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リアクション
「やる以上は全力で行くよっ!」
ミルディア・ディスティン(みるでぃあ・でぃすてぃん)は、枕をぐっと握り締めた。パートナーのイシュタン・ルンクァークォン(いしゅたん・るんかーこん)も一緒に来ている。
誘われたからやって来たのだけれど、他校の宿で問題を起こすわけには行かないので、暴走しやすいイシュタンに、投げていいのは備え付けの枕だけだということをしっかりと言い聞かせた。
愛美やマリエルたちと同様に、折角なので、パートナーと陣地を分かれて、枕を投げ合う。
言い聞かせたこともあってか、イシュタンが暴走することなく、楽しんで枕投げに参加することが出来た。
ただ、静かに読書でもして、消灯時間を迎えようとしていた一乗谷 燕(いちじょうだに・つばめ)。
けれど、部屋の賑わいはそれを許してくれないようであった。
飛んできた1つの枕を皮切りに、次々と枕が飛んでくる。
「燕も一緒に参加しちゃおうよ」
そう言って、マリエルに引っ張られるままに気付けば部屋の中央に居た。
「こうなったら、とことんお相手しないといけないどすなぁ」
枕を掴んだ燕は、笑んでそう告げた。
飛んでくる枕は見切って避け、すぐに拾い上げると投げ返す。
そうして、巻き込まれたなりに楽しんだ。
「乙女の園に入ってくるとはいい度胸ねッ」
女装して入ってきたのであろう男子生徒を見つけた五十嵐 理沙(いがらし・りさ)は、そんな彼に向かって、指差した。
「何故ばれるっ!?」
女将の目を逃れて入ってきただけあって、どこからどう見ても女子に見えるのに、男子生徒は焦って、声を上げてしまった。
そこは乙女の勘のおかげなのだ。
「ひみつよ!」
なんて言いながら、枕を構えるのであるが、改めて見ると、自分より背が低くて、体重も軽そうで、可愛らしくて、女子にしか見えない。
「な、何だか凄い敗北感……コスメとか何使ってるの!? 教えてッ!?」
無茶出来ず、何故か敗北感を覚えた理沙は枕をぽろりと手から落として、その男子生徒に教えを請う。
「ルールとかイマイチわからないんだけれど……」
一方で、理沙のパートナーのセレスティア・エンジュ(せれすてぃあ・えんじゅ)は枕投げを楽しんでいた。
枕投げの細かいルールは良く分からないけれど、見よう見まねで備え付け枕だけを投げ合う。
「……おやすみ、むにむに」
次第に疲れてきたのか、投げようと握り締めた枕を抱きかかえるように眠ってしまっていた。
「必殺! 大回転枕投げや!」
枕投げの開始と共に、「対戦や〜」と叫んで場を盛り上げた桜井 雪華(さくらい・せつか)は、トルネード投法の如く、大振りな動きで、枕を思い切り投げつけた。特に標的はなく、飛んでいった枕は、愛美へと当たる。
「やったわねー!?」
投げ返される枕に、雪華は素早く対応するように掛け布団を足先で摘んで蹴り上げる。
「秘技布団返し!」
掛け布団の柔軟性を考慮していないその盾は、勢いのある枕が当たると掛け布団と一緒になって、雪華へと襲い掛かってくる。
「あちゃ〜……これは使えないなぁ」
掛け布団の中から這い出てきながら、雪華は残念そうに呟くのであった。
「トライブが来ないと退屈なのじゃ」
ぽつりと呟いたのはベルナデット・アンティーククール(べるなでっと・あんてぃーくくーる)だ。
千石 朱鷺(せんごく・とき)は彼女のそんな一言に、すぐさまパートナーであるトライブ・ロックスター(とらいぶ・ろっくすたー)を非常階段の踊り場へと呼び出すと、女性ものの浴衣を着させた。
「折角、風呂に入ったのにー」
そう告げるトライブに、付け睫毛からメイクまで施していると、朱鷺は楽しくなってきたのか、入念にメイクを施した。
詰め物が用意できなかったため、胸元が寂しい。そこに気付かれないように、踊り場から女子部屋へ向かうときには、朱鷺はトライブに寄り添い、仲の良い女の子同士を演じた。
従業員が通りかかったけれど、トライブの胸元の次に、朱鷺の胸元も見て、何やら納得したようで、通り過ぎていく。
その様子に、バレないかと不安に思いながらも胸の大きさに納得されたことがショックで、部屋に戻るなり朱鷺は布団へ潜り込んだ。
「トライブが来たのじゃー。似合ってるのじゃ、その格好」
「嬉しくねぇよ」
ベルナデットは、やって来たトライブに嬉しくなり、更に女装を褒めたのだが、返された言葉は嬉しくなさそうだ。不思議に思って、首を傾げる。
「女の子相手に枕投げは出来ねぇし、俺はここで応援してやるから頑張れよ」
茶請けのお菓子を広げて、お茶を淹れ、他にも応援に回っている女子たちに声をかけるトライブ。
ベルナデットは彼が応援してくれることを嬉しく思い、気合を入れて、枕投げに参加した。
「えいっ」
ただ、あまり体力がないためか、投げる枕は届かず、飛んでくる枕は避けられない。
気が付けば、集中攻撃を浴びせられ、ベルナデットはトライブへと泣きつくのであった。
「……って何これ? 枕投げ??」
友だち作りのためにこっそり宿を抜け出して、蒼空学園の生徒たちが泊まる宿へとやって来た蓮実 鏡花(はすみ・きょうか)は、女子部屋に入るなり驚いた。
「またまた来客だ! 枕投げはいくらでも参加者募集中よ?」
実況をしている愛に言われて、折角の機会だからと鏡花は部屋の奥へと入っていく。
「こっち来て〜」
そう告げる愛美の言葉につられるように、愛美側のチームに参加する鏡花。
気付けば、周りに打ち解けるように、枕投げをしているのであった。
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