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【空京万博】ビッグイベント目白押し!

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【空京万博】ビッグイベント目白押し!
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6.医療を来て見て触ろう!!

「最新鋭の医療と現代医学と魔法医学の今後」
 それがこのイベントの名称であった。

 魔法の復活により、世界の医療事情は大きく変化を遂げていた。
 それまでの治療法では考えられない、魔法による瞬間的な傷の治療や、病の回復といった現象が起こるようになったのである。
 しかし一方ではインチキ祈祷師による実益のない民間療法が流通していたりするのも、パラミタにおける治療の一側面だ。


「やっぱり湯治はいいですね!
 まさかこのイベントで温泉コーナーがあるとは思いませんでした!」
 お湯でほかほかになったサクラコ・カーディ(さくらこ・かーでぃ)が、コーヒー牛乳片手に出てきた。
 ごく、ごく、ごく、げっぷ。

 万博イベントのひとつ、『医療を来て見て触ろう!!』で開催された出し物のひとつ、それがこの温泉であった。
 少なくとも、サクラコはそう聞いていたのだ。

 しかしよくよく考えると妙だ。
 サクラコのほかに客がいなかったのだ。

「これで秘伝の『猫汁』は取れたな」
 サクラコが出たあとの湯をすくって、瓶に詰める怪しげな人物がひとり。
 サクラコのパートナーである白砂 司(しらすな・つかさ)である。

 イルミンスール魔法学校で錬金術を専攻したのち、空京大学に進学した彼は、このイベントで新薬を試そうとしていた。
 正確に言えば、それは新薬ではない。
 ジャタの森で古老たちから聞いた薬の製法を試しているのだ。

「正確にはオスの猫獣人を使えということだったが、メスのサクラコで妥協しよう。
 あとはこれでうどんを茹でるだけだ」

 パートナーの入った風呂の水を集めていても、彼は変態じゃないんです!
 ただちょっと、錬金術が大好き過ぎるだけなんです!!


 さて、イベント主催者のラルク・アントゥルース(らるく・あんとぅるーす)だが、こちらもこちらで新薬開発に勤しんでいた。

「オッスオッス! 俺ラルク!
 メニエスの奴、すっげー魔力増幅薬が欲しいらしいんだ。
 それで材料になる龍玉を集めるために、今世界中を回ってんだ!
 それにしてもカナンのティアマットってデッケーなあ!」

とラルクが言ったかどうかは定かでないが、とにかくラルクはドラゴンが稀に分泌するという龍玉を集めにあちこち放浪したらしい。
 とにかく証人の意見によれば、ラルクは世界中から7つの龍玉をゲットしてきて、それを煎じて魔力増大薬を作ったという話である。

 かくして完成した怪しげな薬が、メニエス・レイン(めにえす・れいん)ナガン ウェルロッド(ながん・うぇるろっど)の前に置かれた。


「で、効果はあるの?」
 メニエスはラルクのことを疑わしげな目で見る。
「おうよ! 自信作だぜ!」

「ふぅん……信用ならないから、これ(ナガン)で試すわ」
 ラルクの自信はまったく無視して、メニエスは手にした薬をナガンの口元に押し当てる。

「うごっぐげっ」
 不意をつかれて悶えるナガン。その鼻を指でつまむメニエス。
 鼻呼吸が封じられたナガンは、口を開くほかない。流れこむラルク薬。

 3秒後。

 そこにはぴくりとも動かなくなったナガンが倒れていた。

「あちゃー。
 メニエス用に調合したからなー、ナガンにはちょっと濃度が高すぎたかな?」
「ナガンに飲めない薬が私に飲めるわけないでしょ!!」

 パラ実改造科で『鉄の胃袋』を獲得したナガンが耐えられない薬である。
 濃いとか濃くないとかのレベルではあるまい。

 メニエスは呆れたようにため息をつき、こんなイベントからはさっさと立ち去ろうと振り返った。

「おっと! そうはいかないよ!」
 そこには薬の入ったコップを手にした美少女の姿があった。
 いや、それは美少女ではない。
 天御柱学院に通う平等院鳳凰堂 レオ(びょうどういんほうおうどう・れお)はれっきとした男であり、そのことを隠してもいないのだが、知らぬ者の目には美少女としか映らない。

 レオは手にした薬をメニエスの口元に押し当てる。

「あふっうぷっ」
 拒むメニエス。その鼻を指でつまむレオ。
 鼻呼吸が封じられたメニエスは、反射的に口を開く。流れこむレオの薬。
 白濁したなまぐさい粘性の液体が、メニエスの口からその体内へと注ぎ込まれていく。

「がはっ! ちょっと何すんのよっ! 何の薬なのコレッ!?」
 ナガンと違い、メニエスは無事なようだ。
「何って、ナガン用に処方された薬だよ」
 レオはそういってメニエスに何か変化はないかと様子を見る。

「ナガン用の薬って何よ! なんか洗ってないネコみたいな味がしたわ!」
 そのとき、メニエスの体に、全身を貫くかのごとき衝撃が走った!

「あの薬を飲んだのか。
 ま、女性が服用したのなら問題あるまい。
 男性が服用したら大変なことになるところだった」

 ナガン用の秘薬を作ったのは、司であった。

 メニエスの全身から、冷たい汗が流れ落ちた。
 あのナガンの願望を叶える薬、それがロクなもののはずがない。
 ここで三択。

 この元凶となったレオをブチのめすべきか。
 それとも平然とした表情の司を地獄に送るべきか。
 そこで倒れているナガンをたたき起こしてから、もう一度永眠させるべきか。

 この迷いが、メニエスに一瞬の隙を作った!

「ヒャッハー! まずは教頭で実験だァーッ!!!」

 となりの部屋から飛び出してきたモヒカンの男、南 鮪(みなみ・まぐろ)である。
 今でこそ空大に通っている鮪だが、本質的にはパラ実生のままである。
 その鮪にとって、『医療』と『改造手術』はほぼ同義であった。

 鮪が出した『希望医療』は以下のようなものである。

・エリザベートを確実に拉致する機能
・例えナラカに居てもパルメーラを確実に拉致する機能
・毎日エリザベートのパンツを回収する機能
・例えナラカに居ても毎日パルメーラのパンツを回収する機能

 これらの希望が叶ったかどうかはともかく、『医療』は無事に終了したらしい。

 鮪はさっそくイルミンスール校長のエリザベートを狙おうと思っていたのだが、目の前に教頭のメニエスがいたのである。
 動物じみた本能で鮪はとっさにメニエスを標的に変更した。

 次の瞬間、鮪の手にはメニエスのパンツが握られていた!

「ヒャッ……ハー?
 こ、こいつは!
 メニエスに世界樹イルミンスールが生えてやがるぜェー!!!」

 鮪は見た。そこにはそそり勃つ世界樹イルミンスールの姿があった!!
(面白みのない註:比喩表現です)

 不意をつかれた鮪は、焦って周囲を見回す。
 するとそこには別の美少女の姿が。
 反射的にその美少女からもパンツを奪う鮪!

「ゲゲェー!!!
 こんどは天御柱がァーーー!!!!」

 鮪が美少女と見誤ったレオには、天御柱がそびえ勃っていたのだ!
(とても面白みのない註:比喩表現です)


「あ……ありのまま 今 起こった事を話すぜ!

 『おれは美少女ふたりからパンツを手に入れたと思ったら
  目に前には世界樹と天御柱がそびえていた』

 な… 何を言ってるのか わからねーと思うが俺も何が起きたかわからなかった!

 だが我々の業界ではご褒美だッ!」


「ブチ殺すッ!!」
「僕は男だッ!!」
 右からはメニエスの杖が。
 左からはレオのレーザーマインゴーシュが。

 こうして鮪は成敗されたのであった。


「で、どうするのよコレ、バカ錬金術オタク!?」
 メニエスは自分の世界樹イルミンスールの件で司に詰め寄る。

「大丈夫だ、問題ない。
 ナガンの要望により、女性としての性質は失われていないはずだ。
 この実験の成功により君は単一性から解き放たれた合一存在すなわちアンドロギュヌスに……げほッ!」

 メニエスの拳が司の急所に直撃。
 人間、本当に追い詰められると武器を持っていてさえ拳を繰り出してしまうものなのである。
 この結果、世界樹を何とかできたかもしれない人物が気絶してしまった。

 そのとき、倒れていたナガンに異変が生じた。

「な、なんだこの魔力は!」
 ナガンから放たれる圧倒的な『気』に、ラルクですらたじろいで声を上げる。
 魔力増幅薬は効果を発揮していたのだ!
 それも、想像を遥かに超えるほどの魔力となって!

 全身から魔力をほとばしらせながら、ゆっくりとナガンが起き上がる。
「そうか……そうだったのか……
 今ならわかる……無とは何なのかも……
 なぜ生物がこのパラミタに出現したのかも……

 というわけで、ナガンさぁ、今ならどんな願いでも叶えられそーなんだけど、何か願い事とかある?」

「それなら神さえ砕く力を!」
 ラルクが叫ぼうとする。

「僕を!十円と!呼ぶなぁあああ!」
 レオが必死になる。

「ギャルのぱんつおくれ!」
 鮪が起き上がろうとする。


「そんなことより!
 この世界樹をどっかにやっちゃって!」

 メニエスの絶叫が他の願いを消し飛ばした。

「ですよねー。
 そんじゃその世界樹、ナガンがもらいますわ」
 こうしてメニエスからナガンへと世界樹の植樹が行われた。

 しかし、世界樹がメニエスから離れたあたりでナガンの超魔力は途切れ、世界樹は根付かずに終わってしまった。
「こりゃーもう世界樹じゃねえな、雑草がせいぜいだ」
 枯れてしぼんだ世界樹を手に、ナガンは残念そうにそういうと、それをほうり投げた。

「じゃあ移植しよう!
 ラルクさんの屋久杉とか立派でいいんじゃないかな」
 レオがレーザーマインゴーシュを手に興奮している。

「おっいいな。でもお前の天御柱でもいいぜ」
 このナガンの一言で、レオとラルクの棒倒しが始まったのですが、今宵はここまでに致しとうございます。

担当マスターより

▼担当マスター

菊池五郎

▼マスターコメント

【常葉ゆらGM】
こんにちは、貴族服ファッションショーパートを担当させて頂きました、常葉ゆらと申します。
男の子達のキャッキャした青春模様、ちゃんと表現出来ておりますでしょうか。
執筆途中でジェイダス様のBUが更新されて、ちょっと吃驚したのも良い思い出。ヤングジェイダスは可愛らしいですねふふふ……
キラキラふわふわの男子校模様、とても楽しく執筆させて頂きました。
楽しんで頂けましたら幸いです。


【森水鷲葉GM】
森水鷲葉(もりみず・しゅうば)です。
ご参加いただきありがとうございました。

今回、「天下分け目の雪合戦 夏の陣」、「パラ実フェスティバル」と、
ふたつのイベントを担当させていただきました。
皆様のガチバトルアクション、とても楽しかったです。

雪だるま王国の皆様ですが、
雪合戦なのに大変ひどい有様で……(褒め言葉)。
ひさしぶりにイルミン生の皆様のGAを描写できてうれしかったです。
あと、毎年恒例となっている、「夏なのに雪シナリオ/キャラクエ」が今年もできました。
担当させていただいてありがとうございます(笑)

パラ実生の皆様も、
さすがパラ実生!という感じで、「安定のカオス(!?)」を堪能させていただきました。
こちらも、この規模のシナリオの、この人数でのGAのお手本となるような、
他の参加者様を楽しませるアクションといった感じでした。
お見事です!
どうもありがとうございました。


空京万博シナリオも、これでラストとなりますが、
「取り戻せ! アムリアナの花嫁衣装!」
グランドシナリオ「開催、空京万博!」
「実録! 空京万博!」、
そして、この「ビッグイベント目白押し!」と、
ずっと担当させていただいたことは、私にとっても大切な思い出となりました。

様々な形で、空京万博にご参加いただいたすべての皆様、
そして、応援してくださったすべての皆様に、重ねて、感謝いたします。
どうもありがとうございました!


【灰島懐音GM】
 はじめましての方ははじめまして、お久しぶりですな方はお久しぶりです。
 ゆるスター喫茶の執筆を担当しました、灰島懐音と申します。

 ほのぼのとした様子が書けて楽しかったです〜。
 主催者様、参加者様、皆様に感謝感謝です。
 どうか楽しんでいっていただけますように。

 それでは最後まで読んでいただきありがとうございました。


【寺岡 志乃GM】
 こんにちは、またははじめまして、寺岡です。
 空京万博の未来パビリオンで開催されていますイベント『闘争中!?』を担当しました。
 今回後付けなのですが、サバゲー要素としまして蛍光ピンクのペイントを取り入れさせていただきました。
 申し訳ありません。(特にピンクまみれになった方。なぜピンクか? は不明です。気が付いたら手が打ってました(笑))

 逃げ切った者が勝ち、というわりに、全編バトルになってます。書いている間中、とても楽しかったです。
 ノーマルシナリオでやりたかったとつくづく思いました。それが少し残念かな。

 またこういう企画がありましたら、ぜひ呼んでいただけたらと思います。
 ありがとうございました。 


【保住実GM】
参加者の皆様、どうもありがとうございました。

今回は事前に打診がありまして、
「シャンバラやパラミタでの医療をテーマにリアクションを作成して欲しい」
とのことだったので

・『超人的肉体』による回復能力の限界について
・機晶機の出産について
・シボラの呪術医(ウィッチドクター)

などのメモを用意して臨んだのですがまったく使いませんでした。

それでは、これからも『蒼空のフロンティア』をよろしくお願いいたします。