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【2022クリスマス】聖なる時に

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第17章 2人で過ごす1日

 12月25日。クリスマス当日。
 イブを賑やかに楽しく過ごしたままの、飾り付けが残っていて。
 クリスマスツリーも賑やかにキラキラと輝いてる。
 だけれど部屋の明かりを落としてあるせいか、昨日とは違った大人の雰囲気になっていた。
「去年は一緒に過ごした後、校長室でお手伝いをしていましたね」
 山葉 加夜(やまは・かや)は、リビングにケーキを運びながら言った。
「今年はデートには行けなかったけれど、こういうのもいいか?」
 ソファーに座り、端末でニュースを見ていた山葉 涼司(やまは・りょうじ)が顔を上げて言う。
「もちろんです。仕事をして過ごした去年も、幸せでした。一緒に居られたら、私はどこでも幸せです」
 ケーキをテーブルの上に置いて、加夜は微笑む。
「今年もずっと一緒に居られそうですね」
 そう言うと、涼司は端末をテーブルに置いて、優しい目で「ああ」と微笑み返した。
「俺が切るよ。イチゴが多くて可愛いケーキだ」
 ナイフを受け取って、涼司がケーキを切る。
 ケーキは加夜の手作りだ。甘さ控えめに作ってある。
「シャンパン、注ぎますね」
 その間に加夜はシャンパンをグラスに注いで、自分と涼司の前に置いた。
「当分に切るにはなかなか難しいな」
「涼司くんが、大きい方食べてくださいね」
「それじゃ、遠慮なく。その分、イチゴは加夜に」
 涼司は自分の皿に乗せたケーキから、イチゴを2個とって、加夜のケーキに乗せた。
「ありがとうございます。それでは、いただきましょう」
 加夜が涼司の隣に腰かける。
「ああ、いただきます」
 乾杯をして、2人はシャンパンを飲み、ケーキを食べていく。
「程よい甘さだな。このシャンパンともとっても合う」
「はい、甘さは控えめにしました」
「美味いな、いくらでも食べられそうだ」
「ふふ、食べ過ぎないでくださいね」
 ケーキを美味しそうに食べる涼司を見ているだけで、笑みがこぼれてしまう。
「昨日は楽しかったですね」
 加夜は賑やかに飾り付けられたツリーに目を向けた。
 昨日もこの部屋には笑みが溢れていた。
「そして今日、こうしているのも本当に幸せで……」
「そうだな。今年はクリスマスを2回楽しめた気分だ」
 グラスを手に、涼司が加夜に目を向ける。
 加夜はイチゴをぱくっと口に運んで、嬉しそうに微笑んで。
 涼司を見て微笑んだ後、視線を落として自分の左手の薬指の結婚指輪を幸せそうに見つめる。
「夫婦になって一緒の時間が増えて、日々色んな発見があります。知って理解して共有する事で見えてくることもありますし、幸せだなって実感したりしてます」
「ん」
 グラスを置いた涼司を、加夜は腕を伸ばして抱きしめた。
 そして、顔を上げてキスをする。
「加夜」
 涼司の甘い声が、加夜の耳に届いた。
 彼に優しく、抱き締められて、加夜は幸福感に包まれる。
 愛する人の腕の中が、一番安心できる場所、だった。
 彼の手が加夜の頭を撫でて。
 唇が、彼女の首筋に降ってきた。