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猫耳メイドが大切なあなたのために作ります♪

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猫耳メイドが大切なあなたのために作ります♪

リアクション

 ≪ヴィ・デ・クル≫の街を照らしていた太陽が西の空に沈み、代わりに鍋を温めていた火がキャンプファイヤーとなって明るく広場を照らした。

「ああ、なんか物足りないなぁ〜」
「そうですね。でも、もう親子丼はありませんよ」
「だよねぇ〜」
 テーブルに突っ伏してだらける緋柱 透乃(ひばしら・とうの)に、緋柱 陽子(ひばしら・ようこ)が同意した。
 そこへ美味しそうな匂いを漂わせながらグラキエス・エンドロア(ぐらきえす・えんどろあ)がやってくる。
「やあ、バーベキューなんてどうだ?」
 グラキエスの手にはバーベキューの串が握られていた。
 それは≪プテラノトプュス≫の肉と≪ルブタ・ジベ村≫でもらった野菜で焼いた、今日だけの特別品だった。
「やったぁ!! もらう、もらう!!」
 透乃は大喜びでグラキエスから串を受け取ると、大口を開けてかぶりつこうとする。
「いっただきま――」
「いただくよ!」
 バーベキューにあり付こうとした透乃の串を、強殖魔装鬼 キメラ・アンジェ(きょうしょくまそうき・きめらあんじぇ)がかすめ取っていった。
「あ、こらっ、待て私のにくぅぅぅ――!」
 透乃がアンジェを追いかけていく。
 その様子を見送った陽子はグラキエスに尋ねる。
「あの、これで全部ですか?」
「いいや、あっちにまだまだあるぜ」
 
「アルトリアちゃん、すごく美味しそうに食べるんですねぇ」
「す、すいません。はしゃぎすぎました」
 物凄い勢いでバーベキューにかぶりついていたアルトリア・セイバー(あるとりあ・せいばー)は、ルーシェリア・クレセント(るーしぇりあ・くれせんと)に言われて、自分があまりに行儀悪い行動していたことに気づき、恥ずかしげにしながら手を止めた。
 すると、バーベキューを目の前にして腹の虫が豪快に鳴り響き、アルトリアは顔がゆでだこのように真っ赤に染めた。
「……」
「我慢しなくていいですよぉ」
「は、はい」
 アルトリアは少し控え目に食事を再開した。


「なぁ、踊ってみないか?」
「え?」
 キャンプファイヤーを眺めていた月崎 羽純(つきざき・はすみ)が、赤くなった顔を背けながら遠野 歌菜(とおの・かな)を誘う。
 歌菜はそんな羽純も可愛いと思い、すこしだけ笑った。
「いいよ。踊ろうか」
 羽純と歌菜がキャンプファイヤーに近づいて踊りだす。すると次々と色んな人々が真似して踊りだした。
「ア、アリア。俺達も……」
「う、うん」
 正光・シュクレール(まさみつ・しゅくれーる)アリア・シュクレール(ありあ・しゅくれーる)を誘った。
 そんな熱々の二人をチャティー・シュクレール(ちゃてぃー・しゅくれーる)が羨ましそう見つめる。
「若いっていいわねぇ。私も踊りたいわねぇ」
「……なんで俺を見ているんですか?」
「私も踊りたいわ〜」
 直江津 零時(なおえつ・れいじ)はチャティーから一緒に踊って欲しいという明らかな意志を感じた。
 踊りたいと言い続けるチャティーを、零時は目線を逸らして無視した。
 すると、突然チャティーが、零時の頬を両手で挟み込んで抑える。
「じゃあ、キスでいいですよ〜」
 チャティーが顔を近づけて、零時のトラウマとなっている【アリスキッス】を迫る。
「うわっ、わかった! 踊る! 踊らせてもらいます!」
 恐怖にかられた零時は、しぶしぶ了承してしまった。
「エスコートをお願いしますねぇ」
「……はい」
 
 踊る人々見ていた緒方 章(おがた・あきら)林田 樹(はやしだ・いつき)を誘うとする。
「樹ちゃん、僕達も――」
「あ、そういえば用事がっ――」
「ちょっと、待って!」
 逃げ出そうとする樹の手を、章は今度ばかりはしっかりと掴んだ。
 困惑する樹に章は自分の正直な気持ちを伝える。
「樹ちゃんが僕を意識して、避けようとしているのはわかっている」
「あ、いや、それは――」
「でも、そのたびに僕は締め付けられたように胸が痛いこともわかって欲しい」
 章の苦しみを知った樹は、逃げるのをやめた。
 章は深呼吸してもう一度、告白する。
「僕は君は好きだ。ずっと傍にいたいんだ」
 樹の顔が真っ赤に染まり、周囲の視線が二人に集まる。
 すると、章が樹の掴んだ手を離した。
「だけど、避けられるくらいなら……僕と一緒にいたくないなら……なかったことにしてくれても構わないんだ」
 章が樹に背を向ける。
 樹にはその背がすごく小さく見えた。
 樹は何と声をかけるべきか、なんと答えるべきか悩んだ。
 そして――ドンと樹は章の背中に身を寄せて告げた。
「わ、私も……ア、アキラが………………好きだ」
 恥ずかしさから最後の声は小さかったが、章にはしっかりと樹の声は届いていた。
 章は振り返って樹を抱きしめると、ダンスに誘った。
 了承した樹はキャンプファイヤーに近づいて一緒に踊りだす。
 すると樹が顔を背けて、呟いた。
「……アキラは卑怯だ」


「お疲れさまじゃ」
 ベンチに座るアレーティア・クレイス(あれーてぃあ・くれいす)は、膝に頭を乗せたアニマ・ヴァイスハイト(あにま・う゛ぁいすはいと)を優しく撫でた。
 するとアニマが寝言でアレーティアの名を呼んでいた。
「ふふ……アニマは可愛いの」
 アレーティアは優しい笑みを浮かべている。

 近くの別のベンチでもセレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)セレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)がのんびりくつろいでいた。
「ああ、そこそこ。気持ちいい〜」
 セレンフィリティはセレアナに腰をマッサージされながら、気持ちよさそうに目を細めていた。
 するとセレアナがセレンフィリティに尋ねる。
「ねぇ、セレン。私達も踊ってみる?」
 セレンフィリティは顔を上げてキャンプファイヤーの近くで踊る人々を見つめる。
「う〜ん、やめとこうかな。今はこのまま一緒にのんびりしていたいし」
 セレアナが嬉しそうに笑う。
 セレンフィリティとセレアナは二人の時間を満喫していた。


「あゆむは僕の知らない所で色々やってたんだな」
 早見 騨は猫耳メイドの機晶姫あゆむと一緒に、キャンプファイヤーの周りで踊る人々を眺めていた。
 あゆむは騨のつぶやきのような一言に、慌てて頭を下げた。
「か、勝手なことをして、すいませんでした!」
「別にいいよ」
 あっさり許す騨に、あゆむは結局何も変わらなかったんだなと思い、肩を落とした。
 すると、騨があゆむの方を向いて強い口調で話した。
「……でも、次からはちゃんと言ってからにしてくれるかな。結構心配してたんだよ。何度も探しに行こうとして足止めをくらって、あゆむのことが気になってカップを五回も割ってマスターに怒られた。だから……約束して。今度から勝手にどっかいったりしないって」
「は、はい。わかりました」
「絶対だよ、いいね?」
 騨に肩を掴まれあゆむは何度もコクコクと頷いた。
 あゆむが約束すると、騨はあゆむを離し視線をキャンプファイヤーの方に向けて、黙ってしまった。
 あゆむは恐る恐る尋ねる。
「あの……騨様。もしかして怒ってます」
「……うん」
 あゆむは騨の返事を聞いて少し嬉しかった。
 無駄ではなかったと、思えた。
 あゆむは騨の隣に並んで一緒に踊る人々を眺め、まったりした空気が流れた。
「騨様。なんだか、皆さん楽しそうですね」
「そうだね」

「だったら、あなた達も踊ればいいじゃない!」

「きゃっ!?」
「うわっ!?」
 突如、あゆむと騨の間にシオン・エヴァンジェリウス(しおん・えう゛ぁんじぇりうす)が割り込んできた。
「踊りたいんでしょう。だったら早く行った行った!」
 シオンは無理やり二人の背中を押して、キャンプファイヤーへと向かわせる。
「本当にあの人はむちゃくちゃだな……」
 困り果てる騨。
 するとあゆむが慌てた様子で騨に話しかけてきた。
「あ、あの騨様! 大変申し訳ないのですが、あゆむはダンスはやったことがありません。だから騨様とは踊ることができません」
 あゆむは今にも泣きそうなくらい涙目だった。
 あゆむは騨と一緒に踊りたいと思っていたのだ。
 すると騨は優しくあゆむの手をとった。
「大丈夫だよ。僕が教えてあげるから……」
 騨は記憶を辿りにおぼつかない足取りであゆむをリードする。
 あゆむは転びそうになりながら、時々騨に支えられ、どうにか動きについていく。
 すると、二人の様子を見ていたシオンが、まるで恋人みたいだと茶化してきた。
 騨とあゆむはキャンプファイヤーの火より真っ赤に顔を染めて俯く。

 幻想的な炎を背景に、あゆむのコバルトブルーの尻尾がゆらゆらと揺れ、彼らの時間がゆっくりと流れて行った。

(ごちそうさまでした)

担当マスターより

▼担当マスター

虎@雪

▼マスターコメント

 皆様こんにちは。
 『猫耳メイドが大切なあなたのために作ります♪』のリアクション製作を担当しました。虎@雪(とらっとゆき)です。

 今回は久しぶりにあゆむさんと騨さんが登場しました。
 二人に絡めたアクションや二人の関係を気にしてくださる方々がいたことは大変うれしいかぎりでした。
 今後もたびたびあゆむさんと騨さんには登場して頂こうと思います。
 その際はまたどうぞよろしくお願いします。
 
 ちなみ≪三頭を持つ邪竜≫の研究をしている男性教諭の名前も決まりました。
 こちらもどうぞよろしくお願いします。

 素敵なアクションの数々をありがとうございました。
 よろしければ素直な感想を掲示板へどうぞ。