っていた。
「あの世界は…共同で見る『夢』の類だったのかもしれませんね」
 行く時の手荒さとは違い、光りの中パラミタ帰ったと気づいた時に、そう言ったのは舞花だった。
「『夢』か『偶然』か――或は『パラミタには良く有る事』か」
 そんな言葉で片付けるには、合点のいかない部分が多い。それに菖蒲のあの言葉が気にかかっていた。
「二つの事件の原因が同じだとは断定は出来ないが――仮に同じものだとしよう。
 さて、俺達が巻き込まれた二回で全てなんだろうか。確かこの間が『ぐにゃ』で、今回が『がくん』だったか――。次があったら何だろうな。アッシュに聞いてみるか?」
 皮肉っぽい顔で冗談めかした言葉に豊美ちゃんは笑いつつも、決して冗談で済ませるつもりはない様子だった。
「また私たちが巻き込まれる可能性は、十分にあるでしょうね。
 菖蒲さんの言葉も、それを裏付けています」
「『これで、終わりではありません』――か。まるで三流ホラーのラストシーンだ。ジョークだとしたら彼女は大分趣味が悪い」
「はっきりと意図は分かりません……ですが、菖蒲さんの言葉が冗談や全くの嘘とも思えません。
 菖蒲さんは何かを伝えようとしていました。その気持ちを、私は信じたいです」
 その言葉を聞いて、アレクは豊美ちゃんらしいな、と思う。自分は状況を疑ってから掛かる癖があるから、肯定から入る彼女の考え方はアレクにとって新鮮で好ましいものなのだ。
「先に手をうつ事は可能だろうか……」
 前回の事件も、今回の事件も、一歩間違えれば笑えない状況になっていた事は確かだ。
 豊美ちゃんが後ろへ視線を送ると、影の様に控えていた馬宿が頷く。
「豊浦宮で少し調べてみますねー」
「Alexandrovna Milova」
 ソファの後ろに後ろ手に組んだ姿勢で微動だにせずに立っていたターニャに向かって、アレクは振り返りもせずに指示する。
「Make contact with Argento.(アルジェントに連絡を取れ)」
「Is it a top priority,Sir?(最重要事項ですか?)」
「It can wait.(急ぎじゃない)
 but...really important.right?(でも重要だ、いいな)」
「Yes,Sir.」
 敬礼をし部屋を出て行ったターニャを見送って、豊美ちゃんは目を丸くしながら言う。
「本当に軍人さんみたいですねー」
 その言葉に片眉を上げると、アレクは時計に目をやって脱帽していたクラッシュキャップを手に取った。もう直ぐジゼルのアルバイトが終わる頃だ。
「さて。そろそろジゼルを迎えに行かないと」
「はい、ではお見送りさせてください」

 豊浦宮の玄関口で豊美ちゃんはアレクを見上げる。
「そういえば先日のお茶の時間。半端になってしまいましたね」
「ああ……、良ければ仕切り直しをしないか? また同じ店――
 いや、暫くは畳が無い所がいいな。同じ様な目にあうとしても、また落ちたく無い」
「ふふ、そうですねー」
 笑い合って別れると、アレクの背中が見えなくなったので、豊美ちゃんも豊浦宮の門をくぐる。

 二人が立っていた場所で、青い光りが瞬いて消えていった。
 『これで終わりでは無い』、そう告げる様に――。

担当マスターより

▼担当マスター

菊池五郎

▼マスターコメント

主に祭り部分担当 猫宮 烈
どうも、猫宮です。

東マスターとの合同でお届けしましたが、いかがでしたでしょうか。
東マスターにはバトル描写を始め、全般に渡ってお世話になりました。この場を借りてお礼申し上げます(ぺこり

最後、なんだか続きを匂わせるような締め方になっていますね。
機会があれば、また豊美ちゃん&アレクのコンビが見られるかもしれません。その時がありましたらどうぞ、よろしくお願いいたします。
(個人的には面白かったので、またやりたいと思っています)

それでは、また。



主にバトル部分担当 東 安曇

東安曇です。主にバトルを担当致しました。
今回、お祭りパートのジゼルとターニャの一部シーンは猫宮マスターにお願いしました。何時も冷静な目で見れない二人ですが、自分で書かないと酷く可愛いものですね。アレクは……あいつはもう駄目だ……。訳さなかったスラングですが、英語の方は「上等だコラかかってこいよこの糞野郎」ドイツ語の方は「こんばんはアッシュご機嫌いかが?Fワード」的な意味です。どちらも日本語では訳しきれない汚さなのでそっと記憶の彼方へと飛ばしておいて下さると助かります。

バトルパートの豊美ちゃんは監修頂いたり、追加を頂いたりしながら執筆させて頂きました。猫宮マスター、大変心の広い方でございます。ありがとう、本当にありがとうございます。

そんな感じで出来上がったごった煮感溢れるシナリオですが、皆様が楽しんで頂ければ幸いです。ではまたお会い出来れば!