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リアクション
(2)13:00 熱心な部活動
「こっちでござるよー!!」
椿 薫(つばき・かおる)は、偶然残っていたのぞき部の部員を携帯で呼び出し作戦会議をたてた。目はきらきらと輝き、すでに頭の中には春が訪れているようだ。橘 カオル(たちばな・かおる)はそれに気づくと手を振り返して、彼のほうに向かっていく。
「橘殿! よく来てくれたでござる。他の部員にはもう説明したのでござるが、拙者が先ほど部長からコピーした地図を使ってサポートをするでござる」
「ん? オレ、地図なら持ってるぜ」
そういってカオルは【シャンバラの地図】を出した。
真面目ニヤルデゴザルヨーッッ……!!!
ミカンモ有ルヨーッッ……!!!
「そうそう、橘殿にお願いがあったのでござる。久世 沙幸(くぜ・さゆき)殿と、藍玉 美海(あいだま・みうみ)殿をお誘いしたのでござるが、部活の事は伝えていないでござる。合流して現場に向かっていただけないでござるか?」
「オッケー、女子更衣室に堂々と入れやすそ……なんでもない! じゃ、ちょっくら迎えに行ってくるぜ」
そうして二人は別れた。
のぞき部はいつだって本気。
そんなのぞき部を警戒する団体が多いのも世の道理で、美少女戦士部と(むだに)あつい部も独自の対策を立てていた。美少女戦士部はプール内にいる女生徒に警戒を促すために温水プールにまっすぐ向かい、あつい部部長の武神 牙竜(たけがみ・がりゅう)は迦具土 赫乃(かぐつち・あかの)の姿を探していた。温水プール付近で自分の名前が叫ばれているのを人づてに聞いて赫乃が向かったところ、真冬であるにもかかわらず暑苦しいオーラを出している人物がいた。
「が、牙竜殿、わらわに何か御用じゃろうか?」
「赫乃! 探していたぞ、俺と一緒に(むだに)あつい部やろうぜ!!」
「(むだに)あつい部、とは?」
「熱ければ、戦闘だろうが、スポーツ、恋愛何でもよし! 掛声はファイファーだ!! よし、説明したから入部は決定だ! ファイファー!!」
れ、恋愛も!? 赫乃はむむっと気合いを入れると了解じゃ、とうなずいた。牙竜はニカッと笑い赫乃の手を取ると、天高く拳を突き上げた。
「よし、気合い入れていくぞ! ファイファー!!」
「え、ななな、ファ、ファイファー!!!」
少し離れたところでは、金色のポニーテールを揺らしながらリリィ・シャーロック(りりぃ・しゃーろっく)がニヤニヤと見守っている。
鈴木 周(すずき・しゅう)は温水プールから校長室に向かう道を逆走して、メガネメガネと呟きながら涼司を探している。
「いた!! おい涼司!俺たちのぞき部の活動に協力する気はねーか?」
涼司は突然の申し出に驚きながらも、のぞき部の活動には興味があったので詳しく話を聞きたがった。
「いや……でも、花音がうるせぇしよー。温水プールの爆弾も気になるし」
「もちろん入部を強制したりしねーからお前の立場は大丈夫だぜ。立場は守ったまま、俺たちという仲間ができる。
お前ぶっちゃけ友達少なそ…いや、なんでもねぇ」
「聞こえてるぞ、ゴルァ!!」
周は襟首を掴まれて苦しそうにしているが怯まなかった。男ならこんな夢のある話、興味がないわけないだろう! 立ち上がれ、勇者! お前どうせ友達すくな……あ、なんでもない。なんでもないよ! ギブギブギブ!
涼司は周の捨て身の勧誘に首を縦には振らなかったが、もう少し考える時間をくれと言って去って行った。その結果を周は薫に報告し、満足そうな笑顔を浮かべて現場へスキップしていく。そう、俺たちのレジェンドはここからはじまるのさ!
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