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【4周年SP】初夏の一日

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【4周年SP】初夏の一日

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17.空京買い物巡り

坂下 鹿次郎(さかのした・しかじろう)は、
エメネア・ゴアドー(えめねあ・ごあどー)に求婚したつもりが、
実は別人だったりと、
ややこしい関係になっていたのだが。
先日の合コンでは、エメネアのお友達から、ということになっていたりする。

姉ヶ崎 雪(あねがさき・ゆき)に、
段階飛ばしすぎだから押さえるように釘を刺され、
まずは、一緒に買い物をと、空京にやってきたのであった。

「既に終ったチラシも意味は有るでござる。
それより得られたデータを統計し
今後行われる特売日とその内容を予測し予算を割り振るのでござる!」

「なるほど、たしかに!
でも、とにかく、今は今日しか買えないものを全部ゲットするのですよぉ!」
エメネアが、テンション高くうなずく。

エメネアが、植えつけられた性格以外にも、
興味があるものがないかと、鹿次郎は自分の好きなゲームなども勧めてみる。
「ゲームですかぁ。
どっちかというと私はお洋服の方が……」
「じゃあ、夏の特設会場に行ってみるでござる」
新たなる野望を叶えるため、鹿次郎はデパートの夏物特設会場へと向かった。

「バイト巫女なら巫女装束着てなけりゃ興味はござらんが、
根っこから巫女さんなエメネアさんならば何を着ても気になるでござるよ!
み、水着とかも!」
そう言っている、鹿次郎は、エメネアをプールなどに誘いたいらしい。

「わあ、水着もとってもお買い得ですぅ!
じゃあ、水着も選んできますね。
試着してくるので、ちょっと待っててくださいねぇ」

「エメネア殿が水着を試着……ごはっ!?」
「はいはい、大人しく待っていなさい、このド変態が」
ついて来ようとする鹿次郎を雪が殴り、
エメネアと雪が2人っきりになる。

更衣室で着替えをしつつ、
雪は、エメネアに言う。

「あのバカ度し難い変態ですけど、
疑われ皆に追われるアムリアナ様を只一人信じ忠義を貫き、
最近は大陸を支える大役を得る等英雄の相や運気は特に強いと思いますわ。
大陸人質にして貴女に会わせろと喚きましたが!」
雪は、常々考えていたことを、エメネアに伝える。
鹿次郎は、言動はアレだが、エメネアを愛しているのは事実なのだ。

「貴女が洗脳されていた時も躊躇無く貴女の側に付いたのですわよ。
行動が変態的でしたけど!
誰よりも相手の魂の真実と本当の心を見つける人なのは確かですわ。
特に貴女を助けるのに何度付き合わされたか付き合わせたか」

そう、力説する雪に、エメネアも、うなずく。
「たしかに、鹿次郎さんはやるときはやる、そんな人な気がしますー」

エメネアは、ふと、雪に振り返って言った。

「鹿次郎さん、どういう水着が好みでしょうか?」
「いえ、ああはいっても鹿次郎は……ええっ?」
雪は、エメネアの発言に驚く。
「そうですわね……。
貴女の水着ならなんでも喜ぶとは思いますが、
しいていえば、清楚系が好きなのではないでしょうか。
巫女好きということもありますし。
ムカつきますけれど、
変態の例にもれず、自分はドスケベでも、
相手には清楚さを求めるタイプな気がいたしますわ」

雪の言葉を聞き、
エメネアは、うなずいた。
「そうですね……。じゃあ、この、白系の水着にしてみようかなと思いますぅ」

かくして、エメネアが試着したのは、
白と赤をベースにした水着であった。
「ちょっと派手かと思ったんですが、どうですかー?
巫女さんっぽい色だなあと思ったんですが」
少し恥ずかしそうに、エメネアが言う。
「いい……もう死んでもいいでござるよ、エメネア殿!」
エメネアの水着姿に釘付けになり、
鼻血を噴きそうな勢いで、鹿次郎が言った。

2人がいい雰囲気になったのを確認し、
雪は、そっと、姿を消す。



デパートの屋上にて。

エメネアのたくさんの荷物の中には、
鹿次郎に褒めてもらった水着もあった。

ベンチに座って、風を受けながら、
鹿次郎が言った。
「昔より今、今より未来のエメネアさんでござる。
姿が色々微妙に変わって大変でござったが、
又姿が移り変わる事が有ってもエメネアさんの傍に居たいでござるよ」
「鹿次郎さん……」
エメネアが、ちょっと見直したように、鹿次郎を見る。

「これからの思い出づくりに、今度、今日買った水着を着てプールに参らぬか?」
「いいですねー! 行きましょう」
鹿次郎の誘いに、エメネアが笑顔で言った。

初夏の風が、ビルの屋上に吹き、
2人は、なんとなくいい雰囲気になっていたのだった。