シャンバラ教導団

リアクション

　第１章　他人の武器を奪え！

■□■１■□■　雪原にコタツ

「むぅ……ポータラカ人に一泡吹かせてやりたいところだが、いいアイデアがないな」
エヴァルト・マルトリッツ（えう゛ぁると・まるとりっつ）は、考えこみながら言った。
一見すると悪役風の外見のせいで、悪巧みしてるように見えるが、
実際にはそんなことはない。
むしろ、「女性に優しく」「えっちなのはＮＧ！」がモットーの真面目な青年である。
そんなエヴァルトのパートナーのコルデリア・フェスカ（こるでりあ・ふぇすか）は、
対照的にのんびりおっとりした口調で言う。
「いいですわね〜、バトルロイヤルですか〜。
……でも、いい勝負ができそうな人はおりませんわね〜。
……わたくし自身のレベルが低いのですけれど〜」
コルデリアは、石になってしまった光条兵器を所在なさそうに見つめている。
「とりあえず、まずは武器を調達しよう。
この状況では勝ち残ってなんとかするしかない。
ってか、アームルートさんとかティセラさんは生き残り戦とは別でよくないか？
とっくに強力無比な光条兵器持ってるんだから……」
「そうですねー。でも、ぶっ飛ばされても星になるだけでしょうから、
せっかくなので、思う存分戦ってみたいものです〜」
エヴァルトに、コルデリアは野球の投球フォームのように石を振り回しながら言う。
「よし、ここは篠宮　悠（しのみや・ゆう）の棍棒を奪おう。
ここは雪原、コタツの誘惑に勝てる者はそうそういまい。
俺自身は、強靭な精神力で耐える……！
その後は、武器を奪い、ドラゴンアーツでフルスイング、
ぶっ飛ばして星にして戦場からリタイアさせる！」
「わー、すごいです。エヴァルトさん、悪役っぽいですねー」
「そういうことは言うな……」

★☆★

一方、そのころ、噂の篠宮　悠（しのみや・ゆう）と、
パートナーの魔鎧オリーヴェ・クライス（おりーぶぇ・くらいす）、
双子の剣の花嫁、杏奈・スターチス（あんな・すたーちす）、
真理奈・スターチス（まりな・すたーちす）達は。

「真理奈、杏奈、禁猟区のお守り持ったな？
よし、じゃあ、オリーヴェ、パワードアーマーの上から装着だ！」
「悠が魔鎧を装備してないから、俺は装備できないよ」
「なに！？」
「魔鎧はアイテムの魔鎧を装備してもらえないと
パートナーに装備してもらえないんだよ」
「そうだったのか！？」
「これが噂のメタ発言ですね、杏奈」
「そうだねー、真理奈」
などという会話を繰り広げつつ、遺跡を進んでいた。
光条兵器の、斬るものと斬らないものをわけることができるのを利用して、
遺跡の壁や障害物を盾にして戦う戦術を取るつもりだったのである。

★☆★

「さ、寒……くないぞ！
早く出てこい、悠！」
「目の前にコタツがあるのに入れないのはつらいですわね〜」
コタツの罠を設置したエヴァルトとコルデリアは、雪原で待ちぼうけをくらうのであった。