|
|
リアクション
体を使って捕獲
次は、ウサギと戦って捕獲しようとする生徒たちをみてみよう。
蒼空学園のプールでは、ガートルード・ハーレック(がーとるーど・はーれっく)と騎沙良 詩穂(きさら・しほ)が、2匹のパラミタヴォーパルバニーと対峙していた。
ガートルードは、スキルを使って不意打ちに警戒しつつ、首を狙って飛びかかってくるウサギを何度もかわしていた。
彼女は強化光条兵器を装備していたが、峰打ちを多用し、決して斬りつけなかった。
そして、ウサギが疲れた頃を見計らい、上手に捕まえていた。
一方の騎沙良 詩穂(きさら・しほ)は、完全防備で捕獲に臨んだのはいいが、こちらは本気で戦っている。
パラミタヴォーパルバニーの攻撃を盾で防ぎつつ、殺気看破、超感覚、先制攻撃と、容赦ない攻撃を加えていた。
「詩穂はニンジャだもんね。ニンジャと言えばクリティカル! ウサギの首をはねていきますよー」
そういって、ヴォーパルバニーと死闘を繰り広げていた。
周囲の生徒たちは唖然としてみている。
しかし、ちょうど体育館から出てきた藤原 優梨子(ふじわら・ゆりこ)だけは、なぜかこの光景を喜んでいた。
葛葉 明(くずのは・めい)は、詩穂の戦いぶりを見かねて叫んだ。
「ちょっと詩穂ちゃん、いくら鋭い歯を持っているといっても、相手はウサギよ。手加減してあげて! みんなもドン引きしているよ」
そういうと、葛葉 明は、詩穂と戦っているヴォーパルバニーへと駆け寄り、ウサギを抱きかかえた。
と、ガブリッとウサギにかみつかれ、葛葉の腕に激痛が走った。
「やっぱ痛い!」
そういって、思わずウサギを地面に叩きつけてしまった。
やはり、戦いをして気が立っているウサギは危険なのだ。
これによって騎沙良 詩穂(きさら・しほ)は、叩きつけられたウサギを難なく捕獲することができた。
2匹同時に捕獲したので、トータルでは8匹。
※ ※ ※
ここにきてようやく、裏山で全校放送を聞いた
佐々木 弥十郎(ささき・やじゅうろう)と
熊谷 直実(くまがや・なおざね)が、蒼空学園に駆けつけてきた。
「佐々木、ウサギに殺気看破は使うなよ」
「ええっ、おっさん、そんな無茶な。殺気看破を使えばすぐにわかるのに・・・・・・」
困惑する佐々木だが、熊谷 直実は心を鬼にして、命令を変えなかった。
「いいか、ふたりで背中合わせになるんだ。一人ずつだと背後から襲われてしまうからな。気を抜くな・・・・・・だけど、油断したふりをしろ」
佐々木 弥十郎(ささき・やじゅうろう)が、音と空気の振動に注意していると、1匹のウサギが現れ、佐々木めがけて飛びかかってきた。
「来たぞ!」
ふたりは、タイミングよく同時にしゃがんでウサギの攻撃をやりすごす。
「いいぞ、打ち合わせどおりだ」
熊谷のエールをもらった佐々木は、返す刀でウサギの胴体をぎゅっとつかみ、檻に入れた。
「おっさん、油断するな。もう1匹いるぞ!」
佐々木 弥十郎(ささき・やじゅうろう)がこう叫ぶや、
熊谷 直実(くまがや・なおざね)を、ウサギの歯が襲った。
とっさに熊谷は、奈落の鉄鎖を使う。
ウサギの動きが瞬間的に鈍った。
「えいやっ」
熊谷 直実は、無刀取りの要領でヴォーパルバニーを捕まえようとした。
が、うまくいかない。
ウサギは、体制を立て直し、再び襲ってくる。
「おっさん、危ない! 歯が迫っているぞ」
すると、熊谷 直実は捨て身の攻撃に出た。
なんと、直実は、自分の歯を使って無理やりウサギの動きを止めたのだ。
大急ぎ手、佐々木 弥十郎がウサギを捕獲する。
「ふぅ、おっさんも無理なことするなぁ」
「ははは。なあに、これも修行のうちだ」
これでようやく、10匹のウサギすべてを捕まえることができたのだった。