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イベントミュージアム(ゴチメイ隊がいく)

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イベントミュージアム(ゴチメイ隊がいく)
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リアクション

 


 
 
 
 
 
「えっと、なんだか雰囲気変わってきちゃったよね」
 通路を進むうちに、いつの間にか周囲の様子が近代的な美術館の通路から、学校の廊下のような物に変わっているのにカレン・クレスティア(かれん・くれすてぃあ)が気づいた。
「何か怖がっているのか?」
 淡々とジュレール・リーヴェンディ(じゅれーる・りーべんでぃ)がカレン・クレスティアに訊ねた。
「そ、そんなことあるわけないじゃない」
 カレン・クレスティアが精一杯の気勢をはる。
 どうも、雰囲気が、こう、学校の怪談というような感じなのだ。
 カツーン、カツーンと、二人の足音が廊下に響く。
 よく見ると、床には何かを引きずった跡のような物があった。
「前方に何かあるのだ」
 キョロキョロ周りを見回して、その実何も見ていないカレン・クレスティアに、ジュレール・リーヴェンディが前方を指さして言った。
 そこには、見るも無惨に破壊された橇が放置されていた。
 スピードの出し過ぎで壁にぶつかったのだろうか。ほとんど原形をとどめていないぐらいにぐちゃぐちゃだ。だが、屋内にはとりたてて損傷がない。よほど壁が頑丈だったのか、何者かが橇を乗り手ごと粉砕したかだろう。
 そう、橇には誰も乗ってはいなかった。ただ、床の上に点々と赤い染みがわずかに残っているだけである。
「なんだか、もの凄く嫌な予感がするよね。あ、そこの展示室に入っちゃおうよ」
 そのまま隠れてしまおうとでも言いたげに、カレン・クレスティアがすぐそばの教室に入った。
「いらっしゃいませ〜」
「きゃあ!!」
 突然ぬっと現れたフィリッパ・アヴェーヌ(ふぃりっぱ・あべーぬ)に、思わずカレン・クレスティアが悲鳴をあげた。
「なんだか失礼ですぅ」
 予想外のリアクションに、メイベル・ポーター(めいべる・ぽーたー)がちょっと頬をふくらます。
「こちらに記帳をお願いいたします」
 フィリッパ・アヴェーヌが、何ごともなかったかのようにノートを差し出した。
「ええと、君たちがここの絵の出展者?」
 自分とパートナーの名前を書きながら、カレン・クレスティアがメイベル・ポーターたちに訊ねた。
「うーんと、そうだとも言えるし、そうでないとも言えるし……」
 セシリア・ライト(せしりあ・らいと)が、ちょっと返答に困る。
 飾られているのは、『蒼空学園を徘徊する天使という名の撲殺魔』という絵だ。
 誰が依頼したものかは分からないが、完成品がメイベル・ポーターの所に送られてきたものである。
 出所がよく分からないので、今回出展してみて、それを調べてみようとしているのであった。
「……こ、この絵は……よそう」
 入り口で、アキラ・セイルーンが二の足を踏んでいた。
「ドウシテ?」
 アリス・ドロワーズが、怪訝そうに訊ねる。
「だってどう見てもホラーじゃん! スプラッターじゃん!」
 中に飾ってあるモノクロの大きな絵をこそっと垣間見て、アキラ・セイルーンが言った。
「他のは見ておいて、一つだけやめるのはよくないワ。サァ行くわヨ」
 アリス・ドロワーズが、お構いなしにアキラ・セイルーンの手を引っぱる。
 二人が入り口で押し問答をしていると、廊下の奥から、コーン、ズルズル、コーン、ゴリゴリと、何かを引きずって歩いているような不気味な音が近づいてくる。ときどき、ボゴッとか、バキッとかいう音もしたように思えるのは気のせいだろうか。
「な、何か、来る!」
 本能的な危機を察して、アキラ・セイルーンが、アリス・ドロワーズと共に教室の中に逃げ込んだ。
「いらっしゃいませー。記帳をお願いしまーす」
 フィリッパ・アヴェーヌにノートを差し出されて、仕方なくアキラ・セイルーンが二人の名前を書いた。
「誰か、やってくるんだもん」
 カレン・クレスティアがあわてて身を伏せて隠れると、教室の窓から廊下の様子をそっとうかがった。ジュレール・リーヴェンディやアキラ・セイルーンたちもそれに倣った。まったく動じていないのは、メイベル・ポーターたちだけである。
「メガネ〜、かけた人はいませんかあ〜」
 真っ赤なバットを持った三人の女の子が、ゆっくりと進んでくる。
 ヒュンと、一瞬真っ赤なバットが空を薙いだ。バッと、教室の窓に血飛沫が飛び散る。
「こえぇ……こえぇよぉ〜」
 窓の外を見たアキラ・セイルーンがぶるった。
「まさに狩る者と狩られる者ネ」
 アキラ・セイルーンの様子を見て、アリス・ドロワーズが変に納得した。
「あれが、噂の撲殺天使……。いったい、その正体は……はうあっ」
 皆まで言えずに、カレン・クレスティアが頭に巨大なコブを作って倒れた。
 ガン、ゴン、ゴスッ!
 間髪入れず、残る三人も何者かに殴られて気絶する。
「ふう。撲殺天使の正体は秘密なのですぅ」
 真っ赤な撲殺天使用バットを持ったメイベル・ポーターが、ごめんなさいと四人に謝りながら言った。
「タイミングよく、バットが現れて助かったよね」
 持ってきてもいなかった愛用のバットの出現に、驚きながらも喜んだセシリア・ライトが言った。
「これも、秘密を守るための、貴い犠牲です」
 フィリッパ・アヴェーヌが、犠牲者たちに手を合わせる。
「メガネ〜、かけた人はいませんかあ〜」
 そう声をかけながら、撲殺天使たちは廊下を通りすぎていった。