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第6試合

 
 
『第6試合を開始します。
 イーブンサイド、エリシア・ボック(えりしあ・ぼっく)パイロットと御神楽 陽太(みかぐら・ようた)サブパイロットのフィーニクスです。
 対するは、AI制御のシパクトリになります』
「わあい、次、おにーちゃんたちだよ♪」
 ノーン・クリスタリア(のーん・くりすたりあ)が、隣で観戦している御神楽 環菜(みかぐら・かんな)にむかって叫んだ。
「焔虎のようだけど、ずいぶん重装備のようね。二人とも大丈夫かしら」
 見たことのないイコンに、御神楽環菜がちょっと心配そうにつぶやいた。
「大丈夫だよ。おねーちゃんもおにーちゃんも強いもん」
 ノーン・クリスタリアが安請け合いした。
 エリシア・ボックと御神楽陽太が乗るフィーニクスは、ノーマル仕様のままである。そのへんが御神楽環菜の心配するところではあるのだが、逆にもっともバランスのとれた装備であるとも言える。
 対するシパクトリは、焔虎をベースとし、大型のミサイルコンテナを背負った射撃機体であった。近接用の武器としては、ニードルスプレーガンを装備している。
「この機体は……」
 敵イコンをまのあたりにして、御神楽陽太が唸った。見覚えがあるのも道理である。以前、茨ドーム近くの戦いで相討ちになった機体だ。
「すばらしいですわ。今度こそ、木っ端微塵にしてみせますわよ」
 以前の戦いを思い出して、エリシア・ボックの鼻息も荒い。
「無茶はダメですよ。今回は、ノーンの掩護射撃はないんですから」
 以前の戦いは、大型飛空艇からの掩護があったが、今度は一対一の戦いである。
「大丈夫、以前とは違いますわよ。なにしろ、今乗っているのはフィーニクスですもの。イーグリット・アサルトとは違うのですよ、イーグリット・アサルトとは。この大会も優勝を目指すわたくしの前に立ちはだかる者は、何者であろうとも叩き潰すまでですわ!」
 戦闘領域に到着すると、エリシア・ボックがフィーニクスを変形させて、両手にツインレーザーライフルを構えた。
さあ、行きますわよ
「いや、何か来ます! 大型熱源体が一基!」
 意気込むエリシア・ボックに、レーダーを見ていた御神楽陽太が叫んだ。
「ようし、迎撃ですわ。逃しはしませんわ
「もう遅いです!」
 クラスターミサイルが分裂を始めたのを見て、御神楽陽太が素早くスフィーダを変形させて急上昇をかけた。
 それを追うようにして、子ミサイルの群れが襲いかかる。
 押しつつむミサイル群の間を縫うようにして、御神楽陽太がスフィーダを加速させた。
 だが、時限信管で、子ミサイルが次々に連鎖爆発していく。
 空中に、葡萄の房が現れるように連続して爆炎が広がっていった。
「こんな物、スフィーダなら平気の平左ですわ!」
 機体から薄く煙を引きながら、爆炎の中から脱出してきたスフィーダの中で、エリシア・ボックが強がった。
大丈夫、まだいけます
 御神楽陽太が、ちゃんと機体チェックをする。
「反撃ですわよ!」
 再び人形形態に戻ると、エリシア・ボックが敵に狙いを定めた。
 すぐにも、二発目のクラスターミサイルが発射される。だが、今度は距離があった。落ち着いて、分裂前にツインレーザーライフルで撃墜する。
「接近は禁物です」
「もちろんですわ」
 以前の戦いでは、近接してニードルスプレーガンで機体を粉砕されたことを思い出して、素早く空中を移動しながら狙撃していく。
 シパクトリが地面に機体を固定していたため、ほとんど的のような物なのだが、絶え間なくミサイルを発射してくるため、回避運動のためにしっかりとした狙いがつけられない。接近してしまえばミサイルの死角には入れるのだが……。
「時間が鍵ですね。エリシアの心眼にかけます!」
 そう言うと、御神楽陽太がぎりぎりまでシパクトリに接近した。エリシア・ボックがツインレーザーライフルで威嚇を行う間に、一気に回避運動に移る。だが、それは直上で直線的な後退というまさに狙ってくれと言わんばかりのものだった。
 当然、シパクトリが垂直にミサイルを一斉発射する。
「射線固定しましたよ!」
わたくしの全力を、貴様にお見舞いしてやりますわ
 エリシア・ボックが、アサルトライフルを真下のシパクトリにむかって打ち込んだ。ミサイル群の間を縫って飛んだ弾丸が、狙い違わずシパクトリのミサイルポッドに命中する。直後に、シパクトリが誘爆した。
 それを確認しつつも、スフィーダが飛行形態に変形してミサイルをなんとか振り切った。
 
    ★    ★    ★
 
「やった、おにーちゃんたちが勝ったよ♪」
 観客席では、ノーン・クリスタリアが小躍りして喜んでいた。
「なんとも危なっかしい勝ちかただこと……」
 やっとほっとしたかのように、御神楽環菜がつぶやいた。
 
    ★    ★    ★
 
『勝者、フィーニクスです』