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伝説の焼きそばパンをゲットせよ!

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伝説の焼きそばパンをゲットせよ!
伝説の焼きそばパンをゲットせよ! 伝説の焼きそばパンをゲットせよ!

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「焼きそばパン、これでおしまいね」
 クロス・クロノス(くろす・くろのす)が、最後の1個を取り出した。
「よっしゃ、任せな」
 獣 ニサト(けもの・にさと)が手近にあった台に上がると、「伝説の焼きそばパン! ラスイチ!」と叫ぶ。
 一瞬静かになると、「よこせ!」「ください!」「俺のだ!」の声と共にニサトに向かって小銭が飛んできた。
「イテッ、イテテッ」
 硬貨を避けきれないままに、ニサトは最後の伝説の焼きそばパンの袋をを放り投げる。焼きそばパン目当ての一群がそれを追った。
「ちょっと……やり過ぎよ」
 クロス・クロノス(くろす・くろのす)が眉をひそめたが、ニサトは気にする様子がなかった。
「残ってない焼きそばパンを注文されても面倒だろ。ほら、他のパンを買う奴らが来てるぜ」
 ニサトの言うとおり、焼きそばパン以外のものを買う生徒が集まっていた。
「それならこの残念賞を配ってくださいね」
 多比良 幽那(たひら・ゆうな)がマンドレイク焼きそばパンを取り出した。
「お代はいりません。買いに来た人におまけでつけてもらえば結構です」
 
 椎名 真(しいな・まこと)がようやく購買部にたどり着く。得意の競歩で最短ルートを急いだものの、立派な体格が災いして全然購買部まで近づけなかった。
「焼き……」
「ごめんなさい。伝説の焼きそばパンはもう売り切れなの。このマンドレイク焼きそばパンなら」
「あ、そうじゃなくって、焼きうどんパンください」
「そんなのあったかしら……、もうほとんど売り切れてて」
 椎名 真(しいな・まこと)は肩を落とす。
「はぁ、何でも良いんで適当に」
「そうね、じゃあ、フルーツサンドと期間限定のさくらたいやきパンを」
 椎名 真(しいな・まこと)は代金を払うと、東條 カガチ(とうじょう・かがち)佐々良 縁(ささら・よすが)の待つ場所へと行った。

 校長室のテレビに羽瀬川 まゆり(はせがわ・まゆり)が映し出される。
「いよいよ伝説の焼きそばパンの争奪戦も終わりに近づきました。あっ、どうやら最後の1個のようです」
 カメラが購買部を映す。ちょうどニサトが、最後の1個を放り投げたところだった。
 花音・アームルート(かのん・あーむるーと)は、ちょっと困ったような顔をしたが、山葉 涼司(やまは・りょうじ)は、意に介した様子もない。
「さぁ、最後の1個を誰が獲得するのでしょうか。かなりの人数が追っかけています」
「私!」
「ちょうだーい!」
「ボクのだ!」
 波間を跳ねる小魚のように、伝説の焼きそばパンを入れた袋が、一群の手から手を飛び回る。
「まだ争奪戦は続いています! もはや意地と意地のぶつかり合いだ!! 果してお昼休みが終わるまでに決着するのかー!?」
 大きく弾かれた袋が、羽瀬川 まゆり(はせがわ・まゆり)の方へと飛んでくる。
「あっ、生徒の手から弾かれたパンが私の上を飛んでいきます! って、ちょ!? 大勢が突進して……ぎゃー!」

しばらくお待ちください
 
「えっと……」
 戸惑う花音・アームルート(かのん・あーむるーと)をよそに、山葉 涼司(やまは・りょうじ)は「不幸な事故だ」と言い切ってテレビを消した。
「そろそろ風紀委員が戻ってくる。慰労会の準備をするか」
「……はい」