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【ざんすか内乱】ざんすかの森、つぁんだの町【第1話/全3話】

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【ざんすか内乱】ざんすかの森、つぁんだの町【第1話/全3話】
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 むかし、むかし。古王国時代も末のことです。

 ザンスカールの地祇(ちぎ)である、
 ザンスカールの森の精 ざんすか(ざんすかーるのもりのせい・ざんすか)は、乱暴者として評判でした。
 長い緑色のヒゲをたくわえ、筋骨隆々のザンスカールの森の精は、
 口さがないものからは、
 「ザンスカールのラリアットじじい」と呼ばれていました。

 自分の森を広げることしか考えていないザンスカールの森の精は、
 近くの森や川の地祇や、人間達を、片っ端からぶっ飛ばしていたのです。

 ザンスカールのヴァルキリー達も、
 そんなザンスカールの森の精をいさめたり、なだめたりしていましたが、
 いつも、まともには聞いてもらえず、殴られるので、
 ついには、誰も相手にしなくなってしまいました。

 そんなとき、ツァンダの町の精、つぁんだが、名乗り出ました。

 「僕が、あのラリアットじじいを退治してやるよ。
  あいつは、力は強いけど、知恵が足りない。
  いい考えがあるんだ」

 つぁんだは、12歳くらいの、金髪に青い目のかわいらしい、
 ツァンダ商人のような服を着た女の子で、
 一見、男の子の様にも見えます。
 見た目は子どもでしたが、つぁんだは、悪がしこいことで、地祇の間では有名でした。

 つぁんだは、ある日、ザンスカールの森の精を、呼び出しました。
 「一対一で勝負をつけよう」と言ったのです。
 しかし、そこには、キマクの町の精のきまくと、
 ヒラニプラの町の精のひらにぃが待ち構えていました。

 つぁんだは、うしろからザンスカールの森の精に殴りかかりました。

 きまくが、手にしたナタでザンスカールの森の精の身体を切り刻み、
 ひらにぃが、手にしたドリルで、ザンスカールの森の精の身体を、地面に串刺しにします。

 「よくもだましたざんす!」
 ザンスカールの森の精は、野太い声で叫びました。

 「だまされる君がバカなんだよ。
 これで、6大都市の地祇の長は僕なんだ!」
 つぁんだが言い、きまくと、ひらにぃと一緒に、ザンスカールの森の精の身体を八つ裂きにしました。

 こうして、ザンスカールの森の精は、肉体を失い、
 長い間、精神だけで、ザンスカールを見守っていたのです。



 そして、5000年の月日がたちました。
 ザンスカールの森の精は、今度は、濃緑色の髪の10歳の女の子の姿で現れました。
 5000年の間、人間達の様子を見ていたところ、
 魔女のアーデルハイト・ワルプルギス(あーでるはいと・わるぷるぎす)が、
 「あんなにえらそうにしているのに、皆が言うことを聞いている」と考えたからです。

 イルミンスール魔法学校校長のエリザベート・ワルプルギス(えりざべーと・わるぷるぎす)が、
 新しく、「ざんすか」という名前をつけてくれました。

 戦い好きで、自分の森を広くしたいという気持ちが強いざんすかは、
 ジャタの魔大樹を枯らしてしまおうと、
 ジャタの森の精じゃたに、戦いを挑みました。

 しかし、グレートマシンガンという、ジャタ族の大男が暴れていたので、
 イルミンスール魔法学校はじめ、いろんな学校の学生達とも一緒に戦って、
 ざんすかとじゃたは義姉妹になったのです。

 グレートマシンガンは、幻覚を見せられた部族の者達の言葉のせいで、
 オマタゲ・ソルデスという名前にされてしまいました。
 部族の全員が、人に殴られたりののしられたりするのが好きになってしまったので、
 本人は気に入っているようです。
 それから、オマタゲの部族は、
 小さい女の子が大好きになったので、今は、じゃたを崇めています。

 ざんすかは、相変わらず、アーデルハイトをラリアットでぶっ飛ばしたりと、
 乱暴者でしたが、昔よりはましでした。



 そんなある日、つぁんだが、ザンスカールにやってきて、
 ざんすかに、また、戦いを挑んだのです。

 「ひさしぶりだな、ザンスカールのラリアットじじい!!
 ミルザム・ツァンダが女王候補になった今、
 シャンバラ6大都市の地祇の長は僕なんだ!」

 ざんすかの過去を知って、エリザベートは驚きましたが、
 アーデルハイトが昔の話を始めたので、
 ざんすかは、ラリアットでアーデルハイトをぶっ飛ばしました。

 ざんすかとつぁんだは、言い争って、
 つぁんだは、走り去っていきました。

 つぁんだは、シャンバラ中の小さな町や村の地祇を、
 「悪のラリアットじじいざんすか」を討伐しようと、あおりたてました。

 ざんすかは、カカオ依存を治すため、
 ジャタの魔大樹のウロに入って冬眠しようとしていた、
 ジャタの森の精、じゃたを叩き起こし、
 無理やり引きずり出して協力させ、つぁんだを迎え撃とうとしています。

 しかし、じゃたは、争いはきらいなので、いやがっていました。

 ざんすかは、山や森や川や池などの地祇を味方にしようとしましたが、
 地祇の間では、「古王国時代の乱暴者」という評判のざんすかは、誰にも相手にされませんでした。

 
 「こうなったら、学生達と一緒に戦うざんす!!
  一緒につぁんだをぶっ飛ばしてぶっ殺すざんす!!」

 「ざんすかは邪悪なラリアットじじいだぞ!!
  僕と一緒に戦うんだ!!」
 
 ざんすかとつぁんだが、それぞれ、学生達に呼びかけました。

  シャンバラ大荒野で、ざんすか軍とつぁんだ軍の決戦が始まろうとしていました。 

 「がるるるるるる……。チョコレートがほしいじゃた」

 さらに、チョコレートを断っていたために、禁断症状の出ているじゃたも、
 いつ暴走するかわからない状態なのでした。
 貢物のチョコレートを食べすぎて、カカオ依存症になったので、
 ジャタの魔大樹で冬眠して治そうとしていたのに、
 むりやりざんすかが引きずり出したからです。

 この、地祇たちの戦争がどうなるかは、学生達の手にかかっているのです。