空京

校長室

【2020修学旅行】東西シャンバラ修学旅行

リアクション公開中!

【2020修学旅行】東西シャンバラ修学旅行
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リアクション

 
「あ、これマスターからです。私も客席で応援してますからね」
 『秋葉ファーストコンタクト』と張り紙が張られた扉の向こうで、ソフィア・クロケット(そふぃあ・くろけっと)ルース・メルヴィン(るーす・めるう゛ぃん)の買ってきた薔薇の花束をナナ・マキャフリー(なな・まきゃふりー)へと渡す。
「ありがとうございます。是非とも励みにさせていただきます」
 微笑を浮かべるナナの背後で、レーゼマンがルースと城 紅月(じょう・こうげつ)に挟まれる形で、ルースからは白いフリフリのドレスを、紅月からは執事服を見せられて迫られる。
「ほらほら、ふりふりレースの白いドレスですよ〜。観念してこれ着ましょうね〜」
「断固として断る! 私は元々紅月と執事服で参加する予定だったのだ」
「そうそう、俺とレーゼとで執事系BLを目指すんだからさ」
「……待て、今何と言った? 変なことに私を巻き込むようなら――!」
 レーゼマンが何か言う前に、紅月が彼を部屋の奥へと押し込め、着替えさせてしまう。
(ああ、紅月……いえ、これも可愛い紅月のため。私は涙を呑んで、皆さんの補佐に回りましょう)
「うっしゃ、盛り上げてこうぜ! 準備はいいか!?」
 レーゼマンと紅月のやり取りを、やきもきしながらレオン・ラーセレナ(れおん・らーせれな)が見守り、エレキギターを携えたフロッ ギーさん(ふろっ・ぎーさん)が『秋葉ファーストコンタクト』の出場者に呼びかける。
 その声に頷いたメンバーは、歓声湧くステージへと進み出るのであった――。
 
「こ、これが秋葉原……本当にここは日本なのか? 俺の知らないことだらけだ……」
 観客席で『秋葉ファーストコンタクト』の登場を待つ鷹村 真一郎(たかむら・しんいちろう)が、初めて知る秋葉原の実情にただただ呆然としていた。
「あっ、来たよ来たよ! ……う〜見えない見えない、真一郎、肩車して!」
 せがむ松本 可奈(まつもと・かな)を言われるまま肩に背負う真一郎、ひらけた視界から見えたのは、ナナとイライザ、レーゼマンと紅月がペアを組み、ダンスを主体としたステージであった。
「オレ達のソウルを聞けーーー!!」
 ギターを掻き鳴らすフロッギーの演奏に合わせて、メイドと執事のコンビがステージを所狭しと踊る。ダンスは社交ダンスのよう、しかし音楽は完全にロック調というミスマッチぶりだが、観客は盛り上がっていた。
「皆様に極上のサービスを提供いたします」
 メイドコンビの振る舞いに、観客たちは「挟んでもらいてぇ!」「あの目に見つめられるだけで、俺は……ウッ!」と過激に盛り上がっていた。
 流石デンパの街、個人の持つ妄想力をこれでもとかと高めてくれるようだ。
「おやおや、あっちは凄い人気だね。レーゼの兄貴、こっちもサービスしようよ。……今宵もご奉仕させてよ、ご主人様」
「ば、バカ、何をするつもりだっ――」
 上目遣いで見つめてくる紅月にたじろいだレーゼマンが、姿勢を崩してステージに倒れこむ。その瞬間、ここぞとばかりに黄色い声がそれまでの歓声を打ち消すように飛び交う。
 女性が『ハマった』時の勢いたるや、男性の比ではない。デンパの力も相まって、一気にステージは執事コンビの独擅場となった。
「ふふ……レーゼの兄貴、ヘタレだね」
「!!??!!??」
 訳の分からないまま紅月に抱き起こされ、耳元で熱い吐息と共にその言葉を囁かれた瞬間、レーゼマンの瞳が白目を剥き、頭から煙を出すかのように気を失う。どうやら彼にとっては、メイドに冥土へ送られる以上に、破壊力があったようである。
「せっかく二人分準備していましたのですが……では、お一人でお二人分、お受けになりますか?」
 その紅月も、背後からナナとイライザの息の合った『ご奉仕』を受け、綺麗に冥土へ送られる。二人がステージの中央で頭を垂れ、フロッギーの演奏が終了して、『秋葉ファーストコンタクト』のステージが幕を下ろす。
 
 |´_ゝ`)⊂=(゜∀゜)キタコレ!
 
 男性陣のちょっと冷めた視線を打ち消す形で、ついに最高評価が飛び出す『アキマス』。
「せやけど、うちらの倒すべき相手はあくまで『JEWELS/RAW』! 先手必勝でいくで〜!」
 そして、ついに社率いる【846プロ】がここで動き出す。まずは流れを引き寄せるため、原 萌生(はら・もえにいきる)を芸人枠としてステージに出場させる。
「おっす! おらニート! 君はニート? みんなニート!」
 だがまずこの冒頭で、大半の観客が顔を背けるか、あるいは野次を飛ばし始める。
 時に人は、事実を自らの口で語るのはよくても、他人に言われるのを酷く嫌う場合があるのだ。
「夢で見たのと違う〜」
 萌生はすかさず切り返しを図るが、場の気まずい雰囲気は収まらず、ステージにあれやこれやと物が投げ込まれる始末であった。幸いそれらは舞台袖に控えていた切裂木 浮螺(きりさき・ふら)の超能力で直撃だけは免れるが、なおも攻撃は収まらない。
「も〜! いつまで僕にこんなことやらせるんだよ!」
 その内、雑用係をやることに納得していなかった浮螺が、ステージに進み出ると同時に飛んできた物を加速させて萌生にぶつける。
 結果から言えば、ここで彼女が出てきたことで、会場の雰囲気は意外な方向へと進んだ。
「す……凄い! 完璧なまでのボクっ娘!」
「これほどの隠し玉を用意していたなんて……846プロ、ずるい!」
 観客の一部から、浮螺の言動、立ち振る舞いを曲解した感想が漏れると、瞬く間に「浮螺たん」コールが会場を席巻く。
 時に人は、傍から見れば全くよく分からない事で盛り上がることが出来る場合があるのだ。
(な、何だよ!? よく分かんないけど、今ならアイドルやっても大丈夫な感じかな!?)
 半ばやけっぱちとばかりに、諦めきれずこっそり内側に着ていたアイドル衣装に着替え、超能力で必要な機材をセッティングし、即興のステージが開催される。一度落としてからの反動という形で、会場の雰囲気はすっかり846プロの流れに傾いていた。
「何やよう分からんけど、これで流れはうちらのモンや! 君達、俺から言っとく事は一つ! 自分らしさを出し尽くすこと、以上や!」
 社の指示で、いよいよ『Flower』のメンバーがステージに上がる準備を整える。ステージには天海 総司(あまみ・そうじ)の張ったスモークが焚かれ、本人は照明担当へと回り、一番いいライトアップを演出するため気張っていた。
(ローラ、頑張ってこい……! 後は俺に任せろ!)
 やがて、スモークの内側にシルエットが浮かび上がり、舞う花弁が宙に吹き去っていくようにスモークが晴れ、メンバーの姿が観客の前に明かされる。
「え、えっと、今日一日が皆さんにとって幸せなものと――ひゃっ!」
「えへへっ♪ こんな外見でこんな声だけど、ボクたちみ〜んなオトコのコ! どう、びっくりした!?」
「い、いつの間にかボクまで一緒にされてるー!?」
 まずは無難に挨拶をしようとしたジョシュア・グリーン(じょしゅあ・ぐりーん)だが、嘉神 春(かこう・はる)を巻き込んだ神崎 輝(かんざき・ひかる)の大暴露に巻き込まれ、驚いた表情で観客の反応を伺う。
「嘘だッ!!」
「可愛ければよし!!」
 そして、観客の反応にジョシュアが二度驚く。
 時に人は、単純な場合があるのだ。
「あっはっは! ツカミは完璧じゃねぇか、ジョシュア! 今日は一段と可愛いぜぇー!」
 観客席から、神尾 惣介(かみお・そうすけ)が声を飛ばす。
(……ま、別に一番になる必要なんざねぇんだ。楽しく歌って踊れればいいんだよ)
 緊張を忘れたような振る舞いを見せる今のジョシュアに、惣介の心の言葉は不要であるようだった。
(おやおや……既に皆さんの緊張は解けたようですね。では、そろそろ行きましょうか)
 ステージの前で進行を司るリュート・アコーディア(りゅーと・あこーでぃあ)の掲げたボードには、以下のメッセージが書かれていた。
 
『リスナーさんへ、真心の花束を届けましょう!』
 
「色とりどりの『Flower』、ボクたちが真心の花束にしてみんなに届けちゃうよっ!」
 リュートの進行を受けて、アコースティックギターを携え、オレンジのキュロットスカートをなびかせて、赤城 花音(あかぎ・かのん)が旋律を紡ぎ出す。
「みんなー! 今日はたっくさん楽しんでいってねー!」
 旋律に合わせ、きらびやかなアイドル衣装を揺らして、ローラ・アディソン(ろーら・あでぃそん)が歌声を響かせる――。
 
 会いたいけど会えなくて 大切なことを教えてくれた君
 瞳を閉じて 私の名前を呼んで
 胸が痛いよ 願うたび この気持ちに理由なんか無い
 どこにいても君を探してる 胸が苦しくなる
 とまらないこの気持ち 私だけを見て欲しい
 
 どうしてこんなにも涙が溢れるの?
 雪舞い散る夜に どんな時でも君を守るから
 今度いつ会えるかな 今すぐ君に会いたい
 会いたい 思い浮かべる 私のこの想い

 
 万雷の拍手の中、メンバーが観客へ幾度と無く投げキッスを送る。
(れ、冷静に考えたらこれ、凄く恥ずかしい……!)
 自身の格好と、投げキッスという行為の恥ずかしさを今更痛感するジョシュアだが、両脇の春と輝がノリノリで投げキッスを飛ばすので、再び巻き込まれる形で付き合わされる。
「ちょっと、うちの子可愛すぎでしょ!? 確かに他の子も可愛いけど、でもやっぱりうちの子が一番可愛い!!」
「にゃはは〜、輝も楽しそうでよかったにゃー」
 ステージ脇では、春と輝のアイドル衣装を用意した神和住 瞬(かみわずみ・またたき)神崎 瑠奈(かんざき・るな)が、ステージの成功とそれぞれ担当したアイドルの可愛さに興奮し、また素直に嬉しそうにしていた。
「みんな、ボクたちの唄を聞いてくれて、ありがとう!」
 最後に花音が感謝の言葉で締めくくり、再び大きな拍手が浴びせられる。審査員もああでもないこうでもないと意見を交わした結果、採点結果が発表される。
 
 (゜∀゜)キタコレ! (`・ω・´)可愛いは正義!