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校長帝国を倒せ!

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《VS 山葉 涼司》

「ノア、行きますよ!」

 ニセ涼司の巨大化を確認した火村 加夜(ひむら・かや)は、愛機アクア・スノーで涼司と対峙した。
 モニター越しに見るその姿は、外見だけに限れば、確かに愛する涼司そっくりだ。

(涼司くんの姿で悪い事するなんて許せません!私の大切な人なのに!)

「世のため人のため、校長帝国の野望を打ち砕くアクア・スノー!この白雪の輝きを恐れぬのなら、かかって来い!」

 サブ搭乗者のノア・サフィルス(のあ・さふぃるす)は、そんな加夜の思いなどそっちのけで、ドコかで見たような見栄を切っている。

「もう、ノア!遊んでないで!」
「遊んでんじゃないもん!」
「来ないのなら、こっちから行くぞ!」

 2人が言い争いに夢中になっているウチに、【梟雄剣ヴァルザドーン】を構えた涼司が、すぐ側まで迫っている。

「エエッ!そんないつの間に――」
「遅い!」

「なんてね、トウッ!」

 《行動予測》していたスノーは、袈裟斬りに斬り付ける涼司の剣を、後ろも見ずにジャンプして避ける。

「ナニッ!」
「涼司お兄ちゃん、覚悟!」
「コレは、ニセモノ!涼司くんじゃありません!」

 尚も言い争いを続けながら、【マジックカノン】で攻撃するスノー。
 涼司は《ブレイドガード》で防ごうとするもの、ノアの【メンタルアサルト】に引っかかったため、わずかに反応が遅れた。
 激しい爆発に怯む涼司。


「コイツはオマケだ!取っときな!」

 エヴァルト・マルトリッツ(えう゛ぁると・まるとりっつ)の駆る翔龍が超低空で突っ込んで来ると、怯む涼司の背中に、【20ミリレーザーバルカン】を浴びせた。

「グワッ!」

 翔龍は涼司のすぐ脇を抜けると、再び上昇していく。
 翔龍と入れ替わりに着地したスノーは、【ダブルビームサーベル】を引き抜きながら、涼司の懐へと飛び込んだ。
 こうなると、ヴァルザドーンの長い間合いは不利だ。

「涼司くんの姿で悪事を行うなんて許しません!覚悟してください!」

 涼司に間合いを取らせないように、両手のサーベルで激しく打ち込むスノー。
 翔龍は涼司の脇腹目がけて急降下すると、イキナリ変形した。
 足裏のバーニアをふかしながら、涼司に強烈なドロップキックを食らわす。
 たまらず、吹っ飛ばされる涼司。

「【コロージョン・グレネード 】!」

 キチンと技名を叫んでから、グレネードを投げつけるスノー。
 撒き散らされた腐食性の粘液に身体を焼かれ、呻き声を上げる涼司。

「派手に行くぜ!」

 翔龍は、大気圏中とは思えない軌道で急反転して【レーザーライフル】を構えると、未だ立ち上がれない涼司へとぶっ放す。

「こ、このオレがーーー!」

 末期の言葉を残して、大爆発を起こす涼司。

「やった!涼司お兄ちゃんをやっつけた!」
「だから、違うっていってるでしょ!」

(……ホントに引っ掛けだったのか、それ?)

 2人のやり取りを、半ば呆れ顔で聞くエヴァルトだった。