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リアクション
■□ 第3フェーズ □■
【現在捕縛された人数:西;十七名、東;五名。新たに掴まったのは、詩刻 仄水、ミア・ティンクル、クリアンサ・エスパーニャン、レイチェル・スターリング、木本 和輝、四季 椛、藤川 隼、芹 なずな。第三フェーズを開始します。】
「そろそろ時間半分ってところだねぇ」
運営本部でけが人の手当に当たっている遊馬 澪(あすま・みお)がのんびりと呟いた。案外みんな紳士的に遊んでいるのか、今のところ怪我と言ってもすりむいた程度の人しかいない。
「そうですね……このまま平和に終わると良いんですが」
アレット・レオミュール(あれっと・れおみゅーる)が心配そうに答える。
ちなみに、今のところ一番重症なのは素っ裸の男性に羽交い締めにして連れてこられた女子二人、およびそれを目撃してしまった女子スタッフの心の傷である。
【なお、オニが二人追加されました。頑張って逃げて下さいネ】
「デッドエンド、フフフ……」
如月 正悟(きさらぎ・しょうご)は、ヘキサポット・ウォーカーに乗って雅羅・サンダース三世を追いかけていた。
「もう、いつまで着いて来るんですの!」
一方の雅羅は自らの足で逃げている。疲労しない正悟の方が圧倒的に有利だ。
雅羅はなんとか振り切ろうと、道の角を直角に曲がる。正悟もそれに着いていこうとヘキサポット・ウォーカーの方向を90度転換させた。が、重力管制装置のようなモノが着いている訳もない乗り物だ、遠心力と横Gが正悟を襲う。
スピードが乗っていたこともあって耐えきれなかった正悟は、ぽーん、とヘキサポット・ウォーカーから放り出された。
「ぉぉぉぉぉおおおおおおお?!」
一瞬自分の身に何が起こったのか解らなかった正悟は、間抜けな悲鳴と共に飛んでいく。
雅羅の方へ。
「どっ、どいて! 退いて!」
正悟の声に、雅羅が振り向いた。と同時に正悟は頭からぶつかるのを防ぐために手を正面に出す。
一瞬間抜けな対峙があって……
むぎゅっ
正悟の手が、雅羅の豊満な胸をわっしと掴んだ。
雅羅の息が止まる。
正悟の息は荒くなる。
「……何をしますの……!」
が、次の瞬間、氷のように冷たい視線を正悟に突きつけ、隠し持っていた愛用の銃、バントラインスペシャルを素早く抜くと、ハンマーに親指をとトリガーに人指し指を掛けて突きつける。本気だ。
「やっ……これはあの、ほんの事故……っていうかオニへの攻撃行為は禁止なんですケド一応タッチしたことになると思うですケド」
長い銃身にこめかみをぐりぐりされている恐怖の所為で正悟の口調が乱れる。
ちゃき、と弾倉が回転し、ハンマーが持ち上がる音がする。
「すすすすみませんでしたすみませんでしたあぁあああ!」
正悟が涙目で平謝りすると、雅羅は暫く冷たい目で正悟を見下ろして居たが、やがてバンッ、と引き金を引いた――正悟のすぐ近くの、芝生に向けて。
背中にたっぷりの冷や汗を流した正悟は、丁重に雅羅を中央エリアまでエスコートするのだった。
「あの人でしょうか……どう思いますか、レミリア」
桜の木の陰に隠れてコソコソと様子を窺っているのはイルミンスール生の南部 豊和(なんぶ・とよかず)だ。その隣にはパートナーのレミリア・スウェッソン(れみりあ・すうぇっそん)の姿もある。
「スタッフのTシャツは着ているが……何かを持っている様子もなさそうだぞ」
豊和とレミリアは目をこらして、西エリアに立っているスタッフの様子を観察していた。
次の試練は公園内の何処かに居るスタッフから鍵を貰う、というもののはずだ。今のうちから怪しいスタッフに目星を付けておくに越したことはない。
「一応聞いてみましょうか。すみませーん!」
「あ、おい豊和……!」
レミリアの制止の声も聞かず、豊和は物影に隠れたまま大きな声でスタッフTシャツ姿の人影に声を掛けた。
その影が振り向く。……黒いサングラスを掛けていた。
「!!!」
慌てて豊和とレミリアは離脱を計ったが、大声を上げたのがいけなかった。
他のオニも駆けつけてきて、敢えなく二人とも捕獲されてしまうのだった。
豊和とレミリアが連れて行かれた丁度そのころ、参加者の元へ一斉メールが届いた。
【現在捕縛された人数:西;十七名、東;五名。新たに捕縛されたのは雅羅・サンダース三世、南部 豊和、レミリア・スウェッソン。只今より、試練3を開始します】
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