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リアクション
帰還
壊れかけの人工衛星からの脱出を助けるために近寄ったビリーにより、中にいた者達はすみやかにロケットに移ることができるかと思われた。
が、まだ生きていた防衛システムがビリーへレーザーの照準を合わせる。
まさか、ここで人工衛星と共に散るのかと全員が背筋をひやりとさせた時。
「絶対、帰るんだからっ」
秋月 葵(あきづき・あおい)がシューティングスター☆彡を人工衛星に向けた。
どこかからやって来たいくつもの塊がビリーを狙う砲身をへし折り、機体に穴をあける。
危うく宇宙に取り残されそうになった葵の命綱をみんなで引っ張って回収した頃には、人工衛星は爆発寸前だった。
ここまでもろくなっていたのは、ウィングが暴れまわったり九十九がわりと重要な機械部分を破壊した効果もあるだろう。
ともかく、ビリーは急いでそこから離れた。
あれからロケットもいくつか攻撃を受け、あちこち破損していた。
強化装甲がなければもっと手酷くやられていただろう。
また、パイロットの腕や精神面に気を配った者の力もあり、ビリーが恐慌状態に陥っているということもない。
「みんなー、帰りはちょっと狭いけど我慢してねー」
そう言ったビリーに促されて集まった場所は、ちょうど頭部にあたるところだった。
ちょっとどころではなく狭い。
ギュウギュウ詰めだ。
「それじゃ、帰るよー。はい、大気圏突入ー!」
あっという間だった。
ずっと先で人工衛星が爆発したのが見えたが、余韻にひたる間もない。
破片と同じように自分達も落ちているのだから。
「おい、大丈夫なんだよな? ちゃんと帰れるんだよな!?」
誰かの不安の声があがる。
「……どこに落ちたい?」
ふと、悪戯心を起こした佐野 誠一(さの・せいいち)が問う。
慌てたようなどよめきが起こった。
「ははは、冗談だよ。ダリルとちゃんと打ち合わせしてある。だから安心して……」
「あれー? パラシュートが……」
「うおーい!」
きれいに決めようとしたところに、ビリーからとんでもない発言が落とされた。
ぎゃー死にたくねー! 俺を盾にしようとするなー! 死ぬとどこに行くのかな。諦めるなっ。辞世の句って詠むべき? だから諦めるなっての! きゃ、チカーン! 誰だどさくさに紛れて!
身動きも難しいところで、彼らはみっともなく力いっぱいあがいた。
パラシュートは開かないままぐんぐん地表が近づく。
このまま激突すれば確実に死ぬだろう。
彼らの胸に最後によぎったものは──。
卍卍卍
「だから、どうして助かったのかわからないんだよ。肝心のビリーも目をつぶってて見てなかったって言うし」
「手のひらみたいな感触とか言ってたけど、そんなデカイ手の奴がいるかよ」
生きていた。
よくわからないが、ビリーも中に詰まっていたみんなも生きていた。
どうして無事だったのかは上記の話の通り不明だ。
帰って来た彼らを最初に迎えたのは石原校長だった。
彼は一人一人の無事を確かめるように抱きしめ、荒野と自分を救ってくれた彼らを讃えた。
人工衛星の脳みそは校長を酷く言っていたが、目を潤ませて生還を喜ぶ姿に嘘は見られない。
その後、ロケット組と地上で戦った組とは合流し、レン達がパラ実に入学を決めたことや、それぞれにあった出来事を徹夜で騒ぎながら報告しあったのだった。
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担当マスターより
▼担当マスター
冷泉みのり
▼マスターコメント
いつもお世話になっております。
大変遅くなってしまい、すみませんでした。
『パラ実占領計画最終話』をお届けいたします。
最初からの方も途中からの方も今回のみの方も、ご参加いただきありがとうございました。
宇宙のシーンでは、宇宙空間なのにまるで地上にいるような表現が多々ありますが、パラ実仕様として目をつぶっていただければと思います。
何名かの方に称号をお送りしております。
個別メッセージでお知らせしておりますのでご確認ください。
次回は種モミっぽい単発シナリオを予定しています。
シナリオガイド公開日はまだ未定なので、決まり次第お知らせしたいと思います。
近日中に調えることになりましたマスターページで。
それでは、またお会いできることを楽しみにしています。