イルミンスール魔法学校へ

シャンバラ教導団

校長室

百合園女学院へ

初詣に行こう!

リアクション公開中!

初詣に行こう!
初詣に行こう! 初詣に行こう!

リアクション


第8章 幸せへの誓い

「振袖も今年で着納めだから、色んな神社に詣でまくりなの」
 教導団のルカルカ・ルー(るかるか・るー)は、振袖で空京神社に訪れていた。
 隣には、茶色のコートを纏ったダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)の姿があり、更に彼の隣には、戦友のレオン・ダンドリオン(れおん・たんどりおん)の姿があった。
 レオンとは空京神社の入口で偶然出会い、そのまま一緒に行動することになった。
「そうか、お前ももうすぐ人妻かー、おめでとう、ダリル」
「ああ」
「!? なんでダリルにおめでとうなの? ルカの結婚相手ダリルじゃないよ!? なんでダリルも頷いているの!?」
「いや、なんとなく」
「まあ、じゃじゃ馬娘を嫁に出す親の気分?」
 レオンとダリルはそう言って、笑い合う。
「ルカの何処がじゃじゃ馬なのよ」
 ぷうっと膨れたルカルカだが、授与所に知り合いがいることに気付くと、バッグの中からポラロイドカメラを取り出した。
「大掃除で言ってたのはコレなのね」
 ルカルカはぱたぱた小走りで、授与所にいる友人のアレナと康之の元に向っていた。
 アレナは休憩を終えて、戻ってきたばかりのようで、康之は帰るところのようだった。
「記念に写真いい?」
 ポラロイドカメラを構えて言うと、2人はにっこり微笑んで頷いた。
「それじゃ、撮らせてもらうわよー、ふふ」
 ルカルカは並んでいる康之とアレナの姿と、接客をするアレナの姿を数枚、写真に収めた。
「男に混ざって何やってんだか」
 ダリルの声が響いた。
「ん? ああホント……アレナ、気を付けてね」
 アレナや一緒に仕事をしている若い巫女のバイトの周りにはカメラを構えた男の姿が多数あった。
「大丈夫、です。優子さんも近くにいますし」
 アレナが目を向けた先には、ロイヤルガードの隊長である神楽崎優子の姿がある。
「優子さんも巫女装束着てるのね……とっても綺麗」
「はい!」
 アレナが嬉しそうに返事をする。
「アレナはとても可愛いわ。だから気を付けてね」
「ありがとうございます」
 ぺこっと頭を下げると、またシャッター音が鳴り響く。
「もう、神社に何しに来てるんだか……」
「お前だって、写真とってただろ?」
 レオンの笑いを含んだ言葉に。
「ルカのはスキンシップなの。レオンもどう、一枚♪」
 そして、カメラをレオンに向ける。
「いや、逆に撮らせてもらおうか。今年で最後だそうだし」
 と、レオンはルカルカの手からポラロイドカメラを取り上げて。
 お守りを見ているダリルや、振袖姿のルカルカを撮っていった。

「んー、どれにしようかな」
 カメラはレオンに任せた後、ルカルカは破魔矢とお守りを選んで授かった。
 それから。
「さて、定番のおみくじをイザ!」
 気合を入れて、腕まくりをする。
「行く神社行く神社で引いてるんだよな」
 ダリルの苦笑交じりの言葉に、ルカルカは真剣な表情で答える。
「一番良いおみくじが採用だよ」
「そういうものじゃないだろ」
 レオンが笑いながら言った。
「これも神様とのコミュニケーション。ネフェルティティ様おみくじとか作ったら売れる気がす……やあん、痛ぁい」
 言い終わらないうちに、ダリルがルカルカの頭をぐりぐりする。
 シャンバラの種族であるダリルは、女王を神として別格で信仰している為、ルカルカの言葉に少し不機嫌になった。
「ううううっ、あ、中吉! 内容はまあまあかな……」
 ぐりぐりされた頭を片手で押さえながら、ルカルカは引いたおみくじの内容を確認した。
「レオンのおみくじは?」
 ルカルカの後にひいたレオンのおみくじを覗き込む。
「小吉。悪くはない運勢だな」
「そっか、持ち帰り決定だね」
 ルカルカはおみくじを丁寧に畳んで、バッグの中に入れた。

「そういえば、ここの神には何を願ったんだ?」
 カフェに向かって歩きながら、ダリルがルカルカとレオンに問いかけた。
「目指せ世界平和だよ」
 ルカルカはドヤ顔で答えた。
「あと、皆の目標が達成できるよう助けます。ルカは勿論幸せになります。目標達成にも頑張ります……」
 更に、指を折りながら、幾つも並べていく。
 それはお願いごとではなく、行うことの報告だ。
「去年は、伴侶に随分心配をかけちまったからな。今年も……その先も、伴侶と生き延びて、幸せになると誓った」
 レオンは少し照れながら言い。
 ルカルカにペアのお守りを差し出した。
 ピンクと青の、幸福を呼ぶ音色の鈴のお守りだ。
「そっちも、幸せになれ!」
「ありがとう、レオン。必ず幸せになるわ」
 自分が見ていない時に、選んでくれていたことを知り、ルカルカは感動し、真面目な顔で受け取った。
 そしてさっそく、ピンク色の鈴をバッグにつけて、チリンチリンと音を鳴らした。
「優しい、音ね」
 心地良い音に、笑みが浮かぶ。小さな音に、小さな幸せを感じた。