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リアクション
中央のテーブルが片付けられ、ダンスパーティの時間が始まった。
(壁の花になってる子が多いな)
巫女の姿で参加をした大岡 永谷(おおおか・とと)も、壁際でドリンクを飲みながら人々の姿を見ていた。
(この時間まで残ってるってことは、ダンスが出来ないってわけじゃないだろうし)
ダンスよりも歓談を楽しんでいる人達はともかくとして。
ダンスをしている人をちらちら見ながら、俯いている女の子や、同じテーブルにつきながらも会話が出来ていない男女を見て。
(あとちょっとでカップルになりそうだよな)
永谷は軽く笑みを浮かべると、まずはテーブルに近づく。
「ダンスは出来ますか? 踊っている方が少ないようですので、お2人で如何ですか?」
スタッフの振りをして、そう勧めてみる。
シャンバラ人らしい2人は、顔を合せると少し恥ずかしそうな笑みを浮かべて。
「それじゃ、1曲だけいいかな?」
「はい、あまり上手くないですけれど、よろしくお願いします」
そう言うと、ダンススペースへと向っていった。
(誠実そうな青年と、素直そうな淑女。お似合いのカップルだよ。頑張って)
後ろ姿を見ながら、永谷は2人を応援する。
「テーブル空いたよ。良かったら一緒に観賞しない?」
続いて、壁際にいた女の子に声をかけて、テーブルに誘った。
「1人で来たの?」
永谷は、自分が独り者で、1人でコンサートに来たことを少女に話してから、そう尋ねた。
「ううん、お兄ちゃんと一緒だったんだけど、お兄ちゃん色々な女の子と踊ってばかりで」
「そっかー。それなら、君も色々な方と踊ってみたらどうかな? ね、どの人と踊ってみたい?」
「ええっと、同じ年くらいの人がいいなぁ」
大人しそうな少女から好みを聞き出して。
同じように、壁の花になっている女の子達をテーブルに誘って。
それから、永谷はダンスを終えた少年達に声をかけて、テーブルへと誘った。
すぐに少年少女達は打ち解けて、会話や、ダンスを楽しんでいく。
(楽しいクリスマスになるといいな!)
そう思いながら、自分はそっとその場から去っていく。
永谷には、一緒にクリスマスを過ごしたい思いの人がいる。
だから、自分の幸せは、彼のいないここでは望まない。
思いの人がいる人達を、そして出会いを求めている人達が、幸せになれるよう、応援したいと思っていた。
「あの2人も、お互い意識してるみたいだな」
そしてまたカップル直前の男女を見つけ、永谷は近づいていく。
皆に幸せなクリスマスが、訪れますように。
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